第12回全国イタリア料理コンクールで優勝するまで③~アルマーニ/リストランテ銀座 実食レポート~

アルマーニ/リストランテ銀座での食事は言わずもがな、素晴らしかった。
見た目の楽しさ美しさのみならず、主となる素材が明確で他の全ての素材が皿の上で的確な役割を果たし一皿の味わいを演出している。いずれのお料理も隅々までエレガントで美しい味わい。

そして、特筆すべきは香り。厨房から客席のある大広間まで距離があり、私たちの席はその中で最も厨房から離れていたが、どのお料理も香りが素晴らしい。持論だが、香りのよい料理にまずいものなし。

遊びゴコロ満載かつ味わい深い『アミューズ』のワンダーランドに始まり、


『ホタテ貝 ほうれん草とブッラータ 黒トリュフのソース』の口福すぎるハーモニー、


『カンデラ ジェノヴェーゼ』の高次元な表現力、


『甘鯛 プランクトンとショウガソース』の味のグローバリゼーション、


『牛ほほ肉 燻製ジャガイモエスプーマとキノコのバリエーション』では、的確な燻製の意義と美味しさを初めて体験した。


これまで私にとって燻製とは、妙な香りをつけてどういうこと?と永らく疑問だったし、人生早々から食べることをほとんど避けてきた。この一皿をいただいて、これが燻製ということ?素晴らしい、と腑に落ちた。燻製という調理法による調味料的役割があることを知った。

そして、スペシャリテ『サフランのリゾット』!!

高品質なサフランは香辛料として馴染みのある香りではなく、花そのものを想起させる。リゾットを口に含んだ時の重層的な香りと味わいに心底驚いた。忘れられない一皿となった。こんなリゾットは初めてだ。

実は、サフランのリゾットが一番の目当てだったので組み込まれたコースを予約したつもりだったが、テーブル上のメニューに書かれていない。どうやら間違って予約したらしいと気付き、がっくし。東京に来るなど次はいつになることやら、コースを乱して大変申し訳ないが単品で追加するしかないかと悩んでいたら、「シェフからです」とサフランのリゾットを出してくださったのだ。大変恐縮です。

五感を潤す料理に欠かせないのがワインだ。ソムリエ・エクセレンスなのでお酒に強いと勘違いされるのだが、弱し。年齢を重ねるごとに例にもれず「良いものを少しだけ」となっている。今回のように旅先でなければ多少無理もできるのだが・・・。

料理の中盤から後半にかけて、グラスワインの白を1杯お任せでお願いした。イタリア人であろう男性ソムリエがいらっしゃる。いよいよ、イタリア人ソムリエの推奨するイタリアワインとのアッビナメントが体験できる♪と期待はマックス。これが私の今後のワインセレクトの指標となるのだ!!

注がれたワインは、なんと!!南仏ローヌのマルサンヌ!!イタリアワインではない!!!

さて、このセレクトに込められたメッセージやいかん。これこそソムリエにお任せする醍醐味なのだ。
ワインは香りが穏やかで味わいもまろやか、少しとろりとした食感があり特に際立った特徴はないが落ち着きのある味わいで、安心して杯が進んでしまう。つまりこのタイプは、大変料理に合うことが多い。

料理と合わせてみると、なるほど!
アマランテシェフの明確なテーマをもつ香りと素材の協演が表現された料理に、なんと紳士的な名脇役!ちなみに、ソムリエの方が紳士そのもの。
特にメイン料理『牛ほほ肉 燻製ジャガイモエスプーマとキノコのバリエーション』とのハーモニーは素晴らしく、各演奏家が個性を存分に発揮するのをいとも簡単にまとめ上げる名指揮者のよう。そしてその存在感と包容力は絶大で、ワインが有るのと無いのとでは大違いだ。
そもそも敢えて南仏ローヌの、しかもマルサンヌというこの一本を選ぶことは非常に難易度が高い。

このワインに代わるイタリアワインは何だろう。
香り味わいとも穏やかながら存在感があり紳士的エスコートでメインの肉料理にも寄り添える・・・・トスカーナ州ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノが浮かんだ。そして、マルサンヌとの違いは香りの強度だと思った。穏やかに思えるヴェルナッチャの香りさえも強い、もっと香りを抑えたかったのではないか。

あ~、最高、楽しかった!
ちなみに答え合わせなど無粋なことはしない。沢山飲めない私に選んでくださった1杯のワインは間違いなくお料理に合っていたし、私には到底思いつかないセレクトだった。
栽培から醸造を経てボトルに詰められたワインが、一人のソムリエの目に留まりベストな状態で注がれた、それを世界トップイタリア料理シェフの料理と共にいただける。これ以上の幸せがあろうか!!

プレドルチェ『シトラス オリーブオイルのグラニテ』の料理の余韻に寄り添う可憐な優しさにうっとり。

そしてドルチェは、完全球体の『ティラミス』

もう、どうなってるの?
軽やかな食感ながら、しっかり満足感のある味わいで理想的な締めくくりだった。
レストランにパティシェチームが常駐する贅沢の極みだ。自家製のパンや最後のお茶菓子など隅々まで妥協のないアルマーニワールドを体感できた。

食後アマランテシェフがテーブルまで来て下さり、リゾットの感動を直接お伝えできて嬉しかった。帰りにはお忙しい中、全員でお見送りいただき本当にありがとうございました。

エレベーターを降りるとチョコレートのお持ち帰り『アルマーニ/ドルチ』
もう買わないわけがない。
シンプルなデザインながら、奥深く、どこにでも有るようでどこにも無い個性のある味わいは、一貫してオーセンティックを追求するブランドイメージそのものだった。

関西では、なんとこのパティシェチームを率いる秋山シェフによるカフェメニューを味わうことができる。心斎橋パルコ2Fのエンポリオアルマーニカフェだ。特に季節ごとのパフェがおすすめ!!!強くおすすめする!!!
秋山シェフの脳内どうなってんの?????というくらい、とてつもなく複雑な素材の組み合わせの上、その全ての素材が明確に役割を果たす神業・・・アマランテシェフが全幅の信頼を寄せるのも頷ける。

お料理は2022年3月時点のメニューで、今更やっと走り書きメモを元に書いているが、つい先日のことのように思い出せる。
素晴らしいときと感動をありがとうございました。