2023年度「パスタ未来形IW100特別コース」についてシェフ山嵜正樹の解説をまとめました。 お料理ごとに ●料理名 ●コンセプト ●ソムリエ山嵜の味わいポイント ●食材など補足説明 の順に並んでいます。
日本とイタリアの食文化の融合と革新、そして美しい地球の未来への想いを込めて。
2023年度《ITALIAN WEEK 100 特別コース》 ◆Pane パン◆ 大和橘の花から採取した酵母を使った、自家製イタリアパンを数種類お楽しみいただけます。 長時間熟成による小麦粉の優しく深い味わいがお料理を引き立てます。
◆Stuzzichino フィンガーフード◆Benvenuto NARA ~ようこそ、奈良へ~ 蘇蜜 ~かぎろひ~ アマゾンカカオニブを練り込んだグリッシーニと奈良漬 醤(ひしお)と大和大鉄砲豆腐のラビオリ 山椒のフレーバー
IW100フィンガーフード
フィンガーフードは、奈良の古代の食文化をイタリア料理法で現代的によみがえらせ紹介します。 蘇蜜のかぎろひは、コースの幕開けを表すと共にSDGsなどに見られる世界共通の次なる平和的ステージの幕開けへの想いを表しました。
蘇蜜: 牛乳を焦がさないよう丁寧に煮詰めて作る蘇(そ)は優しい甘さとホロホロとした食感が特徴。竹炭を練り込み闇夜に浮かぶ三笠山の景色を表した。パプリカパウダーはかぎろひの空の色を表すと共に、爽やかな苦みを伴うフルーティさでミルクの甘みを引き立てる。全体を“御殿はちみつ”の純粋な甘さがまとめる口福感を味わえる。
蘇とは・・・古代の日本(飛鳥時代~平安時代)で作られていた乳製品の一種。
蘇蜜は薬として平安時代、藤原道長も食したとされる他、甘い美味なものの例えでもある。
竹炭を加えて作った蘇の表面にかぎろひ(厳冬の良く晴れた日の出前、東の空を彩る陽光)をパプリカで表現。
ハチミツは郡山城跡に設置した蜂の巣箱から2023年春に採取した無添加無調整の“御殿はちみ つ”を使用
グリッシーニ :奈良市三条通の老舗 今西本店(江戸時代末期創業)の8年熟成胡瓜の純正奈良漬けと、カカオニブの発酵を経た熟成感をグリッシーニでつないだ。新たな味わいのハーモニーをイタリア食文化で表現した、国籍問わず誰もが頷く一品。
ラビオリ :醤油の搾りかすの粉末を練り込んだ生地で醤(ひしお)と奈良の在来大豆「大鉄砲」で作った大和大鉄砲豆腐を詰めたラビオリ。古代の食文化を現代に復活させた醤の香りと味をラビオリに閉じ込めた。 山椒がエレガントに爽やかに、味蕾を覚醒させる。
醤(ひしお)とは・・・醤油や味噌のルーツと言われる。奈良時代の「穀醤(こくしょう / こくびしお)」を古文書や記録を読み解き奈良で再現された古代ひしお。
大鉄砲(おおでっぽう)とは・・・奈良に伝わる幻の大豆。地元農家さんが「お味噌にするとおいしい」と、先祖代々種を受け継ぎ自家採取されている在来種。もともとは、田んぼの畔(あぜ)で稲(米)と一緒につくられていたが、稲の品種改良で収穫期にズレが生じたことや栽培における苦労、高度経済成長に伴う農業変革(主に効率化や作り手の減少)などの理由で減少した。
昭和23年創業の大豆加工製造販売を行う有限会社三木食品工業(奈良市)の当代 近藤正洋氏が奈良県産大豆を探すうち2016年に出会った奈良の在来種である大鉄砲を、田原本町の鎌田ファーム(後述)と共に2017年復活させた。
現在、豆腐を初め醤油、味噌、きな粉、豆乳、ジェラートと様々な商品化に成功。
大豆の花言葉は『可能性は無限大』
◆Apribocca アミューズ◆味間いものリゾット 大和茶のスープ ~茶粥 Chagayu~
味間いものリゾット 大和茶のスープ ~茶粥 Chagayu~
アミューズは、IW100のテーマである「パスタ未来形」へ向けての導入メニューです。 奈良の伝統的な朝食である茶粥。ここ奈良市小西町が発祥とされています。 リゾットを炊く際、米に大和茶ほうじ茶を含ませ、仕上げにパルミジャーノ・レジャーノをたっぷり加えた最もシンプルで基本的なリゾットの茶粥仕立てです。日本とイタリアの食文化の融合と革新を実現しました。 アミューズでは夜が明け新たな1日が始まったことを、コースの始まりに重ねて表現しています。
磯城郡田原本町鎌田ファームの五分づきにした玄米と、奈良市田村青芳園茶舗の大和茶を使用。大和茶焙じ茶を含ませパルミジャーノ・レジャーノ(24ヶ月熟成)で仕上げたクラシックなリゾットに、大和茶焙じ茶の粉茶をまぶした味間いものコンフィを乗せる。仕上げに大和茶の煎茶のスープを静かに注ぐ。リゾットとミネストラ、奈良の茶粥を一皿に融合したChagayu。コクのあるしっかりとしたチーズをまとった米を大和茶がさらさらとほぐし清涼感を与える。 焙じた大和茶が香ばしく、田原本町 西浦 正嗣さんの素晴らしくキメの細かい身質がしっとりと詰まった味間いもの食感と共にアクセントとなり、食後は大和茶がふわりと香り口中がさっぱりとする。
茶粥とは・・・奈良を代表する郷土食である。「大和の朝は茶粥ではじまる」と言われるように、奈良の茶粥は特に有名。寛永年間(1624~44)に井戸屋弥十郎という人が、奈良市高畑町(シェフ山嵜の自宅付近)の神職から習い、奈良市小西町(リストランテ ボルゴ・コニシの所在地であり店名)で茶粥屋を始めた。その後、1657年江戸で「奈良茶飯」として流行し日本の外食産業の始まりとなった。
その茶粥発祥の地で、令和のイタリアンレストランにてChagayuをお召し上がりいただく。 田村青芳園茶舗について・・・猿沢池から南へ200mのならまちに位置する老舗の大和茶専門店。昔上ツ道(かみつみち)と呼ばれた伊勢街道沿いにある。店頭でご主人が毎日焙じるほうじ茶の香りは格別。月ヶ瀬を中心に厳選した大和茶の品揃えが豊富だ。
ボルゴ・コニシで最後のお飲み物にお出しする、珍しい月ヶ瀬の抹茶「大和の和(なごみ)」は渋みがなくまろやかで海外の方にも好評だ。また、味のあるパッケージデザインはご主人の手描きを元にしており贈り物にも最適。近隣の昔ながらのお客様はもちろん、県外のファンも多い。
味間いもとは・・・大和伝統野菜で奈良県在来のサトイモ
◆Antipasto 前菜◆ ボスコ・ディ・ブロッコリー
ボスコ・ディ・ブロッコリー
第一前菜は、イタリア原産の代表的野菜の一つであるブロッコリーを主役にした一皿です。 華厳経に「世界は美しく飾られたみごとなものだ」また「美しい世界は実践によって実現される」という記述があります。 常日頃私は、食材の中でも特に野菜は美しくみごとなものだと思っており、その美しさを皿の上に置こうとして生まれた料理です。 山や森は水を蓄える大切な存在です。奈良の人々は山をご神体として敬い、水信仰と共に伝えてきました。 春日山原始林を模したブロッコリーは美しい花蕾に大地の水と、料理という人類の英知を蓄えています。
五條市 益田農園のブロッコリーは、驚くほど花蕾が引き締まり旨みが詰まっている。しっかり茹で野菜の甘みを引き出して尚、花蕾にソースを蓄える力がある。イタリアの伝統料理バッカラ・マンテカートにブロッコリーのピュレを混ぜ、爽やかな水分と軽やかさを加える。その上に、ドライトマト、松の実、干しブドウなどから成るソースを花蕾に蓄えたブロッコリーを添えた。花蕾に溜まったソースが噛むほどに口中に溢れる。ブロッコリーの特徴を活かしバッカラ・マンテカートに華を添える一皿となった。
ブロッコリーについて・・・キャベツの一種がイタリアで品種改良され、花を食用とする現在の姿になった。和名はメハナヤサイ(芽花野菜)、ミドリハナヤサイ(緑花野菜) 五條市益田農園について・・・吉野連山や紀伊連峰の美しい山々に囲まれた奈良県五條市。この地は果樹・野菜の栽培に適した気温や湿度にも恵まれ、適度な寒暖差がある。自然に逆らわず、山間の傾斜をそのまま利用した広々とした農園で循環型農業に取り組んでいる。
◆Antipasto 前菜2◆ チンクエ・フォルマ
チンクエ・フォルマ
第二前菜は、5種のチーズそれぞれにイタリア料理法をひと手間加え組み合わせた前菜です。 5種の個性豊かなチーズが反発しあうことなく相互に引き立て合う様は、華厳の世界観である「ミクロからマクロ、マクロからミクロ」そのものを表します。 神山である御蓋山ミカサヤマ (春日山)の麓、東大寺のお膝元であり興福寺の元敷地内空中2階ボルゴ・コニシで日々過ごす、奈良で育った私という料理人からしか生じないチーズ料理です。 イタリアの代表的な5種のチーズを結集し湧き上がるミルクの泉を表した、平和を象徴する一皿です。
イタリア料理コンテスト『プレミオアッチ2019』において全国3位入賞の5種のチーズを使った前菜。イタリアチーズ熟成士ジョリート氏のチーズを使用。ゴルゴンゾーラと焦がしはちみつのパンナコッタの土台をドーナツ状にくり抜き、モッツァレラチーズを溶かしたスープを流し込む。パルミジャーノ・レジャーノ(24か月熟成)を薄くシート状に焼いて乗せ、アバーテ(山羊)とラルドのバットゥータ、マスカルポーネとアマレッティのバットゥータをそれぞれ丸めて乗せる。湧き上がるミルクの泉をイメージした盛付け。ナイフを入れ流れ出るモッツァレラのスープと共に、5種のチーズがさまざまな味わいを生み出す、なんとも楽しいチーズの前菜。
◆Primo Piatto 『パスタ未来形』◆ アクア・ディ・ポモドーロ
アクア・ディ・ポモドーロ
IW100「パスタ未来形」 未来へ残したいものとして真っ先に浮かんだ “水” 植物が蓄えた水でありイタリア食文化を象徴する野菜の一つ、“トマトの水“をテーマにしました。 奈良の水の歴史と水に対する人々の祈り。それは生きとし生けるもの全てにおける地球の未来への想いと重なります。 水に導かれるように自然に生まれたアクア・ディ・ポモドーロ 。太古から現在、そして未来へ、地球と人類が存在する限り大きく変化することのない普遍性を、今を生きる私が料理という最も平和的な形で奈良から発信する、未来につながる豊かな自然の大切さを表現したパスタです。 より詳しい説明はこちら→https://borgokonishi.com/blog/?p=2540
奈良市前田農園 のトマトの力を借りて濾過された、大地の水の恵みを素直に表現した。トマトの旨みと水分を抽出したトマト水のみずみずしく体に染み込む感覚と、その一方で味わいに集中すると、トマトの旨みが凝縮した濃厚なソースが口中に広がる。大和橘のピールを削って仕上げることで、トマトの香りがより一層引き立つ。その香りと共に体に染み込むトマト水が、古代から現在、未来全てがある “今” を覚醒させる。
大和橘とは・・・古事記に“非時香果”(ときじくのかぐのこのみ)として記され、万葉集の多くの歌にも詠まれている。 山の辺の道や中ツ道を中心に栽培されており、「なら橘プロジェクト推進協議会」の長年の地道な活動により絶滅の危機を乗り越えようとしている。 ボルゴ・コニシが大和橘に出会ったのは2017年。今では無くてはならないとても大切な食材である。 中ツ道は、奈良盆地の中央より東を南北に平行する三本の縦貫道。東から上ツ道(かみつみち)、中ツ道(なかつみち)、下ツ道(しもつみち)。「大和三道」ともいう。
奈良市前田農園について・・・代々続くイチゴ農家から、3代目の当代がトマト専業農家へと舵をきった。
水田に向く盆地である奈良の土壌を、独自の研究と試行錯誤を重ねナスの接ぎ木によりトマトの好む枯れた土と錯覚させる方法を実現した。
工夫に工夫を重ねた可能な限り自然な農法、作業効率の向上、収穫の安定化、次世代への引継ぎ、更には近隣の耕作放棄地利用への提案と実施に向けての活動など積極的に行う農園。
◆Second Piatto メイン料理◆ ボリートミスト ~大和 YAMATO~
ボリートミスト~大和 YAMATO~
奈良の高原で育まれる食肉と野菜のソースで、奈良の山野を表現したボリートミストで締めくくります。 奈良盆地を囲むように広がる山々で育った鴨、豚、牛から、肉質に現れるそれぞれの山の標高、気温、湿度、水、土、植物などを想起させる、メインディッシュにふさわしいイタリア料理です。 海がない奈良県が未来の美しい水を守るためにできることは、美しい山を保つことです。
御所市 倭鴨(やまとがも)、五條市 泉澤農園のばあく豚を使った自家製サルシッチャ、宇陀牧場 井上牛の奈良県産3種の肉をボリートミストに仕立てた。それぞれ個別に適正な温度で時間を変えて茹でた肉に、炭火で炙って仕上げることで、各肉の味わいに輪郭が現れる。茹でる際に取れたスープは吉野葛でとろみを加えた。添えるソースは、大和橘の葉のサルサヴェルデ、曽爾高原産 梅のモスタルダ、前田農園のトマトを使用したバニェットロッソ。奈良の各食肉の特徴と野菜のハーモニーが存分に楽しめる、イタリア料理の最大の特徴であるワクワク感が伝播するメイン料理。
倭鴨(やまとがも)とは・・・奈良県御所市の標高452mの葛城山麓で飼料・飼育環境・飼育日数にこだわって飼育された合鴨肉。脂質と赤身のバランスが絶妙で、芳醇な旨みが特徴。
ばあく豚とは・・・奈良県と大阪府の県境に位置する標高1125mの金剛山麓の麓にある、農業と畜産業を営む泉澤農園で飼育されている。母系の黒豚からきめ細かい肉質を得、霜を降らせるためデュロックという茶豚を交配した。餌は小麦、大麦、大豆、飼料用米を自家配合した飼料を使い、肥育期間は通常6ヶ月のところ、約7.5ヶ月かけて育てた豚。
宇陀牧場井上牛とは・・・標高400mの宇陀の地で、当代 井上源一氏により昭和43年牛一頭から創業。昼夜の温度差が大きい環境がもたらす、きめの細かい肉質が特徴。原材料から配合割合までこだわった飼料を与え、一頭一頭徹底した飼育管理と愛情を込めたケアのもと育てる。
曽爾高原とは・・・ススキの名所で、官民共同組織による村内で育った米や野菜のブランド化などを目指す農業と、木材加工による付加価値の創造を目指す林業の両分野を中心に、村内で展開する地域イノベーションによる創業を支援しながら、持続可能な農林業の実現を目指している地域。
◆Granita 口直しのシャーベット◆ 桂のリーフティーのグラニータとヘーゼルナッツ ~クロッカンテ~
桂のリーフティーのグラニータとヘーゼルナッツ ~クロッカンテ~
桂の落ち葉から香るカラメル香を抽出して作るグラニータにヘーゼルナッツを削ることで、クロッカンテを表現しました。 和ハーブ協会会長も驚いた、医食同源や地中海食を思わせるプレドルチェです。
◆Dolce デザート◆ 柿のアマレッティ 柿酢のジュレと吉野ニッケイを添えて
柿のアマレッティ 柿酢のジュレと吉野ニッケイを添えて
日本料理に於いて水菓子としての柿をドルチェとして成立させることが、日本そして奈良でイタリア料理を通じて食文化の更なる向上と普及へとつながる、との思いから考案しました。 奈良県は柿の栽培面積全国第3位、収穫量全国第2位であること、またイタリアでも親しまれているフルーツである柿のドルチェで皆さまを口福にします。
奈良県産柿を使用。リコッタに、柿、アマレッティ、リンゴを混ぜ込み程よく熟した柿で包み、柿酢のジュレを添えた。柿酢のジュレの熟成感のある酸味と生リンゴのフレッシュな酸味が重層的に柿とリコッタの甘みを引き立て、アマレッティの香りが華やかに香る。吉野肉桂の葉をパウダーにして添えることで、より洗練されたドルチェに仕上がった。ジューシーでありながら繊細な甘さが特徴の奈良の柿に、イタリアの料理法を合わせることで柿特有の風味の輪郭が際立った。新たな味わいの発見がある一皿。
柿酢について・・・奈良県五條市に本社を構える石井物産の直営店「柿の専門 いしい」の柿酢を使用。石井物産は1965年梅とミョウガの加工会社として創業。その後、漬物の下請け会社として事業を拡大し、1981年干し柿以外の柿の加工品がほとんど無い時代に、「傷つき捨てられる柿をなんとかしたい」という想いから柿の加工を始めた。 現在、柿酢以外にも様々な干し柿や、柿ようかん、柿バターやケーキなど贈り物にもぴったりな豊富な品揃えで、JR・近鉄奈良駅周辺の直営店や土産物店にて購入可能。 特に野菜との相性が抜群でボルゴ・コニシでは多用している。 辰誠園について・・・標高約450mの高原に位置し、農薬と化学肥料を必要最低限に抑え、環境への負荷をできるだけ減らす農法に取り組んでいる果樹園。 吉野高原で太陽の光をいっぱい浴びた完熟の柿は、通常より糖度が高く濃色で食味が良い。昼と夜の寒暖差があることから県内では珍しい、さくらんぼの栽培も行っている。
◆Caffe e dolcini 小菓子 食後のお飲み物と共に◆ アマゾンカカオのモディカチョコレート 大和橘のフレーバー 希望の花 ストライプペポとアマゾンカカオバター
アマゾンカカオのモディカチョコレート 大和橘のフレーバー/希望の花 ストライプペポとアマゾンカカオバター
小菓子は、アマゾンカカオと奈良の新たな食材を組み合わせて未来への想いを託しました。 アステカ文明を起源とするシチリアのモディカチョコレートには大和橘を添え、日本とイタリアのこれからも変わらぬ友好関係を象徴します。 “希望の花“と名付けた菓子には、アマゾンカカオバターに現在奈良県が品種改良及び将来性を模索しているペポカボチャの種子 ”ストライプペポ“ を添えました。 僅かな可能性から生まれた植物から料理人が新たな一面を引き出し、光を当て、人々にその価値を広め共有し楽しんでいただく、未来が地球にとって素晴らしいものであるよう願いを込め、コースを締めくくります。
ストライプペポとは・・・2014年に品種登録された寒冷地向きのペポカボチャ(種子食専用のカボチャ品種)の一種。 製菓業界などに於ける国産の食用種子に対する要望から始まった。国の研究機関である農研機構北海道農業研究センターで開発が行われ、栽培し易く種に厚い殻がないため殻を剥がす必要がない、また種子収量が既存品種に比べ多い品種として開発された。 種子が優良である反面、果肉が大きいため栽培面積を要する上、食味が悪いことから種子だけでは採算が合わないと当初は栽培農家が増えず無駄な開発だったのでは、という声も聞かれるようになった。 そのストライプペポに2015年、奈良県農業研究開発センターが着目。当センターは、“オンリーワンの研究開発を目指し、奈良ブランド力の強化を図っていく” を指針としている。 奈良県桜井市の圃場では1株から3~6kgの果実が2~4個収穫でき、1個の果実からは50~110gの種が収穫できた。以来毎年栽培し、現在100g1,000円で商品化している。 北海道と奈良県では、次なる課題である果肉の有効利用について研究が続けられている。