喜光寺の蓮

奈良に住んでいながら、蓮の咲くころ、蓮咲く寺に行ったことがなかった。

そろそろ咲いているかな・・・ふと思ったとき、映像作家 保山耕一さんの作品に映し出された、数々の奈良の蓮の風景が思い出された。保山さんの映像は、一度見たら忘れられない。そして、何度見ても釘付けになる。美しさの奥に、荘厳でありながら懐の深い奈良が表現されている。

いろいろな蓮の風景の映像の中に、聞きなれないお寺が映し出され、行きたい、と強く思ったことを思い出した。

「喜光寺 きこうじ」なんと美しくやさしい名前のお寺だろう。

調べてみたら、知らないことが恥ずかしいくらい、近くのお寺だった。その上、養老5年(721)行基菩薩によって創建され、天平21年(749)入寂されたとある。私はいつも、この西暦3桁に驚き、いつまでも慣れない。それが当たり前なのは頭でわかっているが、それでも、奈良のそこかしこに転がっている西暦3桁にまつわる物事と、サラリと共存している奈良にいることを、大変贅沢に感じるのである。

さて、喜光寺。ホームページを拝見したら、ご住職より「蓮は早朝がおすすめです」ということで、開門時間に到着。門を入って、名前のとおり、なんともやさしい雰囲気のお寺である。

わー、咲いてる、咲いてる♪保山さんの映像に習って(・・・たつもりで)撮ってみたが、じぇんじぇん違う!!しかし、被写体の美しさは伝わるであろう。

偶然にも、弁天堂の秘仏 宇賀神王が特別開扉されており、拝観することができた。蓮池に浮かぶ弁天堂へは、小さな橋を渡る。まるで極楽浄土への道。宇賀神王の周りに奉納されている、思い思いの人形たちも必見。

ご本尊の阿弥陀如来と、脇侍である観音菩薩と勢至菩薩の笑みをたたえた穏やかな表情に、思わずこちらも微笑んでしまう。いずれも、撮影禁止とされていなかったが、なんとなくカメラ、しかもスマホを向けるのはあまりに失礼な気がして、撮影は遠慮した。

蓮の奥の石仏群も、ほっこりする佇まいである。

仏足石と初転法輪像のバックには、あおあおと茂ったもみじ。国境を越えたかんじが素敵。

ありがとうございました。また、来ます。合掌。

 

それにしてもカメラマンというのは、選ばれし人だな、とつくづく思う。普通は出逢えないような瞬間に出逢う強運を持っていて、それを逃さず捉えることができる、卓越した技術を身につけた人で、きっとそれが使命として与えられているに違いないと思わざるを得ない。とても真似できない。

奈良の魅力が画面から溢れる保山さんの映像。奈良に住んでいる、奈良に興味がある、奈良に来る予定がある、訪れたい場所を探している、ただ美しいものを見てリラックスしたい方、おすすめです。

*保山さんの映像は、You Tubeでご覧になれます。