第12回全国イタリア料理コンクールで優勝しました①~アルマーニ/リストランテ銀座での研修を終えて~

3月1日から一週間、第12回全国イタリア料理コンクール優勝の副賞として、アルマーニ/リストランテ銀座にて研修を受けた。お忙しい中、アマランテシェフを始めスタッフの皆様には大変多くのことを教わった。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

カルミネ・アマランテ シェフと。

イタリア語はできなくて大丈夫と言われていたが、実に料理人の半数がイタリア人で日本人もイタリア語や英語が堪能、厨房内はイタリア語と英語が飛び交っていた。日本語も怪しい上に他言語がまるで苦手な山嵜のために、指導担当の方が全体的なお世話をしてくださった。

成田さん、1週間お世話になりました。

さてその後、研修で見聞きしたことを片っ端から実践し、新たなメニューが続々と誕生している。たった一週間の研修で?と思われるかもしれないが、シェフ山嵜のスポンジのような吸収力は尋常でない。

これは2009年末から2016年4月まで自店の定休日を利用して、東大寺の前にあった『リストランテ イ・ルンガ』(現在、東京二子玉川に移転)にスタジエ(研修)として厨房に通わせていただいた経験があったからこそだ。永い間、本当に沢山のことを教わった。
リストランテとして成長し15年お店が存続できていることも全て、スタジエとして温かく迎え入れてくださったリストランテ イ・ルンガの堀江シェフ及び当時のスタッフの皆様のおかげだ。
ここで改めて、リストランテ イ・ルンガのシェフ堀江純一郎氏に心から感謝申し上げます。その節は大変お世話になりました。
ちなみに余談だが当コンクール本選寸前に、奈良に仕事で来られていた堀江シェフに偶然お会いし嬉しいやら心強いやらで舞い上がり、ここぞとばかりに質問攻めしたようだ。この場をお借りして心よりお詫び申し上げます。

本題に戻る。
意外と熱い男、シェフ山嵜のスポンジ力に気付いたのは、リストランテ イ・ルンガでのスタジエ1日目を終えた翌日だ。賄いのパスタがそれまでとは全く違う味になった。賄いはただの食事ではなく、新たなメニュー開発につながる大切な試作だ。
私は当時、山嵜のパスタは十分美味しいと思っていた。だからこそ独立したのであるが、たった1日でこんなに違うのか?と驚いていると「こんなんじゃない!こんなんじゃないねん!!!!凄いねんって。なんでできないんや!!(ドドド怒怒怒ドドド)」そして、来週まで待てない、もう一回聞いてくると息巻いているではないか。
それから翌週月曜日までの1週間、何度も同じパスタに挑戦しスタジエ2日目を迎えた。その翌日も、その翌週の火曜日も、みるみるうちにパスタが美味しくなっていった。休み返上で大丈夫だろうかと思いながらも、もっと美味しくなるのかしら、どこまで美味しくなるのでしょう、と半ば楽しみに見送っていたがまさか6年半も通うとは!前半3年間は毎週月曜日、その後3年半は月1,2回通い続けた。お店をやりながらなので体は大変だっただろうが、その時の経験は何物にも代え難い。

そんな前例から、今回のアルマーニ/リストランテ銀座での1週間は、短いながらも大いなる収穫があると想像できたし、その通りだった。また逆に1週間しかないので、研修1か月前から質問を溜め、万が一の賄いの練習や公開されている予約用のコースメニューから調理法を予測し想像を巡らせたり、できる限り準備をした。
更には、根幹にあるジョルジオアルマーニのコレクションやブランド誕生からの経緯、インテリアデザイン、そしてリストランテにまで至るアルマーニワールドの一貫したコンセプトから、真の美と心地よさの飽くなき探究心を感じた上で臨んだ。

奈良に戻って最初の賄いの味が、またもグレードアップしたことは言うまでもない。
燻製したり、七輪を持ち出して炭火を使い始めた。私は、燻香は味わいに効果的どころか邪魔だと思っていたが、程よく絶妙な燻製は素晴らしい調味料になると始めて知った。自家製のリコッタをアッフミカータ(燻製)してポモドーロに添えたパスタをランチで提供したところ、大変好評である。

パンも変わった。アルマーニ/リストランテ銀座は、パンも全て自家製で一度に300個作る。あのレストランの規模でランチもディナーも営業、その上カフェやバーメニューも用意し、パン数種も全て自家製でそれを約10名でこなす。驚異的なチームワークだ。料理だけでなくパンやドルチェ、小菓子の作業も体験させていただいた。特に自店でパンを焼く効率が格段に上がった。

秋山シェフ率いるドルチェチームと。女性も大活躍!!

とにかくアルマーニ/リストランテ銀座のスタッフの極限まで絶対に気を抜かない、その集中力と美意識の高さに驚いていた。そして全ての料理が皿に盛られる前に必ずアマランテシェフの味見により調整される。同じメニューでも毎日毎回必ずだ。数テーブル分づつ作った場合も毎回だ。
山嵜のように一人で料理するなら味見は当たり前だが、アルマーニ/リストランテ銀座のような大きなお店では通常、レシピが決まれば時折抜き打ちで味見したり、調理しているところを見ておぼつかないと感じれば確認するくらいだろう。毎回皿に盛る前に総料理長自ら必ず味をみるということは聞いたことがない。アマランテシェフが味付けの微調整を指示し、手直しされてから皿に盛られる。アマランテシェフの高い美意識と責任感がチームの士気を高め保っている。

料理チームと。

神経張り詰めた厨房も、全員で大きく高い目標に向かい精一杯仕事をした後は、皆さまなんと清々しい笑顔。精鋭揃いって、すごい。
こうして最終日に意を決して皆様に撮影をお願いしたのだが、もたついている間に帰ってしまった方がお一人。実直で仕事に真摯に向き合う姿が印象的だった、女性料理人ラファさん。本当にありがとうございました。

研修最終日、お題が出された。アマランテシェフと右腕であるブルーノシェフにパスタを作ること。

ブルーノシェフと。

手打ちパスタ ”アリオーネのピーチ” を作った。多言語当たり前のグローバル料理人チームを率いる、世界トップレベルのイタリア人シェフに、1週間で信頼を得ることは到底不可能だが、心を込めた料理を作ることは15年、いや、修行中含めて26年間、毎日毎皿ベストを尽くすことを怠ったことはない。そして、いつものように今一番美味しいと思えるパスタを作るだけだ。

お二人から「クラシックで美味しかった。ありがとう。」とお言葉をいただき、ほっと胸をなでおろした。

さてお待ちかね、研修後のアルマーニ/リストランテ銀座にて、一週間見て聞いて教わったことの集大成を体験すべく、答え合わせの食事♪
よっ、待ってました♪ わたくしも上京♪ ご相伴にあずかります。

つづく・・・・・・・・

インタビュー、文:山嵜愛子