週末のバルベーラ

映画のタイトルのようですね♪

Barbera。明るくチャーミングで笑顔のステキな女性、ではありません。黒ブドウの品種です。ピエモンテ州でこのバルベーラから、チャーミングという表現がぴったりな、親しみやすい赤ワインが造られています。

主な産地は、バローロやバルバレスコで有名なクーネオ県アルバと、そこから少し北にあるアスティ県アスティです。

特にアルバでは、「平日のドルチェット、週末のバルベーラ、休日のバローロ」とアルバの代表的な3種の赤ワインを表現します。気軽にデイリーに、友人とわいわいドルチェット。週末ちょっとオシャレして、彼女とバルベーラ。記念日には、フォーマルにキメてバローロを。ワインの特徴と用途が的確で、つくづく感心します。お店でワインを選ぶ時の目安にも良いですね。

さて、このバルベーラ、南のアルバから北のアスティまで、車で南北1時間ほどの距離ですが、ワインの表情が少し違います。

まず、南のBarbera d‘Alba DOCバルベーラ・ダルバは、ブルーベリーやプラムなど果実味が濃厚で若いうちから楽しめるジューシーな赤ワインです。酸味が穏やかなので、みんな大好き!赤ワイン初心者にもお勧めです。バローロやバルバレスコの生産者が造っていることが多く、栽培、醸造技術が安定しており、知名度も高く市場でもよく見られます。日本でも人気が高いです。ただ、最高の畑には、バローロ、バルバレスコ用のネッビオーロ種が植えられるため、どうしてもそれ以下の畑に植えられることになります。だからこそ、早くから楽しめるというメリットがあるのでしょう。

アルバから北に少し移動して、Barbera d‘Asti DOCGバルベーラ・ダスティ。ほんのり甘いスパークリングのアスティ・スプマンテで有名なアスティですが、赤ワインも造られています。もともと、オステリアで飲まれる、非常に酸の強い安酒でしたが、1890年代初頭にマロラクティック発酵(ブドウに含まれるリンゴ酸を乳酸に変え酸味をまろやかにする醸造技術)が適切に行われるようになり、また、小樽熟成によってそれまで際立っていた酸と柔らかなタンニンのアンバランスが改善され、品質が見直されるようになりました。アスティでは、最高の畑にバルベーラを植え、知名度の低さからかなりの努力が重ねられた結果、現在では長期熟成も可能な、生き生きとした酸とたっぷりな果実味が絶妙な赤ワインに、生まれ変わりました。こちらは、少し手の込んだ上質なお料理に合わせると、食卓がぱっと華やかになるようなワインです。まさに、週末のバルベーラ。

どちらのバルベーラも、香りが華やかで本当にステキ♪以前は、Barbera d‘Alba を目にすることが圧倒的に多かったのですが、最近はBarbera d’Asti もちらほら見かけるようになったので、嬉しいかぎりです。

ピエモンテのリストランテのワインリストでは、バローロよりもバルベーラのページが、数ページにわたることもあるそうです。週末がいくつあっても足りませんね。

シニアソムリエになりました。

こんなの絶対覚えられない!!と思った、デュブロヴァチュカ・マルヴァジヤ(クロアチアのワイン)や、ザゴリエ・メディムリエ(クロアチアのワイン産地)も覚え、13冊の単語帳もぱらぱらマンガの如くめくれるようになり、ソムリエのときとは違うわよ!!と意気揚々と挑んだ2015年シニアソムリエ試験。

1次試験当日、まず、解答用紙を見て血の気が引きました。いつもの選択式の問題より記述式がたっぷり。中でも、「マロラクティック発酵の化学式を書きなさい」には、気を失いかけました。COOH-CH2-CHOH-COOH→CH3-CHOH-COOH+CO2です・・・・・。通常、「下記から選びなさい」なので書けるようしていませんでした。「それが、甘い!!!」と耳元でぐゎんぐゎん響くようで、もう逃げ出したいきもち。分厚いソムリエ教本だけでは、全く足りない試験内容でしたが、定休日を使ってソムリエ協会のさまざまなセミナーを受講していたので、なんとかなった問題もありましたが・・・・・・。試験後、会場内にどよめきが。試験の70分間、受験生みんな、同じ気持ちだったのでしょう。

そんなどんでん返しに、受験後も胃の痛くなる思いで、解答が発表されても、一体どうやって答えたのやら記憶がなく、まさかの合格通知が届いた時は、喜ぶどころか1次試験のトラウマから、2次試験で一体どんな目に合うんだと、更に胃が痛くなるような思いの中、10月末の2次試験を迎えました。そこでも、あれこれやらかしました・・・。

そんな七転八倒の末、なんとか合格いたしました。合格率20%に満たない中、奇跡としか言いようがありません。これも全て、日頃の皆様の温かいご支援のおかげです。この場をお借りし、心より御礼申し上げます。

そのため、お店の運営と試験勉強に全ての時間を費やし、ブログを長らくお休みさせていただいておりました。お詫びいたします。

2010年、ソムリエ試験に合格した時点で、5年後のシニアソムリエ受験を視野に入れていました。奈良という土地柄のため、ご近所の方はもちろん、全国各地、世界各国からお客様がいらっしゃいます。そのため、サービスもワインの知識も偏ってはいけない、と常に心がけています。その一つのバロメーターとして、シニアソムリエを取得することは、私にとって必須だと思いました。今回、受験してみて筆記及び実技も含め、自分の足りないところや弱いところが露わになり、大変よい経験になりました。

世界のワイン事情は日々めまぐるしく変化しています。その変化を把握した上で、当店のお料理に合うイタリアワインを提案していきたいと思っています。特にここ数年、情報が世界中を飛び回るようになってから、ワインの世界でも自由な発想から新しい試みのワインが次々と生まれている印象を受けます。それでも変わらないのは、生産者の想いと、その思いの詰まったワインをきちんと届けたいという売り手の想いです。

シニアソムリエ取得は、ゴールではありません。次のステップのスタートを切った、という思いです。そして、更なる次のステップを目指し、これからも変わらず日々精進してまいります。

 

イタリアワイン会 いろいろな産地のネッビオーロ

すでにバローロの品種として、このイタリアワイン会にも度々登場しているネッビオーロですが、どんな葡萄なのでしょう。今回は、このイタリアを代表する品種でありながら、産地が非常に限られているネッビオーロがテーマです。

ネッビオーロは、イタリア北部のピエモンテ州、ヴァッレ・ダオスタ州、ロンバルディア州が主な産地で、サルデーニャ州北部の一部でも栽培されているようですが、前者の3州のものが特に有名です。ピエモンテ州アルバが起源といわれています。昔から修道院で葡萄が栽培され、ワインが造られており、修道院を訪れる巡礼者や商人の物々交換により、苗木が修道院より持ち出され、その巡礼者の道に沿って栽培地域が広がっていきました。1200年代のことです。中でもネッビオーロは、栽培環境に非常に敏感なため、他の土地で突然変異を起こしたり、似ても似つかない葡萄になることが多く、現在でも栽培地が限られています。

それでは、本日のいろいろな産地のネッビオーロワイン。

右から(ですみません)、

① Ghemme D.O.C.G. 1996  /  Ioppa

② Carema Riserva D.O.C. 2009  /  Produttori Nebbiolo di Carema

③ Roero Rosso “La Val dei Preti ” D.O.C.G. 2011  /  Matteo Correggia

④ Barolo “Boscareto” D.O.C.G. 2006  /  Principiano

これらのワインの名前は全て産地を表しており、ネッビオーロの表記がなくともこの産地名からネッビオーロを使用していることがわかるようワイン法で決められています。ラベルに上記の、Ghemmeゲンメ Caremaカレーマ Roero Rossoロエロ・ロッソ Baroloバローロ と表記があれば、ネッビオーロを主体とした赤ワインですので、ワインショップなどで目安となります。ちなみに、これらのワインのうち、バローロのみネッビオーロを100%使用することが義務付けられており、他3つは数%他の黒葡萄を加えてよいことになっています。今回は、①のゲンメに20%のヴェスポリーナが使われています。他は100%ネッビオーロです。

①ゲンメはピエモンテ州北部で、南部のバローロと比べるとより冷涼な土地であることに加え、近年の温暖化も伴って以前に比べ親しみやすい柔らかなタンニンに仕上がるようになり、食事に寄り添うネッビオーロとして近年注目されています。

このワインの生産者イオッパのコンセプトは、『ゲンメの個性の追求』。そのために、土壌環境を大切にし、ヴェスポリーナなど地元品種にも力を入れています。20年の熟成を経て尚、エレガントでチャーミングなクランベリーやイチゴを思わせる果実味から丁寧な仕事が伺えます。

②カレーマは、西隣りのヴァッレ・ダオスタ州近くに位置し、ネッビオーロ栽培可能な北限地です。繊細でエレガント、透き通った印象は、他の産地にない魅力的な味わいです。

生産者は、プロデュットリ・ネッビオーロ・ディ・カレーマ。なんと、品種名と地名がワイナリーの名前に?

人口700人のカレーマ村の住民のうち78名がこの生産者協同組合に所属しており、カレーマのワインのほとんどを生産しています。1960年、カレーマのワインの文化を残すことを目的に設立されました。栽培環境の厳しい土地では、このように協同組合をつくり、協力し合ってワインを造ります。いろんな生産者の葡萄をごちゃ混ぜにしてワインを造る、大量生産、低品質のイメージが強い方もいらっしゃるかも知れませんが、北イタリアでは昔ながらの知恵と工夫から生まれた生産方法で、むしろ品質管理も厳しく、高品質のわりに低価格で入手できることも少なくありません。

このカレーマもその代表といえるでしょう。このリゼルヴァタイプは、収穫前に葡萄をチェックしよい区画の葡萄のみを使用し、大き目の樽でゆっくりと熟成させています。ジューシーな果実味とハーブの香り、やさしく親しみやすく、隠れた芯の強さも感じられる絶妙なバランスは、食事と共についつい飲み進んでしまう、体にすっと入る心地よい味わいです。

③ロエロは、白葡萄のアルネイスで造られる白ワインで有名ですが、ネッビオーロの赤ワインも生産しています。バローロなどに比べると、早くから楽しめる芳香に富んだチャーミングなワインです。30年前までは、ランゲ地方の造り手に葡萄を供給するのが役目だったロエロを変革したのがこの生産者、マッテオ・コレッジアです。

フランス、ブルゴーニュ視察でその”エレガンス、複雑味、フィネス(繊細さ)”に驚いたと同時に、ロエロの可能性に自信を持ち、品質重視へと大きく舵をきったのです。バローロやバルバレスコにない、ピュアさと芳香がロエロの個性であるという信念のとおり、エレガントでじわりと長く続く余韻に思わずにんまりしてしまうあたたかい味わいです。ちなみに、この生産者のアルネイスの白ワインも素晴らしいです。

④ネッビオーロといえば、バローロ。この生産者プリンチピアーノの現当主、フェルディナンドは、「僕は後悔しているモダニスト」だと言っています。どういうこと?

90年代、バローロで起こった大革命(従来行われてきた熟成に時間のかかる大樽使用から、小樽を使いモダンに仕上げて早くから楽しめるバローロを造るブームが起きた)の折、モダン・バローロとして人気を博した人物です。本物のバローロを知っていた彼の舌は、ある時、モダン・バローロの味わいに違和感を感じるようになったのです。2005年小樽の使用を中止、その他、短期間でワインを生産するための機械を売却。そのお金で大樽を購入し、以前の複雑に熟成する、繊細な”本物のバローロ”を目指しています。

味わってすぐ、「バローロです。」とわかりました。飲み頃まで、まだ猶予がありそうです。こういった小規模生産者のワインは、味わい深く、滋味深く、思わず感謝を述べにイタリアに行きたくなります。うん、そうしよう。

<本日のプチうんちく>

ネッビオーロは、産地により異なる地方名があります。

①のゲンメや、対岸のガッティナーラでは、Spanna スパンナ。ピエモンテ州の西隣り、ロンバルディア州のヴァルテッリーナでは、Chiavennasca キアヴェンナスカ。東隣りヴァッレ・ダオスタ州では、Picotendro ピコテンドロやPicoutener ピクトゥネールと呼ばれます。ヴァッレ・ダオスタ州は、北はスイス、西はフランスと国境を接しているフランス語圏の自治州であるため、イタリア語のピコテンドロとフランス語の呼び名があります。

20州が統一されて150年ほどのイタリア。シチリアの映画は字幕がないと他州のイタリア人には理解できないとか、昔ながらのヴェネト方言を話す父の言葉を、都会で生まれ育った子供たちは理解できないといいます。イタリアの言葉にも見られる文化、歴史、そこに必ずついて回る食文化。興味は尽きません。

 

第4回 イタリアワイン会

フィレンツェやピサなど観光地でおなじみトスカーナ州。ワインを知らずとも日本人にとって、よく耳にする地名です。

この地の歴史は古く、今でも起源のわからない神秘的民族とされる「エトルリア人」により、紀元前9世紀には早くも文明が花開き、14,5世紀ルネッサンスの時代にはメディチ家の下、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなど多くの芸術家が輩出し文化的繁栄の中心地となります。現在のイタリア語の基礎となっているのが、このトスカーナの方言であったことからも、イタリア文化にとって重要な土地であったことがうかがえます。

そんな歴史からかトスカーナの人々は、非常に洗練された趣味、嗜好を持ち、おしゃれでセンスが良く、自己ピーアール能力に長け雄弁な人が多いのが特徴といわれています。トスカーナワインが世界的に大成功したのも頷けます。

トスカーナの代表的な赤ワインといえば、”キャンティ・クラッシコ”。キャンティ・クラッシコは地区の名前でもあります。フィレンツェとシエナの間に広がる美しい丘陵地帯で、その地区で造られるサンジョヴェーゼ種を主体にした赤ワインがキャンティ・クラッシコです。20州がばらばらだったイタリアの統一に尽力したベッティーノ・リカーゾリ男爵が、1870年頃、バランスのよいキャンティのブレンド比率を定め、今日のキャンティワインのベースとなる品種構成となりました。そして、このキャンティは、その絶妙な味わいのバランスから名声を大いに高めます。

その後、大量生産され「安くてそれなりに美味しいワイン」というレッテルを貼られた時期を経て、1970年代末、このキャンティ地区を中心に意欲的な生産者、アンティノーリやガイアなどの一団により、世界に通用する高品質ワインを目指す活動が活発になります。

これは、フランスの最先端の栽培方法や近代的醸造技術の導入、小樽熟成、外国品種(主にフランスボルドー地方の品種)の導入などで、後に、”イタリアワイン・ルネッサンス”と呼ばれるようになるこの動きは、イタリアワインの急速な近代化をもたらします。

1980年代に入ると、これらの”スーパータスカン”と呼ばれるワインが続出します。有名な、”サッシカイア”もこの時期です。

そこで、いよいよ本日のワイン。

右から、

① Solengo 2005  /  Argiano

②  50 & 50 1995  /  Avignonesi & Capannelle

③  Capannelle Barrique 1988  /  Capannelle

①の生産者は、キャンティ・クラッシコの南側のモンタルチーノ地区のアルジャーノで、1500年代からこの地区の代表的なワイン、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを造る歴史ある生産者です。そのアルジャーノが造るスーパータスカンで、カべルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラーいずれもフランスの代表的品種を33%ずつ使用し、サッシカイアと同じジャコモ・ダキスをコンサルタントに迎えて造られています。

②は2社のコラボレートワインです。生産者は1974年創業のワイナリーで、キャンティ・クラッシコの南、モンタルチーノ地区の東側、モンテプルチャーノ地区にあるアヴィニョネージ社。もう1社は、1972年創業キャンティ・クラッシコ地区ブティック・ワイナリー(小規模生産者)の先駆けであるカパンネッレ社です。アヴィニョネージ社のメルロとカパンネッレ社のサンジョヴェーゼを50%ずつブレンドして造られています。

③は、②のカパンネッレ社のサンジョベーゼ100%のスーパータスカン。フランス品種を使わずとも、土着品種のサンジョヴェーゼで勝負。収穫量を葡萄樹1本当たり1キロまでに抑え、発酵にはステンレス槽のほかにフランス産オークを早くから導入することで、粘性の強い凝縮した果実味をもつ力強いサンジョヴェーゼの新たな表現を実現しました。またセラーのいたるところにステンレス製の器具が使用されており、香りと衛生面での配慮も怠りません。最新技術により、フランスの品種に頼ることなく、国際的に通用するサンジョベーゼの新たな可能性を追求したワインといえます。

このようにスーパータスカンは、技術の革新と挑戦と同時に、国際的に受け入れられるワインを目指すことで世界にイタリアワインの新たな境地を知らしめました。

そして現在、今一度、元のイタリアらしさを取り戻そうとフランスに習った最新技術を元のイタリアならではの栽培方法や醸造方法に戻す動きも出てきています。永いワインの歴史の中でそれぞれの生産者が切磋琢磨し、紆余曲折を経て、より高みを目指して変化していく。多くの人の気持ちがつながってできたワインを味わえることに感謝します。

<本日のプチうんちく>

D.O.C.G.キャンティとD.O.C.G.キャンティ・クラッシコ。2つのキャンティの違いは?

キャンティ・クラッシコは、昔からキャンティ地方と呼ばれ高品質なワインが生産される産地だったところ。一方、キャンティは、このクラッシコ発祥の”キャンティワイン”があまりに人気が高いため、元のキャンティ地方以外に産地をどんどん拡大して総称のように”キャンティ”と呼ぶようになってしまいました。そこで、本来の産地であるキャンティ地方産のワインをD.O.C.G.キャンティ・クラッシコとして独立させました。

味わいにも違いがあり、クラッシコ地区は、森が多く標高が高いため、エレガントで女性的なワインが生産されます。一方、キャンティ地区は、現在クラッシコ地区を取り囲むように東西南北に渡る広大な地域を指します。その中には、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの産地など他の有名産地も含まれており、よって、”トスカーナの赤ワイン”と総称できそうなカジュアルで気軽に楽しめる日常の食事に適した親しみやすいワインが多いことが魅力です。

飲むシチュエーションや、気分に合わせて同じ産地でもいろいろなサンジョベーゼを味わえるのが、トスカーナのキャンティワインの魅力といえるでしょう。

 

第3回 イタリアワイン会 

3回目は、私、山嵜愛子セレクトでございます。

しつこく、タウラジ、バローロ、ブルネッロ、でございます。こんな機会があったら、じっくり飲み比べて検証したかった!!というのが、まずはどうしても高級レンジになるわけで、それも、長年この仕事をやり続けている方々とご一緒でないと、こんな大それたこと、できません。

ラインナップは、こちら。

左から

1. ” Piano di Monte Vergine”  Taurasi Riserva 2004  /  Feudi di San Gregorio

2. Barolo nei Cannubi 2004  /  Poderi Luigi Einaudi

3. Brunello di Montalcino Castel Giocondo Riserva 1995  /  Marchesi de‘ Frescobaldi

イタリアを代表する3つのDOCGの検証と、熟成の違いです。ブルネッロは、タウラジやバローロと違って、紫や黒っぽい色を帯びた濃色の赤ワインで、果実の凝縮感も強く他と比べより熟成期間が長いので、1995年と他の2本より更に熟成したものを選びました。

① ピアーノ・ディ・モンテヴェルジネという単一畑の葡萄、アリアニコ100% 発酵はステンレスタンク、熟成はミディアムトーストのフレンチオークのバリック(小樽)で18ヶ月

前回のマストロヴェラルディーノと比べ、少し樽香の溶けた甘い香りの果実感が親しみやすい印象のワインです。ブラインドでは、メルローという意見もあり、なるほど、確かに伝統的なタウラジよりタンニンが柔らかく、熟した果実の印象が強いです。

以前2012年に、この2004を試飲したことがありますが、より酸を感じ、果実味とあいまって甘酸っぱいチャーミングな中にしっかりとタンニンがありました。その時のイメージから、こうなっているかな?という想像と違いました。2年前は、バリックの影響を想像できていなかったのでしょう。

 

② D.O.C.G.バローロと認定された地域の中には、代表的な村が5つあります。このワインはその中の、バローロ村内のカンヌービという畑のネッビオーロ100%で造られています。バローロ村産は、北側のラ・モッラ村産の優美さと、東側のモンフォルテ村産の力強さを併せ持つ、最も調和の取れたエレガントなバローロが生まれる村とされています。

このワイナリーは、1897年戦後初のイタリア大統領により設立されました。発酵はステンレスタンクで、熟成は小樽と大樽を使用。畑は海抜220m 南東向きの2.56ha に位置します。

繊細な花の香りと印象的な酸、細かいけれどしっかりとしたタンニン。じわっと効いてくる古典的なバローロです。なるほど、確かにエレガント。このような、第一印象が地味なワインは、料理を合わせた途端、「えぇっっ!!こんなに美人だった??」と豹変することがあるので、ご注意ください。

 

③フレスコバルディ家の歴史は、10世紀半ばまで遡ることができます。貴族制度が廃止された今なお、フィレンツェの人々から ”マルケーゼ(侯爵)” と呼ばれ30世代を通して、このトスカーナの地でワイン造りに力を注いできた家族経営のワイナリーです。また、同時にイタリアはもちろん、ヨーロッパでも最大規模のワイナリーです。伝統を尊重しつつ、最新の技術も積極的に取り入れ挑戦し続けています。

このカステル・ジョコンドという畑は、モンタルチーノに所有する畑の中で最も標高の高い南西向きの畑から、最良年のみ造られるワインです。発酵はステンレスタンク、熟成は大樽と小樽を用い、まさに伝統と革新が融合したワインです。熟した果実や溶けたタンニンの甘みが印象的で、もちろん酸はあるものの、バローロやタウラジの酸と比べると柔らかくじっくり味わいたいワインです。

 

タウラジは、”南のバローロ” と言われることがあります。南を代表する長期熟成するワインであると同時に、スパイスやドライフラワーの複雑な香り、色や酸とタンニンの雰囲気もバローロと似たニュアンスがあるように感じることがあります。その辺りも検証したかったのですが、タウラジが思ったよりモダンな味わいだったので、バローロと標高の高いブルネッロの方が似ていて、土地の特性と、葡萄が木になり熟してワインになるまでに関わった全ての環境と工程が熟成と共に味わいに表れてくる、そのことを改めて実感いたしました。難しい。だからこそ、面白い!!!

 

<本日のプチうんちく>

本日、①と③のワイン名にあります ”Riserva” リゼルヴァ。

そして、同じくらいよく使われる ”Superiore” スーペリオーレ。その違いは??

DOCやDOCGのワインは、それぞれ生産される土地、栽培方法、醸造方法、熟成期間など、沢山の規定があります。その中で、Riservaは、法定熟成期間が規定よりも長いものを表します。Superioreは、規定のアルコール度数を上回るものを表します。

同じDOC、DOCGのワインよりボリューム感がある場合が多いので、ワインを選ぶ時の目安になります。

 

 

 

 

 

土着品種が多彩です。

土着品種の個性がイタリアワインの醍醐味だと言っても過言ではないでしょう。20州すべてでワインが造られ、それぞれの州に古くからその土地に根付く、気候風土に合った葡萄品種が数多く存在します。そこから生まれる多様性こそが、イタリアワインの最大の魅力です。画像の4本のワイン、そのイタリアならではの葡萄品種について焦点を当てたいと思います。

まずは、左から。シチリア州ドゥーカ・ディ・サラパルータ社のラヴィコ・ヴァヤシンディ 2010

品種は、ネレッロ・マスカレーゼです。シチリア東北部にエトナという活火山があります。このエトナ山麓のマシャリ平原が発祥地といわれている品種です。標高300~1200mの火山性土壌の畑から生まれるネレッロ・マスカレーゼのワインは、繊細でみずみずしく、上品。色は淡いのですが、しっかりとしたタンニンがあり、イタリア北部のワインにも似たニュアンスを持っています。

暖かい気候のため、たっぷりとした果実味が魅力のシチリアワインの中で、キラリと光る涼やかさも併せ持つエトナのネレッロ・マスカレーゼのワインは、夏野菜やトマトソース、鰯のパスタなんかに合わせたくなります。また、一方で肉料理とも相性が良く、昨年ボルゴ・コニシでも扱っていた際、シンプルなエゾ鹿のタリアータに合わせると美味でした。

チェリーやセージ、ローズマリーのようなハーブの香りにジューシーな果実味と心地よいフレッシュな酸味が、夏バテを吹っ飛ばすような爽やかな食欲増進赤ワイン。

2本目は、ブルーノ・ロッカのバルバレスコ 2010

品種は、ネッビオーロです。前回も出てきましたバルバレスコ、ピエモンテ州です。起源は、同州のアルバ地域といわれています。葡萄品種と栽培環境の相性は非常に重要で、このネッビオーロは他の土地では突然変異を起こすことが多く、似ても似つかない葡萄になることが多いのも特徴です。

今回のバルバレスコの作り手、ブルーノ・ロッカは、畑や葡萄の個性を重視したワイン造りに取り組んでいます。ネッビオーロの特徴である、ドライフラワーの香りとしっかりしたタンニンがありますが、ブルゴーニュを意識しバリック(小樽)を使用しているため、酸の中にほんのり樽の甘い香りを感じます。ほどよく親しみやすさのあるバルバレスコです。

前回と今回のバルバレスコ。同じネッビオーロを使ったワインでも、栽培や醸造哲学によりそれぞれが考える品種の個性を表現しています。その違いを楽しむことも、ワインの魅力のひとつです。

3本目。カンパーニャ州を代表する伝統のある生産者、マストロベラルディーノ社のタウラージ・ラディーチ・リゼルヴァ 1999

ぶどう品種は、アリアニコ。6、7世紀頃、ギリシャ移民によってティレニア海から持ち込まれたといわれています。カンパーニャ州をはじめ、バジリカータ州、カラブリア州など南イタリアで生産される葡萄で、テーブルワインクラスのものから、アップグレードなものまで揃っています。特にタウラージのアリアニコは、上質で長期熟成することで有名です。

タウラージは、「南のバローロ」と言われることもあります。確かに、ドライフラワーの香りや、酸と厳格なタンニンのバランスがどことなくバローロに似たニュアンスがあります。違いは太陽を感じる果実味があるためバローロに比べて穏やかに感じる酸と、コショウのようなスパイシーさを持ち合わせていること。これにより、羊のローストにぐぐっと合ってきます。

そして4本目は、サン・ジュスト・ア・レンテンナーノ社のペルカルロ サンジョヴェーゼ・ディ・トスカーナ 1999

葡萄は、サンジョヴェーゼです。イタリア全土で栽培されており、黒葡萄の生産量では国内NO.1です。その中でもトスカーナ州で特に威力を発揮するのが、このサンジョヴェーゼです。クローン (同一の起源を持ち、尚かつ均一な遺伝情報を持つ細胞などの集団。もとはギリシャ語で植物の小枝の集まりを意味する) が多いのが特徴で、現在88のクローンが普及しているといわれています。

このワインは、キャンティ・クラシコ地区ですが、ベーシックなキャンティ地区のサンジョヴェーゼの特徴であるスミレやチェリーの香りよりも、カシスやほのかなカカオの香りと味わいの凝縮感から、ブラインドでの試飲で私は、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノと間違えました。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、モンタルチーノ地区 (キャンティ地区の南側) でブルネッロ (サンジョヴェーゼ・グロッソ) というサンジョヴェーゼのクローンから造られるしっかりとした長期熟成型トスカーナの高級ワインです。

キャンティ・クラシコなのに、ブルネッロと間違える、なぜ???それは、この造り手の哲学に現れています。

畑の最良の区画の葡萄の中から、更に房ごとに選び抜かれた葡萄のみを使い、通常の収穫期より遅い時期にしっかりと熟したものだけを収穫し、それでもこのワインにふさわしくないと判断すればリリースしません。そのこだわり抜いた哲学は、キャンティ・クラシコ DOCG を名乗るための法的規制を守っていないためワイン法上は IGP となり、「地ワイン」のカテゴリーとしてリリースされています。そして、本日の4本の中で最も高額という、またも悦ばしき情熱ワインなのです。正直、キャンティ・クラシコ地区の葡萄でここまでの凝縮感が出せるものかと驚きました。

・・・・・たった4品種だけで若干こんがらがる寸前ですが、イタリアの土着品種は、基本となるものだけでもさらっと100品種ほどございます。それを各生産者が試行錯誤を繰り返しながら、自由に表現して「どうだ!!」とリリースされたワインたち。頭が下がる思いと、飲めば「よぉーし、がんばるぞー!!」と元気が出ます。もう、想像するだけで楽しいですね♪・・・・・・想像するだけで気を失いそうな方は、さらっと私たちソムリエにお任せください。一期一会で楽しむのも乙なものです。