南アフリカワイン概要1

南アフリカは、360年以上にわたる歴史があるワイン産地である。オーストラリアは220年、日本は約140年であるから、紀元前からワインを造っているヨーロッパを除く、ニューワールドワインの中で、古くからある産地だといえる。

そして現在、環境と人に配慮したワイン造りを行う、ニューワールドの牽引役として注目されている。

ワインのスタイルは、大きく4つに分けられる。単一品種に限らず、ブレンドワインも多いのが特徴である。

主流は、赤白共に「ボルドーブレンド」である。ボルドーでおなじみのカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロを主体にした赤や、ソーヴィニヨン・ブラン主体の白である。

このほか赤ワインは、「ローヌブレンド」も造られる。ブルゴーニュの南部に位置するローヌ地方で多く生産されている、シラーをメインにグルナッシュやムールヴェードル、ヴィオニエを用いた、複雑さがたのしめる赤ワインだ。

南アフリカの固有品種であるピノタージュを主体とした「ケープブレンド」の赤ワインは、10年ほど前から確立されている。

白は、生産量の多い代表的なシュナン・ブランをメインに「地中海ブレンド」も多く造られる。

フランスの品種が多い理由の一つは地中海性気候であること、そしてなにより、歴史が深く関わっている。

南アフリカでワイン産業が本格的に始まったのは、17世紀の大航海時代である。ワイン発祥の地は、東インド会社の商船の寄港地になったケープタウンで、現在も9割はケープ州で生産されている。

1652年オランダの入植により、ブドウの栽培およびワイン生産が始まる。1685年からは宗教的迫害を受けたフランス人(主にロワール地方出身者)とドイツ人が移民し、ワイン造りの技術をもたらした。19世紀に入ると英国領になり、イギリス人の移民が増加、ヨーロッパへの輸出が本格化する。同時に、インドネシア、マレーシア、インド、マダガスカルなどからも多くの人が連れてこられて、スパイスがもたらされた。こうして、多民族国家が生まれ、アフリカの食材にスパイスを効かせて、ヨーロッパ料理をアレンジした「ケープマレー料理」が国民食になった。

地中海性気候であることに加えて、歴史による人の移動から考えると、現在のワインのスタイルになったことは、ごく自然な流れであることがわかる。

アパルトヘイト廃止後は、国内消費から輸出振興へ大きく舵を切り、品質が目覚しく向上している。それに伴い、先進国からの投資が増加、品質にこだわる小規模生産者も増え、国際的に高い評価を受けるワインが生み出されている。

ワインは美味しければそれでよい、であるが、少し歴史を辿ることでより一層たのしめる。

 

つづく