ソムリエ協会機関紙『Sommelier』”石田 博のペアリング探訪記” に掲載されました ~いきさつ編~ 1/

人生、時として予想もしないことが起こる。

ソムリエ協会機関紙『Sommelier』(2022.11.NO189)”石田 博のペアリング探訪記 Series4” に掲載された。つまり、ソムリエ協会副会長 石田博氏が、ここ奈良のリストランテ ボルゴ・コニシ ソムリエ・エクセレンス 山嵜愛子の取材にお越しになったということだ。取材は2022年9月末だったのだが、現在我が人生ダントツ一位のご褒美といっても過言ではない。

ここで石田博氏について経歴をご紹介させていただく。

石田 博氏:1990年「ホテルニューオータニ」入社、1994年「トゥールジャルダン東京」配属。「ベージュ アラン・デュカス東京」総支配人、「レストラン アイ(現KEISUKE MATSUSHIMA)」シェフソムリエを歴任後、2016年「Restaurant L’aube(東京・東麻布 レストランローブ)」開業。現在「ホテル雅叙園東京」顧問、「HUGE」コーポレートソムリエ。(一社)日本ソムリエ協会副会長として人材教育を中心に活動しソムリエ職の地位と質の向上に努める。数々の執筆や著書多数。
2014年内閣府黄綬褒章を受章
1996,1998,2014年 全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
2015年 アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール優勝
2000年 世界最優秀ソムリエコンクール第3位入賞
2016年 世界最優秀ソムリエコンクールセミファイナリスト 

要するに、スーパーマンです。日本を代表する世界トップクラスのソムリエで、今だトップランナーである上に多くの若手ソムリエを育成するという、類まれな人物である。・・・・このような方が、山嵜愛子の何を取材するというのか・・・・・(失神)

掲載誌である日本ソムリエ協会発行の機関紙『Sommelier』とは、日本ソムリエ協会の会員や関係各社に隔月で送られてくる情報誌である。ワインはもちろん、酒類、関連業界、飲食業に関連する社会情勢や政治経済など業界の”今”と概要を知ることができる。
書店には並ばない。よって当ブログでは今回の取材のテーマでもある私の ”日々の業務やペアリングに対する思想と流儀” を取材体験を交えながらお伝えし、ボルゴ・コニシの活動の一部をご紹介できたらと思う。

それにしても何がどうしてこうなったのか。人生何が起こるかわからない。そもそもソムリエになることも経営の片棒を担ぐことになることも全く予想していなかった。その上、だ。
7月上旬、それは唐突な短いメールから始まった。

ソムリエ協会編集部からのメール、しかも個人宛とは、恐る恐る開いてみた。短いメールの中に目を疑う一文が。
「石田副会長からのご指名ですので、是非取材のご承諾を・・・」

・・・・・・・・なぜだ、なぜだ?ご指名とはどういうことだ、有り得ない!!SNSの個人アカウントも持っていない、故にフォローなどで万が一にも見つかるはずもない。唯一考えられるのは、シェフ山嵜が石田さんをフォローしているからか。それでも、大勢の中の一人であり有名で多忙なスーパーマン 石田さんからすれば気にも留めないはずだ。(汗汗汗)

これについては取材当日、石田さんに半ばドラマチックな答えをうっすら期待しつつ伺ったところ「ソムリエ・エクセレンスで、地方のお店で、こう言っては申し訳ありませんが有名ではない方、つまり広く知られていない方、という条件です」
すっきりと迷いのない大変良い声と紳士の微笑で、爽快な風の如し。
はい、それは間違いなく私です。

さて、メールを受け取りすぐに了承の返信を送ろうとした・・・待て!
書店には並ばないが、逆に読者は専門家比率が高い。お世話になっている業者さんとかインポーターさんとか、ご迷惑になることはないか。それ以前に、石田さんがわざわざ奈良に来てがっかりなんて絶対ナシ!!!

それにこの石田さんの数年に渡る連載は4シリーズ目に入ったところで、ここ数号今までになく一流店が続いている。資生堂パーラー、ジョエル・ロブション、三井倶楽部、そして、ボルゴ・コニシ?????おかしい!ツッコミどころ満載すぎる。誰も石田さんを止めなかったのか?
ちなみに2店舗ずつ掲載されるのだが、ボルゴ・コニシが一緒に掲載されていたのは、星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳だった。
これらのお店は前述の石田さんのお店の選定条件に当てはめるとこうだ。「一流店のソムリエとシェフって、どんな人?その人の思想と流儀、私も知りたい、取り入れたい!」これは私の心の声でもあるのだが、それとボルゴ・コニシと、違う!全然動機が一致しない!

「すみません、間違いでした」と言われる前に私は急いで了承した。こんなチャンスは二度とないし、恥をさらそうが構わない。ベストを尽くすまでだ。
シェフはメールが届いた時点で「ヤッター!石田さんに食べてもらえるの、凄い!!あれもいいな~、でも季節が違うか・・・取材の日ってどんな気候?あんまり胃腸に負担かけない方がいいよな~、ワインも飲むし忙しいだろうし。でもあれは外せないなぁ。あ、もちろん取材受けるよね?」
・・・・・料理コンクールでイタリア人シェフに食べてもらえるとわかった時と全く同じ反応だ。

ペアリング探訪の大きなテーマであるソムリエの ”思想” と ”流儀”。リストランテ ボルゴ・コニシのソムリエとして大前提にある流儀は、”まず料理ありき” だ。
シェフの料理選定においてコンクール優勝の栗とラルドのリゾットは必須だったので、提案された取材日の選択肢から栗の収穫スタートに合わせて最も遅い9月下旬にしてもらった。それでも栗が入手できるかどうか、今年の天候にかけるしかない。

準備期間は2ヶ月以上ある。料理は11月掲載を考慮しつつ、シェフ山嵜の ”これだけは食べて欲しいベスト4” 。この際、徹底的にベストワインを見つけることにした。ただ合うワインではなく、料理と合わせることで更に幸せになるワインのロジックを見つける!!

始まりました、目標に向かってひたすらテイスティングとペアリングの日々が。
各料理に合うと思われるワインを様々な角度からピックアップし実際の営業で提供しつつ、休憩時間に取材用の料理を作ってもらって検証を重ねた。
日々の業務をより丁寧に振り返り見直す。基本のテイスティング、グラスと温度による変化、開栓から日々の風味の移り変わりとヴィンテージや醸造方法との関係を探っていく。改めて更に細かく、そのワインの特徴に合わせて料理との組み合わせを絞っていった。

正直、このような検証は通常不可能である。新たな料理を試食する際はグラス提供用に抜栓したワインで、ある程度合う合わないの見当をつけ探っていく。だが、レシピが完成した料理を、ワインに合わせてみたいから何度も作ってもらうなどということはあり得ない。
またワインを開けたからには、ソムリエとして責任をもって売らねばならない。通常は料理ありきだが、今回ばかりは開けたワインに合う料理を優先してコースを組み立ててもらい、フードロスのないよう検証をすすめた。

毎日続けるうち、出るわ、出るわ、自分の未熟さ、いい加減さ、無知さ、ひぃぃぃぃぃ~。恥ずかし、恥ずかし、あぁ、恥ずかしい。

昔から、国家資格などを除いて日本の資格試験というものに懐疑的だった私が、なぜソムリエになったのか。
ことソムリエについては実際見たこともなかったし興味を持つ機会さえなかった。ホテルなどに就職してたまたまレストランに配属されワイン担当になった人をソムリエと呼ぶのだろうくらいに思っていた。
だが、実際は違った。受験する際、既にワインや酒類に関して一定期間以上の実務経験と受験時に現役であることが条件だと知り、先に経験が必要だということに驚いた。合格率も受ければほぼ合格というものではないし、4択のマークシート方式で、受けてみるとわかるが勘ではまず当たらない非常によくできた選択肢なのだ。そしてソムリエ・エクセレンスに至っては容赦のない切り捨てようで、合格率は悲惨としか言いようがない。だからこそ実際本当に役に立つ。
もちろん、資格がなくてもワインを販売して良いしソムリエのような仕事をしても構わないが、有資格と無資格ではそれこそ思想や流儀に差が出てくるように思われる。

資格を取得してからが新たなスタートだ。特に試験のために得た知識は、実務に於いて威力を発揮する。ソムリエとしての思想や流儀は、機関紙やセミナー、ウェブサイトや雑誌の情報、レストランで実際に食事をすることなどから日々取り入れていく。

こうしてワインと無縁だった私がソムリエという職業に出会い、イタリア料理という食文化に携わることで人生が豊かになった。実務では自分の至らなさと改めて直面し卒倒しそうになりながら、現実逃避的にあれこれ考えながらやっと納得できるところまでたどり着いた。石田さんにレジュメを送信できたのはご来店数日前だった。
取材の所要時間は2時間。その間に私たちの経歴、ソムリエの思想と流儀、4皿の試食とワインペアリング、このハードスケジュールをこなすため私の勝手な判断でレジュメを作成した。寸前に頼まれていないものを逆にご迷惑では、と悩んだが取材メモの短縮になればと思い切って送った。
掲載された記事の最後 ”取材を終えて” にこう記されていた。

取材の数日前に送られてきた資料には料理の詳細、ストーリー、ワインのテクニカル情報、ペアリングのアプローチが丁寧に記されていた。ソムリエ・エクセレンスの名に相応しい、まさに卓越した仕事だ。

身に余るお言葉・・・・・。本当にありがとうございました。

・・・・・・つづく・・・・・・・


『 第9回サクラアワード2022 』の受賞ワインが発表されました 

先日、第9回目を迎えるサクラアワード2022審査会に行ってまいりました。
昨年はコロナ禍のため参加を見合わせましたが、本年は大阪会場の審査会に参加させていただきました。

本日、2022年4月28日2022年度全受賞ワインが発表されました。
*ダブルゴールド ; 286アイテム
 内、より優れたダイヤモンドトロフィー ; 60アイテム
*ゴールド ; 1,425アイテム
*シルバー ; 614アイテム
総計2,325アイテムが受賞の栄誉に輝きました。
特別賞には、8つの「特別賞」と9つの「和食・アジア料理に合うワイン賞」があり、ゴールド以上の受賞ワインの中からそれぞれ10アイテムずつ選ばれました。
さらに、それぞれ最高得点のワインには「グランプリ」の称号が与えられました。
各賞の特徴 ; http://www.sakuraaward.com/jp/outline_award.html

サクラアワードって何?という方は、公式ホームページ、または当ブログの最後にまとめましたのでご覧ください。
サクラアワード公式HP ; http://www.sakuraaward.com/jp/sakuraaward.html

受賞ワイン一覧とワインリストの味方 ; http://www.sakuraaward.com/jp/result/2022.html
受賞ワイン検索 ; http://www.sakuraaward.com/jp/award/search/

ワインリストを見てみましょう。
うわぉ・・・字だらけ、無理・・・と拒絶反応が起きそうですが大丈夫です。
好きな国や興味のある国、えぇー、こんな国、あんな国まで!!と眺めてみましょう。
そして地域ごとに興味の向くまま好みのまま、ワインのタイプや品種、受賞とヴィンテージなど眺めているうちに、あ、これ欲しいかも♪とときめいたらインターネット検索してみましょう。
アルファベット読めぬ・・・無理、無理・・・とシェフ山嵜なんて蕁麻疹。でも大丈夫。生産者名やワイン名をコピー、ペーストして検索しましょう。

そもそも、そんな無駄な努力は放棄しましょう。小難しいことはプロにお任せ♪ショッピングのついでに通りすがりのワインショップで、偶然の出会いを楽しむのがお勧めです。ワインショップなどでは、受賞ワインに上記のようなマークが添付され店頭に並びます。見かけたら是非お試しを。
そして、とても気に入ったワインに出会ったら同じ生産者や地域、品種、はたまた輸入会社まで気の向くまま試してみてください。自分の好みが見えてきます。

私が今回審査を担当させていただいたワインの多くは、タンニンがしっかりとした品種のアンオークド赤ワインでした。これまで樽熟成が当たり前だったような品種です。

アンオークドは樽ではなくステンレスやコンクリートタンクで熟成されているワインを指し、通常白ワインや若木から作る赤ワインなどに用いられる熟成方法です。繊細な果実味が樽の影響を受けすぎ、フレンチオーク由来のバニラ香やアメリカンオーク由来のココナッツ香が風味の全面に出て、ブドウ品種本来の風味の個性が失われることを避けるために用いられる熟成方法です。

赤ワインの場合、若い木のブドウから得られるデリケートな果汁でも元来タンニンが豊富な品種は、軽く樽熟成することでタンニンの角が取れてまろやかになる効果もあります。そのような品種をアンオークドにすると、果実味に対しタンニンが若々しく強すぎてバランスを崩すので、やはり樽熟成が主流でした。

逆に、高樹齢の木からとれるブドウの場合もアンオークドの可能性があります。

一般的に寿命50年といわれているブドウ樹は、植樹後7年から20年は元気いっぱい、収量が増えていきます。収量が落ち始める20~30年を目途にブドウ樹を引き抜き、植え替える生産者もいます。前述の ”若い木” はこうして生まれます。

一方、高品質なワインを作るためには、なりすぎた房を間引き1本の木になる実の量をコントロールし、残ったブドウに木の栄養を集中させ凝縮した果実を作ります。樹齢20年から35年頃まで、自然になる実の量が減り始める代わりにブドウの量と質のバランスが良くなっていきます。樽熟成に耐えられる凝縮した果実が収穫できるようになります。

寿命50年と言われつつも大切に管理された木は100年以上生きます。高樹齢に明確な規定はなく、明記するかしないかは生産者の哲学によります。
なる実は少なく小粒で、房に空間がありますが日光が十分に当たり腐敗しにくく、栄養が集中します。その果汁からはなんとも複雑で滋味深いワインが作られます。若い木のブドウの繊細さとは全く違う繊細さ、このデリケートで複雑な風味を最大限に活かすため、余計な樽香がつかないようアンオークドにします。

審査したアンオークド赤ワインは、いずれも甲乙つけがたい高いレベルでした。エレガントで爽やかな香りと綺麗な果実味、タンニンは細かくまろやか、ヴィンテージが若くても荒々しいタンニンに口中が覆われることもありませんでした。それをベースに生き生きとした果実味や爽やかさを活かしたものから、緻密な複雑さや長い余韻が表現されているものまで多彩。
後者に関しては悩むことなく、満場一致ゴールドでわかり易いのですが、それでも時折、皆手を止めて「んんんんん~~~~、どうしたものでしょう」と嬉し悩まし審査会でした。

アンオークドのついでに樽香について少し。

樽香が大好きだったロバート・パーカーのパーカーポイントが猛威を振るっていた1990年代後半をピークに、パーカーポイント高得点を狙った過度ともいえる樽醸造樽熟成が一気に増加しました。しかし栽培技術も向上する中、また世界中の食のライト化から、もっと自然な味わいを求め樽至上主義を見直す生産者やワイン評論家が少しずつ増え始めました。

ロバート・パーカーは、小さな無名の生産者が作るワイン(いわゆるガレージワイン)も「良いワインに間違いない、私が保証します!(=私は樽香が大好きなのだ。好きなものは好き!)」とはばかることなく高得点を与えることで、世界中の大小さまざまな生産者に勇気と希望を与えました。そして高得点を目指して多くの生産者がチャレンジし、樽を使いこなせるようになることで、ワインの品質を一気に押し上げたと言えるでしょう。パーカー自身は現役を徐々に退き2019年完全な退社と引退を表明しました。

そして今、世界中のワイン生産者が高度な知識と技術を駆使し自らのワインに改めて向き合うことで、もっと自由に羽ばたき始めています。

樽香が好きだった人も、樽香って何?という人も、ワインの新たなステージは世界各国多種多様に広がりつつあります。固定概念を取り払い自由に楽しみましょう!うんちくも何も必要ありません!安かろう悪かろう、無名だし怪しかろうは忘却の彼方へ、ぽいっ♪

サクラアワードは「日本の家庭料理に合うワインを探す」「ワインの消費拡大」「ワイン業界で働く女性の活躍を促す」を目標としています。ご家庭で、プレゼントに、ワインを扱ったことがないが興味があるという飲食店や酒屋さんなど、ワイン選びの指標の一つとしてお役立ていただけると思います。

各国から、我こそは!と思いが込められたワインが集まり、不思議とそれは瓶に詰められた液体から私たちにしっかり伝わります。
審査会場は、実行委員の方の事前の途方もない準備や、朝早くから会場やワインの準備、審査中も万全のサポートをしてくださる男性ソムリエチームの皆様のお蔭で、ストレスなく審査に集中できる環境が作られております。今年も体調万全、集中力も最後まで途切れることなく全員が自分の採点に納得し、ベストを尽くした審査会を終えることができました。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

サクラアワードとは
サクラアワードは、2014年に誕生したアジア最大の国際ワインコンペティションです。ワイン業界で活躍する女性のみがブラインドにて審査を行います。世界でも類を見ない画期的なワインコンペティションで、年々国際的な知名度、注目度が高まっています。

審査員は、ソムリエ、ワイン醸造家、ワインスクール講師、ワインジャーナリスト、ワインインポーター、流通、ワイン販売員です。
1グループは5名で、さまざまな業種の方で構成されています。2022年は、1フライト10~14アイテムを4フライト(東京会場は5フライト)ブラインドでテイスティングし採点しました。1名が採点するワインは、1日5~60本です。

審査会が行われるまでには、次の6つのカテゴリー別にワインのエントリーが行われます。
1.スティルワイン赤
2.スティルワイン白
3.スティルワインロゼ
4.スパークリングワイン(白・ロゼ・赤)
 およびセミ・スパークリングワイン(白・ロゼ・赤)
5.フォーティファイドワイン
6.甘口ワイン

エントリーされたワインは更に、品種や製造方法の他、炭酸ガス圧、残糖など、100近くのカテゴリーに基づいて分類されます。
こうしてあらかじめ分類されたワインを審査します。審査員に与えられる情報は、ワインのカテゴリー、ブドウ品種、ヴィンテージ、アルコール度数で、数種類については残糖が表記されていました。審査時間は、1アイテムのワインにつき約3分。前のワインと比較するのではなく、それぞれのワインに100点満点で採点していきます。1アイテムごとに各グループのリーダーが集計を行い、各自の採点に大きく差が出た場合、グループ内で話し合いが行われます。

東京会場と大阪会場で審査されたワインは直ちに集計され、得点に従い各賞が決まります。
各賞の特徴についてはこちらをご覧ください。
http://www.sakuraaward.com/jp/outline_award.html
サクラアワード公式HP ; http://www.sakuraaward.com/jp/sakuraaward.html

シニアソムリエ 改め ソムリエ・エクセレンス 山嵜愛子です

ソムリエ・エクセレンス 山嵜愛子です。・・・って、びっくりした!
認定証と新たなバッジが突然送られてきて、急いでググりました。

なんだか、2015年取得のシニアソムリエの私は、今後”ソムリエ・エクセレンス”だそうです。

日本ソムリエ協会では、2013年シニアソムリエの試験が刷新され、それ以降、皆様ご存知の通り年々難しさを極めておりますが、2012年までの資格取得者は ”シニアソムリエ” 2013年以降の資格取得者は ”ソムリエ・エクセレンス” とすることにしたようです。

さっきから、エクセレンス・シニアとか、シニア・エクセレンスとか、エクセレンス・ソムリエとか、言い間違うんですが、とにかく、そういうことらしいです。

バッジは、帯のデザインが黒色になり以前よりエレガントなサイズでステキになりました。

改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。

サクラアワード審査会に行ってきました

先日、ホテル雅叙園東京にて行われた ”第7回サクラアワード2020 SAKURA Japan Women’s Wine Awards” の審査会に参加しました。

女性たちが選ぶとっておきのワイン サクラアワード

サクラアワードは、日本女性の繊細な味覚で審査する国際ワインコンペティションです。

今年で7回目を迎えたサクラアワードは、ワイン業界で活躍する現役スペシャリストの女性審査員のみで評価するという、他に類を見ないアジア最大級のワインコンペティションとして世界から注目を集めています。

審査員は、ソムリエ、ワイン醸造家、ワインスクール講師、ワインジャーナリスト、ワインインポーター、流通業、ワイン販売に従事する女性たちで、今年は延べ560名の審査員により、世界29ヶ国からエントリーされた4,333アイテムのワインが1月28日㈫、29日㈬の2日間に渡って審査されました。私は、28日の審査会に参加しました。

会場入口

1グループ5名で行います。1時間につき1カテゴリー10~16本を間に休憩を挟んで3回行います。1人35~40本を担当します。審査は完全ブラインドテイスティングで行われます。

エントリーされるワインは、主に酒販店やインターネットで購入できる小売り用のワインが中心ですので、私が通常扱っているレストランで提供するワインとは少し違う観点で評価を行う必要があります。また、事前に届いたエントリーされている約250種の主要ぶどう品種一覧をざっと予習して臨みました。どの品種に当たるかわからないので、印象が曖昧な品種の主な産地やワインの特徴を調べていきました。なんと、聞いたこともない品種が多々あって、日本ソムリエ協会の教本にも載っていない国の固有品種や、補助品種が主要品種として堂々と名を連ねていました。世界中の栽培醸造技術が進化していることが見受けられ、世界の生産者のチャレンジ精神がビシビシ伝わってくるようなリストで心躍りました。

当日は、体調万全!!グループリーダーの大手ビール会社支社長様を筆頭に、富山と山形の酒屋さんからお二人、ワインインポーターから若手営業女子、そして私の5名で挑みました。私を除き、いずれも小売りアイテムに強い顔ぶれで、時折私のワイン評価が皆さんと大きく異なる場合もございましたが、その時がチャンス!!評価のポイントを教えていただくことで、お客様がレストランではなく、日頃ご自宅などでどういったワインを好まれているのか、よくわかりました。全員ソムリエなので言語化が的確だし、逆に言わずともニュアンスが伝わるので大変勉強になりました。

サクラアワード会場風景

このように、1本のワインに対する5名の評価が大きく異なる場合、話し合いをして全員が合意する結論を出すことである程度まとまった評価を出していきます。このシステムにより、単純な多数決ではなく、前後のワインの比較をせず1本1本にしっかり向き合うことができます。1本の評価にかけられる時間は長くて3分ほどで1時間みっちり続き、それを3回繰り返しますが毎本新鮮な気持ちで向き合い続けることができました。実際には本数が多かったり、意見がまとまらないなどで時間オーバーしますので、このシステムは有効でした。

また、当日は全国から50名ほど男性ソムリエが集結、次々とワインを注いだり吐器のワインを捨ててくださいます。更にテーブルに運ばれてくる前にブショネなどがないかチェックが終わっているので、私たちはより一層審査に集中できるという快適な環境でございました。ありがとうございました。

サポートソムリエ

提出した審査結果は集計された後、更にグループリーダーにより高得点のワインを再審査して該当するワインがあった場合、最高位のダイヤモンドトロフィーや特別賞が授与されます。

受賞ワインの発表は、2月14日バレンタインデー。3月に表彰式が行われ、その後あちらこちらでSAKURAイベントが開催されたり酒屋さんの店頭に並んだりします。

ワイン持ち寄りホームパーティやご自宅ワイン、ワインのプレゼントに迷ったら、是非店頭やインターネットで受賞ワインを探してみてください!!正直、惜しくも受賞を逃したワインも美味しいワインばかりでした。TPOに合わせて様々に楽しめるワインが満載のサクラアワードの受賞ワイン、発表をおたのしみに♬

はじめまして、Pipi de chat

Langue de chatラング・ド・シャはご存知、薄焼きクッキー。フランス語で「猫の舌」

Pipi de chatピピ・ド・シャは、ソーヴィニヨン・ブラン(以下SB)で造られた白ワインの香りの表現のひとつ。フランス語で「猫のおしっこ」

・・・・・今から飲もうとするワインに全くふさわしくない表現である。もちろん、「こちらは、猫のおしっこの香りのする・・・」などとお客様に使う言葉ではない。ブラックユーモア好きのフランス人が言い出したとか。私はそれが、突出した青草の香りで、ライムのような柑橘の香りと混ざったとき、少し鼻につんとくる、若干不快なにおいに対して使われる言葉である、と認識していたが、本物のピピ・ド・シャを知らなかったので、その表現は使ったことがなかった。

そしてついに先日、本物のピピ・ド・シャに出くわした。しかし、初めは何のにおいか気付かなかった。SBの香りとはほど遠かったのである。

 

帰宅後、干してある洗濯物を入れるべく裏庭に出て、クロックスを履いたら、右足がびしょ濡れになった。雪の夜だったので、雪が水溜りになるほど降ったのかしら?とあまり気にせず濡れた靴下もそのままに、クロックスの溜り水を捨て、タオルで拭いて驚いた。私の足・・・・・こんなに臭いのか!!!マジですか・・・凍るほどの寒さで、これほどにおうとは、どれだけ臭いの・・・。濡れることにより、私の靴下本来のにおいが発生したのだと思った。例えると、「小学生時代の掃除時間、何を拭いたか知らない雑巾を、すっかり乾いているし、そんなに汚れていないので、まぁいいか、と水につけ絞ってびっくり!臭っ!!!・・・という雑巾を100枚集めてにおいを抽出、更に凝縮してスプレー缶に詰め、いくわよ、シューーーッ」としたようなにおいである。・・・悶絶・・・。

気を失う思いで、脱いだ靴下を洗濯物の下の方にうずめて、そそくさとお風呂に入り、対処法を必死で考えまくった。一体いつからこんなに臭いのか・・・???

そして、ふと気付いた。裏庭の雪の量から考えると、クロックスに溜まった水の量は多すぎる。しかも屋根の下で地面は濡れていないのに、片方にだけたっぷりの水溜り・・・外では猫の声・・・あーーーー!!!もしやこれが噂の“pipi de chat ピピ・ド・シャ“なのでは?

どこがSBなの!(怒)

しかし、ちょっと嬉しい。私の足のにおいではなかったのだ。

遅ればせながら、はじめまして♪

この際、しっかり香りを分析する必要がある。さっさとお風呂から出て、恐る恐る先ほど靴下を埋めた洗濯物に近づくと、おぉぉぉ!!かすかなグレープフルーツのような、ライムのような爽やかな香り!!これは、確かに“良い”SBの香り。しかし、あまり近づくと不快なにおいになる予感がする程度の“良い”香りである。

このピピ・ド・シャと例えられるSBの香りの成分は、チオールの一種、3-メチルカプトヘキサナールである。アルコールと硫黄分子が結合した成分で、汗や蒸れたような悪臭を形成するため、イメージが悪い。本来無臭であるガスに添加されているにおいが、チオール系の中で有名である。しかし、一方で、グレープフルーツ、マンゴー、グァバ、パッションフルーツなどトロピカルフルーツの香りも特殊なチオールに由来していることが判明した。この、チオール系にしては良い香りの成分も、多量になるとやはり悪臭と感じる。

洗濯物に埋もれた靴下からは、ほんのりいい香り。しかし、濡れた靴下で歩いてしまった廊下には、雑巾スプレーの香りが充満していた。クロックスも漂白剤に浸した。

フランス人が言ったとされるピピ・ド・シャは、猫のマーキングとしての尿スプレーだったのかもしれない。または、猫が大好きで、猫と大好きなSBのワインに愛を込めて言ったのかもしれない。だが今回、量と場所から考えて、私は猫のトイレに足を突っ込んだと思われる。この際、マーキングのピピ・ド・シャの香りも体験したいが、自由な猫たちゆえ、難しそうである。

ピピ・ド・シャの香りは、未熟なSBからワインが造られた場合に感じられる香りであり、栽培技術の向上により現在は減少傾向にある。そして今、世界で最も好んで飲まれている白ワインの品種はSBである。フランスだけでなくイタリアでも、そして、南半球の多くの国で生産されており、完熟したブドウから造られるトロピカルフルーツの香りと果実味は、多くの人々を魅了している。

これまでも、そして、これからも、Pipi de chatをSBの香りの表現として使うことはなさそうである。

でも忘れないよ、Pipi de chat。

 

 

2017 めでたきレンズ豆

 

新年あけましておめでとうございます

本年もどうぞよろしくお願いいたします

 

イタリアの年末年始の定番といえば、サルシッチャ(ソーセージ)とレンズ豆の煮込みである。本来は、コテキーノというエミリアロマーニャ地方などで作られる、大振りのソーセージを使用するが、当店ではイタリア産の黒豚のサルシッチャを使用している。

レンズ豆は、サン・シルヴェストロ(大晦日)の夜に富と幸福をもたらす縁起の良い食べ物と言われており、イタリア人による消費量は2012年500万kgを超え、新記録を作った。イタリア人10人のうち9人が食べた計算になるらしい。

また、金貨に似ている、煮ると2倍の大きさになる、などの理由で幸運のシンボルとも言われている。

このようないろんな説が重なって、現在一般的には、レンズ豆をコイン(お金)に見立て、金運開運縁起物として年末年始に食べる料理の定番となった。「今年こそ金運上昇!!」と、願までかけてしまおうという、なんとも楽しいお料理である。

従って、イタリアのなるほど文化を、料理を通して紹介したいRISTORANTE Borgo KONISHIでは、毎年の年末年始の恒例料理なのだ。美味しい体験をする上に、願をかけられるお料理がかつてあっただろうか。年越しそばが近いのかもしれないが、こちらは願掛けではなく「一年の災厄を断ち切る」である。イタリアでは、はっきり明るく「金運アップ♪」と言ってのけるところが、おもしろい。よって説明をしても、きょとんとされることも多いが、是非、楽しんでいただきたい。イタリア料理には、人生を明るくするヒントが隠されている。

今回は、タッツィーナに仕立てて前菜にしたり、毎年定番のラグーソースにしてパスタ料理にしたり、コースでもアラカルトでも、もれなくお召し上がりいただけるようにしている。

ご注文いただいた皆さまの、金運開運の願を、半ば勝手にかけつつ、毎年お出ししているのであるが、2017、リストランテとしてバージョンアップさせた。

旬真っ只中の小松菜のソースをベースにして、サルシッチャとレンズ豆を加え、ほんのり唐辛子を効かせた。

やさしい小松菜のソース・・・と思いきや、唐辛子が絶妙に全体の味をまとめて、それぞれの素材を引き立てるので、おもちを食べてごろごろ過ごした重い胃を、ピシリと叩き起こし、食が進むこと間違いない。

参考にした郷土料理は、サルデーニャ島のビエトラとサルシッチャを使った、ピリ辛パスタ料理である。

ビエトラは、赤い根でおなじみビーツの仲間であるが、ビーツと異なり葉を食用にする。日本名は「ふだん(不断)草」。名前の由来は、葉を取っても取っても次々に若葉が出てきて一年中収穫できるから、ということらしい。

イギリスで「チャード」といえば、わかりやすい。

日本には17世紀かそれ以前にやってきたようで、その後、明治になって西洋種が入った。地方名が多いことからも、各地で作られていたことが、うかがえる。

早春を思わせる鮮やかな小松菜グリーンが、心も体も元気に、そして金運アップ間違いなし!の日伊融合めでたきパスタ。

是非、お試しください。

 

<シニアソムリエ 山嵜愛子のアッビナメント>

お料理の由来からしても、やはり、ヴェルメンティーノ(ブドウ品種)の白がぱっと浮かび、しっくりくるのは納得である。

熟したフルーツの香りの中に、特徴的なオレンジの花、サンザシのニュアンスがあり、甘さを連想させる香りがなんとも心地よい。味わいは、豊かな果実味とまろやかな酸味であるが、決して甘くない。酸味がおだやかなので、初めて飲んでも美味しいと思えるワインである。サルデーニャ島のヴェルメンティーノは、アルコール感がたっぷりしたものが多い。

少々粘度を感じるような、熟した果実味は、唐辛子の効いたソースに合いそうだ。

また、サルシッチャや唐辛子を使用しているとはいえ、小松菜のやさしさも消したくないので、海を渡ったリグーリア州のヴェルメンティーノも合わせてみたい。

同じ品種なので、香りや味わいのニュアンスには、共通したものがあるが、島のほとんどが丘陵地帯と山岳地帯に覆われたサルデーニャでは、しっかりとした厚みのあるワインに仕上がり、サルデーニャより北に位置する、南向き海沿い、東西に細長いリグーリア州の、海の影響を受ける渓谷では、みずみずしい爽やかなワインに仕上がる。特に、州の東端、Colli di Luni DOCコッリ・ディ・ルーニのヴェルメンティーノは、エレガントで有名である。“豆食い”で有名なトスカーナ州ともまたがる産地である。

更に、トスカーナでもヴェルメンティーノが栽培されている。リグーリアとの州境から海沿いに、南に向かって産地が続く。少ない試飲経験から、2州の開放的なトロピカルさと異なり、より涼しげでドライな印象だったと記憶している。あまりドライなワインは、ソースの唐辛子を強調してしまうので、辛いの大好き!な方でない限り、おすすめしない。

実際、唐辛子にワインを合わせるのは難しい。

イタリアでも最近流行っている、ビールが一番なのかもしれない。チャンチャン。