『 第9回サクラアワード2022 』の受賞ワインが発表されました 

先日、第9回目を迎えるサクラアワード2022審査会に行ってまいりました。
昨年はコロナ禍のため参加を見合わせましたが、本年は大阪会場の審査会に参加させていただきました。

本日、2022年4月28日2022年度全受賞ワインが発表されました。
*ダブルゴールド ; 286アイテム
 内、より優れたダイヤモンドトロフィー ; 60アイテム
*ゴールド ; 1,425アイテム
*シルバー ; 614アイテム
総計2,325アイテムが受賞の栄誉に輝きました。
特別賞には、8つの「特別賞」と9つの「和食・アジア料理に合うワイン賞」があり、ゴールド以上の受賞ワインの中からそれぞれ10アイテムずつ選ばれました。
さらに、それぞれ最高得点のワインには「グランプリ」の称号が与えられました。
各賞の特徴 ; http://www.sakuraaward.com/jp/outline_award.html

サクラアワードって何?という方は、公式ホームページ、または当ブログの最後にまとめましたのでご覧ください。
サクラアワード公式HP ; http://www.sakuraaward.com/jp/sakuraaward.html

受賞ワイン一覧とワインリストの味方 ; http://www.sakuraaward.com/jp/result/2022.html
受賞ワイン検索 ; http://www.sakuraaward.com/jp/award/search/

ワインリストを見てみましょう。
うわぉ・・・字だらけ、無理・・・と拒絶反応が起きそうですが大丈夫です。
好きな国や興味のある国、えぇー、こんな国、あんな国まで!!と眺めてみましょう。
そして地域ごとに興味の向くまま好みのまま、ワインのタイプや品種、受賞とヴィンテージなど眺めているうちに、あ、これ欲しいかも♪とときめいたらインターネット検索してみましょう。
アルファベット読めぬ・・・無理、無理・・・とシェフ山嵜なんて蕁麻疹。でも大丈夫。生産者名やワイン名をコピー、ペーストして検索しましょう。

そもそも、そんな無駄な努力は放棄しましょう。小難しいことはプロにお任せ♪ショッピングのついでに通りすがりのワインショップで、偶然の出会いを楽しむのがお勧めです。ワインショップなどでは、受賞ワインに上記のようなマークが添付され店頭に並びます。見かけたら是非お試しを。
そして、とても気に入ったワインに出会ったら同じ生産者や地域、品種、はたまた輸入会社まで気の向くまま試してみてください。自分の好みが見えてきます。

私が今回審査を担当させていただいたワインの多くは、タンニンがしっかりとした品種のアンオークド赤ワインでした。これまで樽熟成が当たり前だったような品種です。

アンオークドは樽ではなくステンレスやコンクリートタンクで熟成されているワインを指し、通常白ワインや若木から作る赤ワインなどに用いられる熟成方法です。繊細な果実味が樽の影響を受けすぎ、フレンチオーク由来のバニラ香やアメリカンオーク由来のココナッツ香が風味の全面に出て、ブドウ品種本来の風味の個性が失われることを避けるために用いられる熟成方法です。

赤ワインの場合、若い木のブドウから得られるデリケートな果汁でも元来タンニンが豊富な品種は、軽く樽熟成することでタンニンの角が取れてまろやかになる効果もあります。そのような品種をアンオークドにすると、果実味に対しタンニンが若々しく強すぎてバランスを崩すので、やはり樽熟成が主流でした。

逆に、高樹齢の木からとれるブドウの場合もアンオークドの可能性があります。

一般的に寿命50年といわれているブドウ樹は、植樹後7年から20年は元気いっぱい、収量が増えていきます。収量が落ち始める20~30年を目途にブドウ樹を引き抜き、植え替える生産者もいます。前述の ”若い木” はこうして生まれます。

一方、高品質なワインを作るためには、なりすぎた房を間引き1本の木になる実の量をコントロールし、残ったブドウに木の栄養を集中させ凝縮した果実を作ります。樹齢20年から35年頃まで、自然になる実の量が減り始める代わりにブドウの量と質のバランスが良くなっていきます。樽熟成に耐えられる凝縮した果実が収穫できるようになります。

寿命50年と言われつつも大切に管理された木は100年以上生きます。高樹齢に明確な規定はなく、明記するかしないかは生産者の哲学によります。
なる実は少なく小粒で、房に空間がありますが日光が十分に当たり腐敗しにくく、栄養が集中します。その果汁からはなんとも複雑で滋味深いワインが作られます。若い木のブドウの繊細さとは全く違う繊細さ、このデリケートで複雑な風味を最大限に活かすため、余計な樽香がつかないようアンオークドにします。

審査したアンオークド赤ワインは、いずれも甲乙つけがたい高いレベルでした。エレガントで爽やかな香りと綺麗な果実味、タンニンは細かくまろやか、ヴィンテージが若くても荒々しいタンニンに口中が覆われることもありませんでした。それをベースに生き生きとした果実味や爽やかさを活かしたものから、緻密な複雑さや長い余韻が表現されているものまで多彩。
後者に関しては悩むことなく、満場一致ゴールドでわかり易いのですが、それでも時折、皆手を止めて「んんんんん~~~~、どうしたものでしょう」と嬉し悩まし審査会でした。

アンオークドのついでに樽香について少し。

樽香が大好きだったロバート・パーカーのパーカーポイントが猛威を振るっていた1990年代後半をピークに、パーカーポイント高得点を狙った過度ともいえる樽醸造樽熟成が一気に増加しました。しかし栽培技術も向上する中、また世界中の食のライト化から、もっと自然な味わいを求め樽至上主義を見直す生産者やワイン評論家が少しずつ増え始めました。

ロバート・パーカーは、小さな無名の生産者が作るワイン(いわゆるガレージワイン)も「良いワインに間違いない、私が保証します!(=私は樽香が大好きなのだ。好きなものは好き!)」とはばかることなく高得点を与えることで、世界中の大小さまざまな生産者に勇気と希望を与えました。そして高得点を目指して多くの生産者がチャレンジし、樽を使いこなせるようになることで、ワインの品質を一気に押し上げたと言えるでしょう。パーカー自身は現役を徐々に退き2019年完全な退社と引退を表明しました。

そして今、世界中のワイン生産者が高度な知識と技術を駆使し自らのワインに改めて向き合うことで、もっと自由に羽ばたき始めています。

樽香が好きだった人も、樽香って何?という人も、ワインの新たなステージは世界各国多種多様に広がりつつあります。固定概念を取り払い自由に楽しみましょう!うんちくも何も必要ありません!安かろう悪かろう、無名だし怪しかろうは忘却の彼方へ、ぽいっ♪

サクラアワードは「日本の家庭料理に合うワインを探す」「ワインの消費拡大」「ワイン業界で働く女性の活躍を促す」を目標としています。ご家庭で、プレゼントに、ワインを扱ったことがないが興味があるという飲食店や酒屋さんなど、ワイン選びの指標の一つとしてお役立ていただけると思います。

各国から、我こそは!と思いが込められたワインが集まり、不思議とそれは瓶に詰められた液体から私たちにしっかり伝わります。
審査会場は、実行委員の方の事前の途方もない準備や、朝早くから会場やワインの準備、審査中も万全のサポートをしてくださる男性ソムリエチームの皆様のお蔭で、ストレスなく審査に集中できる環境が作られております。今年も体調万全、集中力も最後まで途切れることなく全員が自分の採点に納得し、ベストを尽くした審査会を終えることができました。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

サクラアワードとは
サクラアワードは、2014年に誕生したアジア最大の国際ワインコンペティションです。ワイン業界で活躍する女性のみがブラインドにて審査を行います。世界でも類を見ない画期的なワインコンペティションで、年々国際的な知名度、注目度が高まっています。

審査員は、ソムリエ、ワイン醸造家、ワインスクール講師、ワインジャーナリスト、ワインインポーター、流通、ワイン販売員です。
1グループは5名で、さまざまな業種の方で構成されています。2022年は、1フライト10~14アイテムを4フライト(東京会場は5フライト)ブラインドでテイスティングし採点しました。1名が採点するワインは、1日5~60本です。

審査会が行われるまでには、次の6つのカテゴリー別にワインのエントリーが行われます。
1.スティルワイン赤
2.スティルワイン白
3.スティルワインロゼ
4.スパークリングワイン(白・ロゼ・赤)
 およびセミ・スパークリングワイン(白・ロゼ・赤)
5.フォーティファイドワイン
6.甘口ワイン

エントリーされたワインは更に、品種や製造方法の他、炭酸ガス圧、残糖など、100近くのカテゴリーに基づいて分類されます。
こうしてあらかじめ分類されたワインを審査します。審査員に与えられる情報は、ワインのカテゴリー、ブドウ品種、ヴィンテージ、アルコール度数で、数種類については残糖が表記されていました。審査時間は、1アイテムのワインにつき約3分。前のワインと比較するのではなく、それぞれのワインに100点満点で採点していきます。1アイテムごとに各グループのリーダーが集計を行い、各自の採点に大きく差が出た場合、グループ内で話し合いが行われます。

東京会場と大阪会場で審査されたワインは直ちに集計され、得点に従い各賞が決まります。
各賞の特徴についてはこちらをご覧ください。
http://www.sakuraaward.com/jp/outline_award.html
サクラアワード公式HP ; http://www.sakuraaward.com/jp/sakuraaward.html

第12回全国イタリア料理コンクールで優勝しました①~アルマーニ/リストランテ銀座での研修を終えて~

3月1日から一週間、第12回全国イタリア料理コンクール優勝の副賞として、アルマーニ/リストランテ銀座にて研修を受けた。お忙しい中、アマランテシェフを始めスタッフの皆様には大変多くのことを教わった。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

カルミネ・アマランテ シェフと。

イタリア語はできなくて大丈夫と言われていたが、実に料理人の半数がイタリア人で日本人もイタリア語や英語が堪能、厨房内はイタリア語と英語が飛び交っていた。日本語も怪しい上に他言語がまるで苦手な山嵜のために、指導担当の方が全体的なお世話をしてくださった。

成田さん、1週間お世話になりました。

さてその後、研修で見聞きしたことを片っ端から実践し、新たなメニューが続々と誕生している。たった一週間の研修で?と思われるかもしれないが、シェフ山嵜のスポンジのような吸収力は尋常でない。

これは2009年末から2016年4月まで自店の定休日を利用して、東大寺の前にあった『リストランテ イ・ルンガ』(現在、東京二子玉川に移転)にスタジエ(研修)として厨房に通わせていただいた経験があったからこそだ。永い間、本当に沢山のことを教わった。
リストランテとして成長し15年お店が存続できていることも全て、スタジエとして温かく迎え入れてくださったリストランテ イ・ルンガの堀江シェフ及び当時のスタッフの皆様のおかげだ。
ここで改めて、リストランテ イ・ルンガのシェフ堀江純一郎氏に心から感謝申し上げます。その節は大変お世話になりました。
ちなみに余談だが当コンクール本選寸前に、奈良に仕事で来られていた堀江シェフに偶然お会いし嬉しいやら心強いやらで舞い上がり、ここぞとばかりに質問攻めしたようだ。この場をお借りして心よりお詫び申し上げます。

本題に戻る。
意外と熱い男、シェフ山嵜のスポンジ力に気付いたのは、リストランテ イ・ルンガでのスタジエ1日目を終えた翌日だ。賄いのパスタがそれまでとは全く違う味になった。賄いはただの食事ではなく、新たなメニュー開発につながる大切な試作だ。
私は当時、山嵜のパスタは十分美味しいと思っていた。だからこそ独立したのであるが、たった1日でこんなに違うのか?と驚いていると「こんなんじゃない!こんなんじゃないねん!!!!凄いねんって。なんでできないんや!!(ドドド怒怒怒ドドド)」そして、来週まで待てない、もう一回聞いてくると息巻いているではないか。
それから翌週月曜日までの1週間、何度も同じパスタに挑戦しスタジエ2日目を迎えた。その翌日も、その翌週の火曜日も、みるみるうちにパスタが美味しくなっていった。休み返上で大丈夫だろうかと思いながらも、もっと美味しくなるのかしら、どこまで美味しくなるのでしょう、と半ば楽しみに見送っていたがまさか6年半も通うとは!前半3年間は毎週月曜日、その後3年半は月1,2回通い続けた。お店をやりながらなので体は大変だっただろうが、その時の経験は何物にも代え難い。

そんな前例から、今回のアルマーニ/リストランテ銀座での1週間は、短いながらも大いなる収穫があると想像できたし、その通りだった。また逆に1週間しかないので、研修1か月前から質問を溜め、万が一の賄いの練習や公開されている予約用のコースメニューから調理法を予測し想像を巡らせたり、できる限り準備をした。
更には、根幹にあるジョルジオアルマーニのコレクションやブランド誕生からの経緯、インテリアデザイン、そしてリストランテにまで至るアルマーニワールドの一貫したコンセプトから、真の美と心地よさの飽くなき探究心を感じた上で臨んだ。

奈良に戻って最初の賄いの味が、またもグレードアップしたことは言うまでもない。
燻製したり、七輪を持ち出して炭火を使い始めた。私は、燻香は味わいに効果的どころか邪魔だと思っていたが、程よく絶妙な燻製は素晴らしい調味料になると始めて知った。自家製のリコッタをアッフミカータ(燻製)してポモドーロに添えたパスタをランチで提供したところ、大変好評である。

パンも変わった。アルマーニ/リストランテ銀座は、パンも全て自家製で一度に300個作る。あのレストランの規模でランチもディナーも営業、その上カフェやバーメニューも用意し、パン数種も全て自家製でそれを約10名でこなす。驚異的なチームワークだ。料理だけでなくパンやドルチェ、小菓子の作業も体験させていただいた。特に自店でパンを焼く効率が格段に上がった。

秋山シェフ率いるドルチェチームと。女性も大活躍!!

とにかくアルマーニ/リストランテ銀座のスタッフの極限まで絶対に気を抜かない、その集中力と美意識の高さに驚いていた。そして全ての料理が皿に盛られる前に必ずアマランテシェフの味見により調整される。同じメニューでも毎日毎回必ずだ。数テーブル分づつ作った場合も毎回だ。
山嵜のように一人で料理するなら味見は当たり前だが、アルマーニ/リストランテ銀座のような大きなお店では通常、レシピが決まれば時折抜き打ちで味見したり、調理しているところを見ておぼつかないと感じれば確認するくらいだろう。毎回皿に盛る前に総料理長自ら必ず味をみるということは聞いたことがない。アマランテシェフが味付けの微調整を指示し、手直しされてから皿に盛られる。アマランテシェフの高い美意識と責任感がチームの士気を高め保っている。

料理チームと。

神経張り詰めた厨房も、全員で大きく高い目標に向かい精一杯仕事をした後は、皆さまなんと清々しい笑顔。精鋭揃いって、すごい。
こうして最終日に意を決して皆様に撮影をお願いしたのだが、もたついている間に帰ってしまった方がお一人。実直で仕事に真摯に向き合う姿が印象的だった、女性料理人ラファさん。本当にありがとうございました。

研修最終日、お題が出された。アマランテシェフと右腕であるブルーノシェフにパスタを作ること。

ブルーノシェフと。

手打ちパスタ ”アリオーネのピーチ” を作った。多言語当たり前のグローバル料理人チームを率いる、世界トップレベルのイタリア人シェフに、1週間で信頼を得ることは到底不可能だが、心を込めた料理を作ることは15年、いや、修行中含めて26年間、毎日毎皿ベストを尽くすことを怠ったことはない。そして、いつものように今一番美味しいと思えるパスタを作るだけだ。

お二人から「クラシックで美味しかった。ありがとう。」とお言葉をいただき、ほっと胸をなでおろした。

さてお待ちかね、研修後のアルマーニ/リストランテ銀座にて、一週間見て聞いて教わったことの集大成を体験すべく、答え合わせの食事♪
よっ、待ってました♪ わたくしも上京♪ ご相伴にあずかります。

つづく・・・・・・・・

インタビュー、文:山嵜愛子

第12回全国イタリア料理コンクールで優勝しました~プロローグ~

2021年末、日本のイタリア料理界において大変明るいニュースが飛び込んできた。

『ガンベロロッソ Gambero Rosso』といえば、ご存知の方も多いであろう。イタリアのグルメ専門出版社が毎年発行する、イタリア国内にあるイタリアレストランガイドである。
そのガンベロロッソの国際版、つまりイタリア以外の全ての国にあるイタリアレストランを対象とした『ガンベロロッソインターナショナル Gambero Rosso International 』2022年版 ”TOP ITALIAN RESTAURAN AWARD” にて、アルマーニ/リストランテ銀座が初登場にして最高位の3フォークを獲得し、世界中のイタリアンレストランのトップ20に選出された。
更に、同アルマーニ/リストランテ銀座のエグゼクティブシェフであるカルミネ・アマランテ氏が、世界でたった1名にのみ贈られる ” The chef of the year ”に選ばれるという、ダブル受賞という快挙を成し遂げた。

一見、ボルゴ・コニシと全くかけ離れたきらびやかなこのニュース。ささやかに関わっているとすれば、シェフが自分の結婚式で着たスーツがアルマーニだったことくらいだ。もちろんレンタルだったが、当時25歳の若造には早いのでは、と思いつつも勧められるまま着て、あまりの心地よさに驚いたのは良い思い出になっている。ジャケットなど買うときは「あの時のスーツが一番良かった。」と言う。そりゃ、そうでしょ。だがしかし、そうはいかんよ、君。

人生とは不思議なもので現在、25歳の当時全く予想していなかった日々を送っている。

リストランテ ボルゴ・コニシ オーナーシェフとなった山嵜正樹は、2021年11月25日㈭東京で開催された在日イタリア商工会議所主催『第12回全国イタリア料理コンクール』にて優勝、及びオリーブオイルの使い方が最も優れていたシェフに贈られるJapan Olive Oil Prize賞をダブル受賞したのだ。
そのコンクールの審査委員長を務めたのが、冒頭のアルマーニ/リストランテ銀座のエグゼクティブシェフであるカルミネ・アマランテ氏 その人だった。

*コンクールにおけるカルミネ・アマランテ氏のコメント*
”イタリア料理の大切なことは、自分の創造した料理を自分の独自の芸術作品として誇りを持ち、常にテーマやコンセプトにこだわって、自分自身の言葉で語ることができる正真正銘のイタリア料理を作ることだ。今回は、甲乙つけがたい若手のイタリアシェフたちの熱い戦いであった。いろいろな工夫を凝らしたものも多かったが、王道のリゾットのスタイルを独自のセンスで際立っていた山嵜シェフに栄冠を与えた”

審査委員長 アルマーニ/リストランテ銀座 エグゼクティブシェフ 
カルミネ・アマランテ氏と

今までの人生で最も嬉しいお言葉をいただいた。感無量である。

2007年の創業以来、縁あってイタリア料理店を奈良で営んでいるわけだが、イタリアからすれば外国人が外国でイタリア料理を提供するという、日本特有と言っても過言ではない状況である。だが、その美味しさや素晴らしさ、楽しさを知り、気づけば生業になってしまった。
そうなったからには責任を負うことになる。
心掛けていることはただ一点。イタリアの文化や伝統料理、食文化と真摯に向き合うことだ。想像力を働かせイメージを膨らませる。もしイタリア人シェフなら奈良でどうするだろう。

イタリア文化に関する書籍やレシピ、キッチン用品やYouTubeの調理動画、オペラ、美術展、デザインや建築、アート作品、洋服、テキスタイル、皮製品。彼らのセンスの良さにはつくづく感心し感動を覚える。そのセンスは表層的な派手さがないことも多く、一見地味なことさえある。しかし、どこか本質的な心の豊かさを感じさせるようなセンスの良さを感じる。奈良にもそのようなところがある。それを自分の料理に反映させてきた。
できた料理が自己満足ではなくイタリア料理として成り立っているのか、その答えを出してくれるのがイタリアワインだ。

こうして日々試行錯誤してきたことが、イタリア人のシェフから評価いただいたことで、これで良かったのだと自信につながり今後の指針ともなった。

さて、優勝の副賞としてアルマーニ/リストランテ銀座で1週間の研修を受けることになった。短い期間ではあるが、アマランテシェフの料理哲学を通してイタリア料理の本質を垣間見たいと思っている。

*研修期間中3月1日㈫から10日㈭まで、臨時休業致します。

年末年始特別ディナーコース2021-2022のご案内

過ごしやすい秋と緩やかな冬の始まりにのんびりとした気分でおりましたら、あぁびっくり、はや12月!!


今年はなんといっても、春のあすかルビーコンクールでのファイナリスト出場、そして先月、全国イタリア料理コンクールでの優勝、およびオリーブオイルの使い方が最も優れていたシェフに贈られるJapan Olive Oil Prize賞のダブル受賞で締めくくることができました。
いつも当店を応援してくださっている方にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。
尚、前述の全国イタリア料理コンクールについては近日当ブログにてご報告させていただく予定です。今しばらくお待ちください。
『第12回全国イタリア料理コンクール2021』プレスリリースは、こちらをご覧ください。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000044084.html

今年は、2021年新たに生まれた栄えある2品目と、2019年イタリア料理コンテスト3位に輝いてから定番のチンクエフォルマを含む、年末年始特別ディナーコースをご用意いたします!

年末年始特別ディナーコースのご案内

2021年12月24日㈮から2022年1月5日㈬まで年末年始特別ディナーコースを期間限定でご用意いたします。

年末年始特別ディナーコースは、事前のご予約をお願いいたします。

予定数に達し次第、受付は終了いたします。

ご予約の際、18:00~19:30でご都合の良い時間をご指定ください。

*12月27日㈪、12月31日㈮、1月1日㈯は定休日です。1月3日㈪は営業いたします。

*24日㈮と25日㈯の夜は年末年始特別ディナーコースのみで、各夜2名様4組限定とさせていただきます。

*キャンセルポリシーは通常通りです。詳しくはホームページにてご確認ください。
   前日キャンセル 50%  
   当日キャンセル 100%

*仕入れ状況によりやむを得ずメニューが変更になる場合がございます。ご了承ください。

*引き続き感染症拡大防止対策を行っております。当店をご利用される全てのお客様が安心して過ごすことができるレストランであるために、ご理解とご協力の程よろしくお願い申し上げます。

 

Stuzzichino アーモンドを詰めたデーツ エレゾ社ヒグマのソーセージ 蝦夷鹿のサラミ 

Apribocca 自家製天然酵母のクロワッサン アンチョビ カチョカヴァロ

Antipasto エレゾ社漆黒軍鶏とカリフラワーのマリネ 白ワインソース

Antipasto チンクエ フォルマ(イタリア料理コンテスト2019 3位入賞作品)

Primo Piatto 栗とラルドのリゾット 大和橘の香り(第12回全国イタリア料理コンクール2021優勝& Japan Olive Oil Prize賞 受賞作品)

Second Piatto エレゾ社蝦夷鹿のタリアータ きのこのトリフォラート添え

Granita コンフェクションのシュトーレンとヴィーノ・カルドのグラニータ

Dolce ふじい農園のあすかルビーのトルタ・ディ・フラーゴレ(第1回奈良のいちご料理orデザートコンクール ファイナリスト入賞作品)

Caffe e Te 食後のお飲み物 小菓子と共に

 

¥11,000(税込)

RISTORANTE Borgo KONISHI 
リストランテ ボルゴ・コニシ
TEL;0742-26-5581

 

ご来店心よりお待ちしております。

 

第1回 奈良のいちご料理orデザート コンクール ~結果発表~

いよいよ結果発表!!

というか、もうどうでも良いくらい時が過ぎてしまいましたが、まずはファイナリストおさらい。
フレンチレストラン『キヤムラ』オーナーシェフ 喜家村睦 氏
『リストランテ ボルゴ・コニシ』オーナーシェフ 山嵜正樹 氏 
JWマリオット・ホテル奈良ペストリー・ジュニア・スーシェフ 筒井光海 氏
神戸ベイシェラトン ホテル&タワーズ 副総料理長 兼 中国料理『翠亨園』料理長 石井敏満 氏
京成ホテルミラマーレ 中国料理『 景山 』料理長 若林竜也 氏
ホテルオークラ神戸 常務取締役 総料理長 中田肇 氏

はい、この顔ぶれ。おわかりでしょう。
皆さまのご想像通りの結果でございました。
1位 ホテルオークラ神戸
2位 JWマリオット・ホテル奈良
3位以降は敢えて順位をつけない方針、とのことでした。

奈良でお店をさせていただいて14年のボルゴ・コニシ、力及ばず、無念じゃ(≧◇≦)
ただ、今までのブログで伝わっていると思いますが、最高のイチゴドルチェが完成しましたので、もうそれだけで感謝感激。当日もシェフ自作カンペをその通りこなせて、失敗もなく悔いなし万々歳でした。ありがとうございました。

それでは、各ファイナリストのお料理を出場順にご紹介いたしましょう。
ご興味のある方は、YouTubeで当日の模様が配信されています。
チャンネル名は、『 シェフの世界』です。
また本文中、料理名にそれぞれのシェフの動画をリンクしていますので、本文と合わせてお楽しみください。

まず、トップバッター、奈良県桜井市のフレンチレストラン『キヤムラ』オーナーシェフ 喜家村睦 氏の作品。
いいね!煮ても焼いても生でもあすかルビー

当日シェフ山嵜の出場が2番目だったので、このキヤムラさんの実演だけが見れず大変残念でしたが、この画像からもわかるように優しさ溢れる一皿です。しかもこのイチゴが埋め込まれた蝶々のラングドシャ!!凄い技。
セレブレのノンアルコールスパークリング・ロゼをペアリングでご提案されたのでしょうか、ん~~~合いそう♪

お次は2位に輝きました、JWマリオット・ホテル奈良ペストリー・ジュニア・スーシェフ 筒井光海 氏の作品。
あすかルビーのタンバル・エリーゼ

そぉんな、普通のタンバル・エリーゼなわけないじゃないですか。というか、シェフお若い、付き人大勢、全てのパーツがあらかじめ袋にパック詰めされており盛り付けるだけで何工程も!!とても調理時間は組み込めそうもない、まるでJWマリオット・ホテル奈良のペストリーの厨房を訪れたような夢のような一皿。
おうちでは一体どんな器具でどうやってイチゴをそのようにしたら良いのか、私にはさっぱり見当もつきませんでしたが、そんなのどうだっていい!マリオット・ホテルに食べに行けばよいと思い、アフタヌーンティーを検索したらまさにイチゴフェア開催中で心躍るも、完全古都華尽くしでした・・・。
そんな状況でお忙しい中、別途あすかルビーのメニューを考案されたのですね。見るも美しい今をときめくミレニアル世代の実演を拝見できました。
ちなみにお皿は、超VIPにだけお出しする鹿の角をモチーフにした特注のお皿だそうです。

お次は、イチゴを中国料理に?今回かなり楽しみにしておりました、まずは一品目、神戸ベイシェラトン ホテル&タワーズ 副総料理長 兼 中国料理『翠亨園』料理長 石井敏満 氏の作品。
大海老と彩り野菜のあすかルビーマヨネーズ和え

ちょ、ちょっと!なんと大胆なイチゴ使い!!その前に、カリフラワーを中華包丁で極薄に切っていく、そして細身のアスパラを縦に4等分していく素晴らしい包丁さばきに釘付けでございました。当たり前の技術だそうです、凄い。
「海老のマヨネーズ和えは大変おいしいお料理なのに、日本では苦手意識のある方が多い。」今回、その美味しさをあすかルビーで現代風に表現されました。
実演を拝見して、温かいマヨネーズというより練乳などを巧みに使ったマヨネーズに似た風味のソースだと思いました。そして、そこにイチゴの香りと酸味が散りばめられて、透き通った生のカリフラワーと旬のアスパラの食感と味わいが、カラッと揚げた大海老を軽やかに演出します(妄想)。
包丁さばきに加え、この大海老が中華鍋の中でいい音をたてながらクルリクルリと次々揚がっていくさまは圧巻!!食欲そそりまくり。

そして興味津々、中国料理二品目、京成ホテルミラマーレ 中国料理『 景山 』料理長 若林竜也 氏の作品。
紅苺玉(コウバイギョク)~あすかルビーのココナッツ団子”strawberry style”~

ビーツで色付けした生地に白あんを包み15分蒸し、仕上げにココナツファインを細かくみじん切りしてまぶしてあります。
フルフル感凄い♪・・・で、終わるわけございません!!ファイナリストですよ!なんと、食べると白あんの中心からアツアツのあすかルビージャムが溢れ出すという逸品。
このアツアツあすかルビージャムは、イチゴと氷砂糖を数週間漬け込んで作ったイチゴ酢と、通常のジャムより糖分を3分の1に抑えた酸味のあるジャムからできています。フルフルモチモチ生地、白あんの甘みにアツアツあすかルビージャムの酸味と香りがぶわっと口中に広がりまさに口福。このアツアツ感は、まさに小籠包レベル。こればかりは猫舌の私もなんとかして食べます。

あら、まるで実食したかのよう?
なんと後日、若林料理長が送ってくださったのです!!本当にありがとうございました。
ちなみに先日、千葉のラジオに生出演されるとのことで拝聴しました。お子様と作る中国料理のYouTubeなども公開されています。そんな若林料理長の大勢を幸せにする愛溢れる一品でした。

最後は堂々1位に輝きました、ホテルオークラ神戸 常務取締役 総料理長 中田肇 氏の作品。
あすかルビー・奈良県産ミニトマト・明太子の三輪素麵 春爛漫のサラダ仕立て

日本のさまざまなもののルーツをたどれば、神話も含め大和の国(奈良)が発祥となることが多いのですが、そうめんもその一つで奈良県三輪素麺工業協同組合のホームページによると、いまから千二百余年を遡る昔、大和の国の三輪(奈良県桜井市)で生まれた手延べそうめんが日本の麺食文化のルーツだそうです。当時、飢餓と疫病に苦しむ民の救済を日本最古の神社 三輪山の大神神社に祈願した際、神から賜った啓示により生まれた三輪素麺は、その後お伊勢参りの途中で訪れた人々を魅了し、手延べの製法が播州(兵庫県)、小豆島、島原へと伝わったそうです。
播州の素麺は、揖保乃糸が有名です。
揖保乃糸のホームページよると、播州の素麺は斑鳩寺(揖保郡太子町)の古文書(1418年室町時代)に”サウメン”の記述が見られ既に食していたようで、素麺づくりが本格的になったのは江戸時代(1771~1780年)と言われており、揖保乃糸の産地化は龍野藩による著名な産物の保護育成を始めた1804~1818年からと考えられているそうです。


中田総料理長は、あすかルビーのメニューを考案する際、神戸で近隣のスーパーマーケットに訪れ目にしたのが奈良県産三輪素麺だったそうです。「そうか、奈良にも素麺があるじゃないか。」ということで素麺とあすかルビーを、いつもお料理を考案する際大切にしている五味(酸味、苦味、甘味、辛味、塩味)で表現されました。
素麺にたっぷりのイチゴと明太子・・・想像できない!

翌日、シェフ山嵜が見よう見まねで、素麺とイチゴと明太子の相性を味わうため敢えてベビーリーフは使わず作ってみました。

イチゴのパウダーがないのでバルサミコ酢で描いた枝に桜を咲かせることはできませんでしたが、イチゴと明太子をトマトがつないで爽やかな酸味と香りに旨みが備わった絶妙なソースとなり、素麺はカッペリーニの如く美味でした。老若男女大勢で取り分けたら楽しいお花見になりそう♪(コロナ後にね)

最後に備忘録、RISTORANTE Borgo KONISH オーナーシェフ山嵜正樹 氏の作品。あ、もういいって?まぁそうおっしゃらず。
トルタ・ディ・フラーゴレ

画像をご覧いただいた方にご説明申し上げます。
シェフが作業しつつ紙を何度か見ていますが、レシピではなくカンペです( *´艸`)

朝採りあすかルビー『ふじい農園』

当日の朝、摘みたてイチゴを受け取りにふじい農園へ。お忙しい中、極上あすかルビーを綺麗にパック詰めしてご用意くださいました。審査員の方へあすかルビーのお花のプレゼントも。確かに承りました!!行ってまいります。

お花は審査員用カトラリーセットに添えました。

いよいよ実演開始!

リポーターの方の質問に答えつつ作業を進めていきます。

最前列は審査員の方々でシェフに興味がないわけではございません。右のスクリーンに映し出される手元の動画をご覧になっています。

なんと、ふじい農園の奥様がこっそり駆けつけてくださいました!!画像の右側、白いお洋服でカメラを構えていらっしゃる女性です。

ちなみにこちらは、京成ホテルミラマーレチームの実演風景。フェイスシールドが若林料理長で補佐のお二人は同ホテルの他のレストランの料理長です。皆さまダンディなのにイチゴのマスクがお似合いです。壇上に大勢いらっしゃるといいですね。シェフ山嵜以外は、皆さんこんな感じです。

はい、できました!トルタ・ディ・フラーゴレ、完成です!

はい、やりきったヾ(≧▽≦)ノ

本日のスポンサー企業様。ありがとうございました。

出演者の皆様、本当にありがとうございました。
あああああ!コック帽ってドレスコードありました?持ってないんですけど!というか、かぶったことない!

第1回 奈良のいちご料理orデザート コンクール ~ふじい農園見学編~

いつからイチゴの旬は真冬になったのだろう?
幼少の頃、露地栽培のイチゴを収穫した時、寒くもなく暑くもなくとても心地よい季節だったような気がしますが、生産者が口を揃えておっしゃっていた「3月末??無いよ、無い!!」って、なんでかしら?

調べてみると、もともと露地栽培では4月に花が咲き5,6月に旬を迎えますが、現在は昭和30年代に確立したビニールハウスで温度管理されたハウス栽培がほとんどを占め、12月から3月が旬だそうです。その後飛躍的に生産量が伸びました。確かにクリスマス商戦からおひな祭りには欠かせない雰囲気です。イチゴの調達大変だろうな~と昨年まで他人事でしたが、今年末からがっつりイチゴテイスティングしようと思っています♪

さて、奈良市内からふじい農園まで車で1時間弱。
あすかルビーと古都華専門で、各1棟計2棟のビニールハウスをご主人お一人でこなします。その他販売や出荷、広報などは奥様担当。
販売は、畑での直売と3月上旬までは宅配にて全国に直接配送されています。その理由は枝で完熟させ朝収穫したものをその日に販売、発送するからです。
枝で完熟・・・・・それがあの緻密な味わいと香りのひみつだったのです!

訪問日の3月22日は配送時期は終了していましたが、畑での直売用の朝摘みイチゴの選果とパック詰めをされていて、お話を伺っている間もご近所の方が購入にご来店されていました。
う、うらやましい、ご近所ではこのイチゴがスタンダードなご様子。

「主人が脱サラで素人から始めたんですよ~。もぅ、それは大変でした。」と笑顔で奥様。ということは、お若い時に脱サラされたのかと思いきや、「始めて15、6年になります。」えええええΣ(゚Д゚)まさか、そんな短期間でこんなイチゴ作れるようになるんですか!!

農作物を作る仕事は年1回のチャンスしかないのです。あれ失敗した、ま、明日があるさ、と簡単にリトライできないのです。例えば30年農業に携わった、ということはその農作物を30回作ったことがあります、ということです。1年が、1回が、どれほど重く大切か。
それをたった15年ほどで、後継者というわけでもなく思考錯誤を繰り返してここまで辿り着いた・・・感嘆・・・

目の前に積まれたその日の朝摘みイチゴは艶々で、まさにルビーの如ききらめきと芳香を放っており、「こんな時期で甘さ控え目だけど食べてみて。」とかじれば口福幸福♪ 年末年始はもっと甘いそうです。

あすかルビーと古都華を食べ比べてみました。
あすかルビーは酸味と甘みのバランスが良く、果汁が溢れんばかりでイチゴらしいイチゴ。そのままも美味しいですが、イチゴのショートケーキやロールケーキになったら更に本領を発揮しそうです。
古都華は酸味がほとんど感じられず、イチゴから酸味を抜き甘みだけを抽出したような昭和女子の私にとっては新たな味わいの ”ネオイチゴ” です。酸味が苦手な方やご贈答に良いかもしれません。大粒なので食べごたえもありそのまま頬張るのが楽しい品種でしょう。

ケーキには断然あすかルビーと思うのですが、奈良県のケーキ屋さんがこぞって採用するのは『古都華 ことか』(2011年品種登録)。そして卵サイズの存在感絶大な『珠姫 たまひめ』(2019年品種登録)が登場。この2品種に比べると清楚な『あすかルビー』(2000年品種登録)。
・・・もっと甘く!もっと大きく!!もいいのですが、イチゴの甘みや香りは爽やかな下支えする酸味があってこそではないでしょうか!!と街頭演説口調になったとき寡黙なご主人が優しく静かな笑顔で一言、「昔は酸っぱすぎてそのままではとても食べられなかった。」

ハッと我に返る。
私の母は果物が好きでよく買ってきていましたが、子供の私には酸っぱすぎるイチゴに涙がにじみ、しまいに耐え切れず砂糖をかけたり、初めて練乳をかけたときは感動しましたが結局飽きてしまって食べなくなったことを思い出しました。
そんな酸っぱいイチゴから、華やかな香りと甘みにエレガントに生まれ変わった美酸をまとったあすかルビーを経て、イチゴの甘みへの探究が地道な品種選別、栽培技術の開発と改善を繰り返し、古都華、珠姫へとつながってきたのかもしれません。

「ちょっと、畑見に来たんでしょ?そろそろこちらへどうぞ。」と現れたのは美しい毛並みの福さん。畑の案内猫です。
福さんのプロフィールはこちら

まずはあすかルビーのハウスへ。
ハウスに入るととても穏やかで心地よい空気が広がります。

あすかルビーの花

美しい葉が青々と茂り、イチゴが心地よく過ごしていることが感じられます。ハウス内に流れるクラシック音楽は音響もよく、受粉係の日本ミツバチも元気に飛んでいます。

働きミツバチは栽培の期間中専門の業者さんから借りるのだそうですが、ふじい農園ではミツバチの勤務が終わったら巣箱に戻し休ませ、また翌日ハウスに放って働いてもらう、というハウス内に放ちっぱなしではないので、ミツバチの生存率がとても高いそうです。
そしてイチゴにとっても受粉の重複による変形を防げるので大切なひと手間なのです。ただ、まさに手間なのであまり実行する人はいないようです。

マルチ内の土もふかふか。

ハウス内を見渡すと十分熟したようなイチゴが沢山枝についています。本日収穫しきれなかった、というわけではありません。「そのイチゴ、裏を見てみて。」と藤井さん。言われるままに見てみると、あっ、表側より少し色が淡い。「それは、明日くらいには完熟するかな?」

ご主人が必ず太陽が昇ってからお一人で収穫する理由、それは目視で完熟の色を見極めて一粒一粒収穫するためなのです。
「日の出前にライトを頼りに収穫するとこの微妙な裏側の色がわかり辛い。色が淡く均一でないヘタ部分がまだ白い内に収穫すると、実は持ちがいいし色は確かに追熟したかに見えるけど、甘みが増すとか味が熟すことはありません。収穫したその時の味がそのイチゴの味わいとなるのです。」
イチゴの味わいを最大限に引き出した状態で収穫するために各工程を逆算していくと、少しでも形などに違和感を感じたら思い切って早めに刈り取る、収穫は日の出後品質にブレが生じないよう一人で見極める、完熟しているため実を傷つけないようパック詰めに時間を要する、温かくなると配送も難しいので3月以降は畑で直売のみ、といろいろ積み重ねてやっと藤井さんが作りたいイチゴが作れる環境が整ってきたそうです。
もちろん、これ以上にハウス内の作業がぎっしり詰まっています。日光の向きに対する植え込み方とか棚の間隔、温度と二酸化炭素のバランスなどなど、少し失敗してはまた来年改善するを繰り返し、積み重ねていきます。

ハウス内で藤井さんにお話を伺う

お気付きでしょう!さらっと「お一人で作業を・・・」などと書いておりますが、1棟がこの広さ、この量です!!そして隅々まで手入れが行き届いている・・・・・敬服いたします。

では、古都華のハウスへ参りましょう。

画像ではわかり辛いですが、木の背丈があすかルビーより高いのでロープで支えます。実も大きく迫力があります。

おっきい!古都華

大きさが全然違います!

大きなイチゴを丸かじりするシェフの左手は思わず、ルンっ♪

ふじい農園は、愛溢れる生命体の宝庫でした。
空気も土も水も、流れる音楽、虫も植物も、生きとし生けるものすべての存在が感じられる、そしてそれは藤井夫妻がまっすぐ自然と向き合い、既にある技術や知識を鵜呑みにすることなく目の前のその時のイチゴやミツバチや福さんの声に耳を傾け幸せを導くが故に成り立っている空間でした。
福さんの素晴らしい毛並みとゆったりとした佇まいが、ふじい農園の全てを物語っているようでした。「ふじい農園のホームページはこちらにゃり。」

農園に伺って「おいしい」だけでは全く言い表せていないと感じた、緻密に詰まった味わいの深みのひみつがわかりました。
藤井夫妻、福さん、本当にありがとうございました。

いよいよ最終回へ、つづく・・・