南アフリカワイン概要2 ~現在と未来~

概要1では、南アフリカワインの歴史を主に振り返ったが、ここでは現況をお伝えする。ニューワールドのみならず、ワイン産業全体の牽引役としても、その活動は注目に値する。

まず、世界で最も環境に配慮したワイン生産国であることが挙げられる。品質を保つと共に、「自然環境保護とワイン産業の共栄」をコンセプトに掲げている。この流れは、特に南半球の産地国で盛んであり、ニュージーランドなども環境保護に国を挙げて取り組んでいる国のひとつである。近年は、カーボンフットプリント(自社の排出する二酸化炭素量)削減に向け、軽量ボトルの採用が増加している。

2010年ヴィンテージからは、品質保証およびトレーサビリティ(流通経路追跡可能システム)はもちろん、世界初のサスティナビリティ(持続可能性)を保証する認可制度を確立した。これは、土や水などの自然環境や、微生物、植物、昆虫に至るまでの生物多様性、労働者の健康と安全衛生の無限の持続を確保するための認可制度で、3年ごとに監査を受けなければならない厳しい基準だ。

サスティナビリティの概念は、オーガニックやビオロジックの次のステップとして、オールドワールドで取り組み始めた生産者もいる。気をつけたいのは、良い考えだからといって、即座に全てのワインナリーが対応できるという簡単なものではないし、畑の立地条件などから環境が許す場合と許さない場合があるので、導入していないから悪いという考えは良くない。ワインは、各生産者の哲学を尊重して選ぶことが大切で、その内の選択肢の一つとして捉えるべきである。

自然環境に加え、労働者環境の整備も急速に進んでおり、2013年世界で販売されたフェアトレードワインのうち、65%が南アフリカ産である。フェアトレードワインは、労働者の生活や人権を守るため、開発途上国のワインを買い叩くことなく国際貿易上の正当な価格で取引されるワインである。

今、世界の主要都市の前衛的なレストランなどでは、品質と価格のバランスのよいワインというにとどまらず、人と自然環境に配慮した概念も含めて購入し提案している。消費者側もできるだけ希少で美味しいもの、というより自然環境にできるだけ配慮した、そして自分の体にもよいものに一票を投じる。高級店を筆頭にワインだけではなく、食材全般に起こりつつある現象である。

1990年代後半からのめまぐるしい技術革新の積み重ねから、ニューワールドの品質がオールドワールドに追いつきつつある今、ワイン産業全体が、自然に敬意を払い共存しつつその恵みをいただくという、当たり前を思い出し、より向上していることがすばらしい。

さ、お勉強はこのくらいにして、後は飲むだけである♪