海のない奈良県でも新鮮な魚介が簡単に入手できる現代、敢えて鮮魚を使わない、奈良ならではのイタリア魚介料理ができないかと思っていました。
奈良時代、全国各地から平城京へ送られてきた税としての「伝統保存食」に着目し生まれたのがパスタ料理「潮かつおとカリフラワーのリングイネ」です。
「地下の正倉院」ともいわれる平城宮跡から出土した木簡の中に、天平5年(733年)に「堅魚」(干したカツオ)を朝廷に送ったという記述が見られる木簡があります。これが最も古い「しおかつお」の文献です。当時のしおかつおは税として朝廷に納める品でした。
現在しおかつおは「潮かつお」として静岡県西伊豆田子地区の郷土食として残っています。現在その生産者はわずか3軒のみとなりました。
鰹節の原型ともいわれ最古の保存方法である「塩蔵」で作られています。
またの名を「正月魚」、縁起の良い食べ物としてお正月の三が日に神棚に供えられた後、家族皆に振舞われた風習があります。
そして年末年始に旬を迎える野菜がカリフラワーです。
イタリアのナポリ地方ではカリフラワーのサラダがクリスマスから年末年始に欠かせないお料理ということで、二者の融合からハーモニーが生まれました!
古式製法の「塩蔵」の熟成した旨みがそのままソースの味わいを作り、カリフラワーの優しい甘みが際立ちます。
「鰹色利 かつおいろり」を含ませたパン粉ととリングイネの絶妙な食感がソースの旨みと絡まれば、それは至福のとき。
南イタリアと日本の食文化の融合による「ハーモニー 調和」を体現した、年末年始の特別な一皿です。