9月5日(火)から9月10日(日)まで期間限定でご用意いたします、五條市益田農園さんの野菜にスポットを当てた、奈良の美味しさ発見!スタジオーネ・コースの詳細が決まりました。

*マークが益田農園の野菜を使用したお料理です。
Stuzzichino~フィンガーフード Benvenuto NARAようこそ、奈良へ~
蘇蜜 二上山
ピッツァマルゲリータ
古代ひしおと大和大鉄砲豆腐のラビオリ 山椒のアクセント
Amuse~アミューズ~
今西本店奈良漬けのリゾット 大和茶のスープ ~Chagayu~
Antipasto ~第一前菜~
*とうもろこしとトリッパビアンカの前菜
Antipasto ~第二前菜~
チンクエ・フォルマ
Primo Piatto~パスタ料理~
*玉ねぎのフリッジョーネ タリアテッレ*
Second Piatto~メイン料理~
*宇陀牧場井上牛のグーラッシュ ヤマトトウキのアクセント*
Granita~プレドルチェ~
梨のグラニータ
Dolce~デザート~
*柿のアマレッティ 柿酢のジュレを添えて*
Caffe e dolcini~小菓子~
アマゾンカカオ トルタカプレーゼとモディカチョコレート
自然を感じ、観察し、専門知識と技術を用いて、人と自然が無理をしない共生を図っていく、今世界があらゆる分野で目指す持続可能を実行している農園が五條市にもありました!
素材をよりクリアに抽出したイタリア料理に変えて、シェフ山嵜が表現する野菜の魅力を是非味わってみてください。

さて、どんな料理か気になる方は、続きをご覧ください。
<ソムリエ・エクセレンスの料理解説>
*とうもろこしとトリッパビアンカの前菜*
奈良県産トウモロコシと北海道産ベビーコーンの共演が実現した。
産地ごとの収穫期のズレにより実現したコラボレーションなのだ。
以下、トウモロコシの成熟順にご説明する。
村上農場のベビーコーン、益田農園の完熟トウモロコシ、そして仕上げの自家製ポップコーンは生駒市ひらひら農園の乾燥トウモロコシ。
トウモロコシの生育過程を同時に一皿にのせて味わうことで改めて、土、水、風、太陽、人の英知の恵みを感じずにはいられない。
村上農場のベビーコーンは間引くのではなく、白いトウモロコシ”ピュアホワイト”をヤングコーン専用に栽培されたもの。ピクルスにしてみずみずしさを閉じ込めた。
益田農園のトウモロコシは、素直でまっすぐでおおらかな味わい。一粒一粒に大地の水が充満している。ピュレにすることで更に凝縮した。
ひらひら農園の乾燥トウモロコシで作るポップコーンは、一粒でお客様が不意を突かれて笑顔になる味わい。映画館でポップコーンを食べる習慣は私にはないが、このポップコーンならやってみたい。
そして全体をまとめる指揮者にはトリッパを抜擢。高品質な国内産を使用した。
主役がトリッパではなくトウモロコシというところが、野菜の美味しさを発見し引き出すことが得意である総合プロデューサー、シェフ山嵜らしい一皿。
トマトを使わず香味野菜と白ワインで煮込んだトリッパビアンカの爽やかな香りは、フレッシュなベビーコーンの香りを際立たせる。
軽やかな油脂分は旨みとなってトウモロコシの凝縮した甘みを引き立てながら全体をまとめる。
表面を程よく炙ったピクルスの酸味が口中をさっぱりとさせて、ポップコーンの香ばしさと共に焼トウモロコシを演出する。
様々なトウモロコシの共演、ブラボー!
*玉ねぎのフリッジョーネ タリアテッレ*
玉ねぎを最も生かせるイタリア料理を探して辿り着いたのが、エミリア・ロマーニャ州の農村起源のソース、フリッジョーネ。
玉ねぎを薄くスライスし、ごく少量の砂糖と粗塩に漬け込んで3時間マリネする。2時間弱火で煮た後、玉ねぎの1/4量のトマトを加え更に1時間半ほど玉ねぎが煮崩れるまで煮る、以上。
・・・・・いくら何でもこれは・・・・大量の玉ねぎを無駄にしたらどうする?しかも相当時間を割くことになる・・・・
更にいろいろなイタリア人のレシピや記事を調べてみると(Grazie, Italia! Thank you, Google翻訳!)こんな一言が。
「リッチにしたい気持ちはわかります。だけど、心配せず私たちを信じてください。シンプルだけど間違いなくオイシイから!」
シェフ山嵜は、益田農園の玉ねぎとイタリア人の言う事を信じた。ありがとう、シェフ!
今回のコースの中でも特におすすめの逸品!
益田農園の玉ねぎの特徴はまろやかな辛味。味が薄いとか、玉ねぎらしさが淡いわけではない。味わいと香り自体は間違いなく濃い。
火を入れても玉ねぎらしさが崩れることなく、香りがしっかり鼻腔を満たす。辛味が熟して角が取れまろやかになっている、という印象。いろいろな玉ねぎを有名産地から取り寄せたこともあるが、このような玉ねぎは初めてで何と説明したらよいかわからない。
ワイン用のブドウに例えると、果肉が酸味を最後まで保ちつつ時間をかけて完熟していく過程で、種までが熟し渋みが消えナッツのようになった最高の状態、これが益田農園の玉ねぎを初めて食べたときの私のイメージだ。
手打ちのタリアテッレに絡んだ益田農園の玉ねぎのフリッジョーネ
「リッチを求める気持ちはわかります。だけど、心配せず私たちを信じてください。シンプルだけど間違いなくオイシイから!ありがとうございます、益田農園さん!!」
*宇陀牧場井上牛のグーラッシュ ヤマトトウキのアクセント*

大和当帰は、セリ科の多年生植物で生薬としてに漢方薬に根が使われる。奈良県は「大和物」と呼ばれる良質な薬用作物のブランド産地で、その代表がヤマトトウキだった。現在も重要な生薬であるが中国産に依存している。栽培が最も盛んだった昭和57年頃から現在は30分の1まで激減した。
奈良県では栽培農家を増やしヤマトトウキの国内自給率を高めるため、栽培技術を改善することに成功し、根を育てるために廃棄する葉を食用として有効活用することを提唱した。その後、少しずつ栽培農家が増えている。
5年以上前になるが、イタリア料理に使えるか試して欲しいと依頼を受けたことがある。欧州各地では、同じセリ科のセイヨウトウキが各地に自生しており「天使のハーブ」と呼ばれ食材に用いられることから期待が高まった。
検証の一つの ”できるだけ沢山使用する” を実現したかったが思いのほか強い香りだったので、大量に使うならイタリアンよりアジア料理には良さそうだとお伝えした。
当時パクチーブームが起こったが、パクチー好きには是非試して欲しい。
さて、益田農園産のヤマトトウキは、今までで最も香り高く美味だった。
グーラッシュにぴったりだと思った。
グーラッシュは、ハンガリーから北イタリアに伝承した煮込み料理。スパイスやパプリカを効かせた赤ワインで牛肉のかたまりをじっくりと煮込む。
こちらも前回のブイオーネと同様、リストランテ イ・ルンガのスタジエ時代、当時セコンドだった山崎シェフに教わった。山崎シェフのスパイス使いは秀逸どころか、神がかっている。少しでも追いつこうと、教えていただいたグーラッシュを作り続けている。
大和橘のピールを削って、柑橘の香りでより一層スパイスの香りを引き立て軽やかに仕上げるボルゴ・コニシのグーラッシュに、今季は益田農園のヤマトトウキのオイルが加わった。
ヤマトトウキの爽やかな香りが清々しく、スパイスと相乗する。食後感が軽やかでスパイスとハーブによる医食同源を体感できる一皿。
*柿のアマレッティ 柿酢のジュレを添えて*

奈良県の柿の収穫量は、ここ20年変わらず和歌山県に次ぐ2位を保っている。
日頃から何とかデザートにしたいと思っていた。
柿を主役にと考えたとき、柿より強い食材や調味料は使えないと思い込んでいた。その時点でイタリアンドルチェには難しいと諦めていた。
それを覆す偶然から生まれたドルチェなのだ。
前述のヤマトトウキの数年後、新たな柿の加工品を使った試作を求められたことがある。それは柿の味も香りも全て失われ、一応食べられるオレンジ色のものだった。
「成功すれば農家さんが助かるんです」と言われたが、まずこの状態を誰も喜ばない気がする・・・・と思いつつ万が一の可能性を探るべく、シェフの試作とソムリエ山嵜の官能評価をひたすら繰り返した。
常に素材の良いところを発見し引き出すことに尽力しているため、味うんぬんよりも魂抜かれたかのような柿が不憫で非常に苦痛だった。遂に万策尽きて最後の砦、というかやったことがない ”完全に素材を覆い隠す” を試してみた。
柿の繊細さを崩さないクリームとして自家製のリコッタをベースにした。香りをアマレッティで加え、酸味をリンゴで補う。仕上げのアクセントには、シェフお気に入りにの調味料 ”柿の専門 いしい” の柿酢のジュレ。
結局、覆い隠すぞ!と言いながら思考は素材を消せないようだ。
これなら普通の柿でいける!とすぐに生の柿で試し商品化した。
そして今季は、嬉しいご縁記念に益田さんの柿からスタート。素直で自然な味わいは調理にも向いている。野菜と共通する愛のこもった「益田農園印の味」。
益田さんの野菜、ブラインドで当てられるかもしれない。
仕上げには、高貴な香りに魅了される、吉野ニッケイの葉をパウダーにして添えた。
きっかけをいただいた加工品に関しては、申し訳ないが正直に結果をお伝えした。その商品を使うことはできないけれど、柿をそのまま使っておりますのでご勘弁を。
奈良の美味しさ発見!9月のスタジオーネ・コースは、愛情たっぷり五條市益田農園さんの野菜の魅力を存分に引き出した、ボルゴ・コニシ流イタリア料理です!
是非ご賞味ください!ご来店お待ちしております!
*五條市益田農園さんの野菜を購入できる場所
奈良のうまいものプラザ(JR奈良駅構内1F)