ソムリエ協会機関紙『Sommelier』”石田 博のペアリング探訪記” に掲載されました ~いきさつ編~ 1/

人生、時として予想もしないことが起こる。

ソムリエ協会機関紙『Sommelier』(2022.11.NO189)”石田 博のペアリング探訪記 Series4” に掲載された。つまり、ソムリエ協会副会長 石田博氏が、ここ奈良のリストランテ ボルゴ・コニシ ソムリエ・エクセレンス 山嵜愛子の取材にお越しになったということだ。取材は2022年9月末だったのだが、現在我が人生ダントツ一位のご褒美といっても過言ではない。

ここで石田博氏について経歴をご紹介させていただく。

石田 博氏:1990年「ホテルニューオータニ」入社、1994年「トゥールジャルダン東京」配属。「ベージュ アラン・デュカス東京」総支配人、「レストラン アイ(現KEISUKE MATSUSHIMA)」シェフソムリエを歴任後、2016年「Restaurant L’aube(東京・東麻布 レストランローブ)」開業。現在「ホテル雅叙園東京」顧問、「HUGE」コーポレートソムリエ。(一社)日本ソムリエ協会副会長として人材教育を中心に活動しソムリエ職の地位と質の向上に努める。数々の執筆や著書多数。
2014年内閣府黄綬褒章を受章
1996,1998,2014年 全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
2015年 アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール優勝
2000年 世界最優秀ソムリエコンクール第3位入賞
2016年 世界最優秀ソムリエコンクールセミファイナリスト 

要するに、スーパーマンです。日本を代表する世界トップクラスのソムリエで、今だトップランナーである上に多くの若手ソムリエを育成するという、類まれな人物である。・・・・このような方が、山嵜愛子の何を取材するというのか・・・・・(失神)

掲載誌である日本ソムリエ協会発行の機関紙『Sommelier』とは、日本ソムリエ協会の会員や関係各社に隔月で送られてくる情報誌である。ワインはもちろん、酒類、関連業界、飲食業に関連する社会情勢や政治経済など業界の”今”と概要を知ることができる。
書店には並ばない。よって当ブログでは今回の取材のテーマでもある私の ”日々の業務やペアリングに対する思想と流儀” を取材体験を交えながらお伝えし、ボルゴ・コニシの活動の一部をご紹介できたらと思う。

それにしても何がどうしてこうなったのか。人生何が起こるかわからない。そもそもソムリエになることも経営の片棒を担ぐことになることも全く予想していなかった。その上、だ。
7月上旬、それは唐突な短いメールから始まった。

ソムリエ協会編集部からのメール、しかも個人宛とは、恐る恐る開いてみた。短いメールの中に目を疑う一文が。
「石田副会長からのご指名ですので、是非取材のご承諾を・・・」

・・・・・・・・なぜだ、なぜだ?ご指名とはどういうことだ、有り得ない!!SNSの個人アカウントも持っていない、故にフォローなどで万が一にも見つかるはずもない。唯一考えられるのは、シェフ山嵜が石田さんをフォローしているからか。それでも、大勢の中の一人であり有名で多忙なスーパーマン 石田さんからすれば気にも留めないはずだ。(汗汗汗)

これについては取材当日、石田さんに半ばドラマチックな答えをうっすら期待しつつ伺ったところ「ソムリエ・エクセレンスで、地方のお店で、こう言っては申し訳ありませんが有名ではない方、つまり広く知られていない方、という条件です」
すっきりと迷いのない大変良い声と紳士の微笑で、爽快な風の如し。
はい、それは間違いなく私です。

さて、メールを受け取りすぐに了承の返信を送ろうとした・・・待て!
書店には並ばないが、逆に読者は専門家比率が高い。お世話になっている業者さんとかインポーターさんとか、ご迷惑になることはないか。それ以前に、石田さんがわざわざ奈良に来てがっかりなんて絶対ナシ!!!

それにこの石田さんの数年に渡る連載は4シリーズ目に入ったところで、ここ数号今までになく一流店が続いている。資生堂パーラー、ジョエル・ロブション、三井倶楽部、そして、ボルゴ・コニシ?????おかしい!ツッコミどころ満載すぎる。誰も石田さんを止めなかったのか?
ちなみに2店舗ずつ掲載されるのだが、ボルゴ・コニシが一緒に掲載されていたのは、星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳だった。
これらのお店は前述の石田さんのお店の選定条件に当てはめるとこうだ。「一流店のソムリエとシェフって、どんな人?その人の思想と流儀、私も知りたい、取り入れたい!」これは私の心の声でもあるのだが、それとボルゴ・コニシと、違う!全然動機が一致しない!

「すみません、間違いでした」と言われる前に私は急いで了承した。こんなチャンスは二度とないし、恥をさらそうが構わない。ベストを尽くすまでだ。
シェフはメールが届いた時点で「ヤッター!石田さんに食べてもらえるの、凄い!!あれもいいな~、でも季節が違うか・・・取材の日ってどんな気候?あんまり胃腸に負担かけない方がいいよな~、ワインも飲むし忙しいだろうし。でもあれは外せないなぁ。あ、もちろん取材受けるよね?」
・・・・・料理コンクールでイタリア人シェフに食べてもらえるとわかった時と全く同じ反応だ。

ペアリング探訪の大きなテーマであるソムリエの ”思想” と ”流儀”。リストランテ ボルゴ・コニシのソムリエとして大前提にある流儀は、”まず料理ありき” だ。
シェフの料理選定においてコンクール優勝の栗とラルドのリゾットは必須だったので、提案された取材日の選択肢から栗の収穫スタートに合わせて最も遅い9月下旬にしてもらった。それでも栗が入手できるかどうか、今年の天候にかけるしかない。

準備期間は2ヶ月以上ある。料理は11月掲載を考慮しつつ、シェフ山嵜の ”これだけは食べて欲しいベスト4” 。この際、徹底的にベストワインを見つけることにした。ただ合うワインではなく、料理と合わせることで更に幸せになるワインのロジックを見つける!!

始まりました、目標に向かってひたすらテイスティングとペアリングの日々が。
各料理に合うと思われるワインを様々な角度からピックアップし実際の営業で提供しつつ、休憩時間に取材用の料理を作ってもらって検証を重ねた。
日々の業務をより丁寧に振り返り見直す。基本のテイスティング、グラスと温度による変化、開栓から日々の風味の移り変わりとヴィンテージや醸造方法との関係を探っていく。改めて更に細かく、そのワインの特徴に合わせて料理との組み合わせを絞っていった。

正直、このような検証は通常不可能である。新たな料理を試食する際はグラス提供用に抜栓したワインで、ある程度合う合わないの見当をつけ探っていく。だが、レシピが完成した料理を、ワインに合わせてみたいから何度も作ってもらうなどということはあり得ない。
またワインを開けたからには、ソムリエとして責任をもって売らねばならない。通常は料理ありきだが、今回ばかりは開けたワインに合う料理を優先してコースを組み立ててもらい、フードロスのないよう検証をすすめた。

毎日続けるうち、出るわ、出るわ、自分の未熟さ、いい加減さ、無知さ、ひぃぃぃぃぃ~。恥ずかし、恥ずかし、あぁ、恥ずかしい。

昔から、国家資格などを除いて日本の資格試験というものに懐疑的だった私が、なぜソムリエになったのか。
ことソムリエについては実際見たこともなかったし興味を持つ機会さえなかった。ホテルなどに就職してたまたまレストランに配属されワイン担当になった人をソムリエと呼ぶのだろうくらいに思っていた。
だが、実際は違った。受験する際、既にワインや酒類に関して一定期間以上の実務経験と受験時に現役であることが条件だと知り、先に経験が必要だということに驚いた。合格率も受ければほぼ合格というものではないし、4択のマークシート方式で、受けてみるとわかるが勘ではまず当たらない非常によくできた選択肢なのだ。そしてソムリエ・エクセレンスに至っては容赦のない切り捨てようで、合格率は悲惨としか言いようがない。だからこそ実際本当に役に立つ。
もちろん、資格がなくてもワインを販売して良いしソムリエのような仕事をしても構わないが、有資格と無資格ではそれこそ思想や流儀に差が出てくるように思われる。

資格を取得してからが新たなスタートだ。特に試験のために得た知識は、実務に於いて威力を発揮する。ソムリエとしての思想や流儀は、機関紙やセミナー、ウェブサイトや雑誌の情報、レストランで実際に食事をすることなどから日々取り入れていく。

こうしてワインと無縁だった私がソムリエという職業に出会い、イタリア料理という食文化に携わることで人生が豊かになった。実務では自分の至らなさと改めて直面し卒倒しそうになりながら、現実逃避的にあれこれ考えながらやっと納得できるところまでたどり着いた。石田さんにレジュメを送信できたのはご来店数日前だった。
取材の所要時間は2時間。その間に私たちの経歴、ソムリエの思想と流儀、4皿の試食とワインペアリング、このハードスケジュールをこなすため私の勝手な判断でレジュメを作成した。寸前に頼まれていないものを逆にご迷惑では、と悩んだが取材メモの短縮になればと思い切って送った。
掲載された記事の最後 ”取材を終えて” にこう記されていた。

取材の数日前に送られてきた資料には料理の詳細、ストーリー、ワインのテクニカル情報、ペアリングのアプローチが丁寧に記されていた。ソムリエ・エクセレンスの名に相応しい、まさに卓越した仕事だ。

身に余るお言葉・・・・・。本当にありがとうございました。

・・・・・・つづく・・・・・・・


年末年始特別ディナーコース2022-2023のご案内

本年も残すところ1ヶ月となりました。

一年の感謝を込めて年末年始の特別ディナーコースを、2022年12月16日㈮から2023年1月9日㈪まで期間限定でご用意いたします。
数に限りがございます。事前のご予約をお願いいたします。
ご予約の際、18:00~19:30でご都合の良い時間をご指定ください。

*12月31日㈯、1月1日㈰は定休日です。1月2日㈪から通常通り営業いたします。
*24日㈮と25日㈯の夜は年末年始特別ディナーコースのみとさせていただきます。
*日頃よりフードロス削減にご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。
 キャンセルポリシーは通常通りです。詳しくはホームページにてご確認ください。
   前日キャンセル 50%  
   当日キャンセル 100%
*仕入れ状況によりやむを得ずメニューが変更になる場合がございます。ご了承ください。

年末年始特別ディナーコース

Stuzzichino フンガーフード 

Apribocca 村上農場 かぼちゃのアグロドルチェ

Antipasto 宇陀金ごぼうとイカの墨煮

Primo Piatto 栗とラルドのリゾット 大和橘の香り

Primo Piatto フジッリ トラパネーゼソース 温卵と共に

Second Piatto エレゾ社 蝦夷鹿 炭火焼タリアータ

Granita 桂の葉のグラニータ

Dolce カンノーロ

Caffe e Te 食後のお飲み物 パネトーネと共に

 

¥12,000(税込)

RISTORANTE Borgo KONISHI 
リストランテ ボルゴ・コニシ
TEL;0742-26-5581

 

ご来店心よりお待ちしております。

 

第12回全国イタリア料理コンクールで優勝するまで④~優勝リゾットができるまで~

研修を終えて

研修から帰って、まずコック帽をかぶることにしたらしい。今更ですか。本人曰く案外便利だそうだ。何より、短髪を保たなくてよい。
しかし、厨房はそのように想定して設計されていないため、あちこちにぶつけている。

そして、リゾットを作ることが増えたし得意になった。さすがにアマランテシェフのサフランのリゾットが何故あのようになるのか、今のところ奇才イタリア人シェフだからだ、としか言いようがないので解明に時間を要するが、シェフ山嵜のリゾットもなかなか自慢できるレベルになった。
一度食べたお客様からその後来店の都度、必ずリゾットを所望されたり、海外からのお客様も含めて非常に評判が良い。
賄いでは奈良県産の5分精米を使ったリゾットをいただくことがあるが、完璧なアルデンテだ。日本米でもアルデンテを容易に保てるようになった。

最後の最後にお待たせしました、遡って優勝リゾットについてご紹介します。

第12回全国イタリア料理コンクール2021 エントリー受付中!今年のテーマは「カルナローリ米」を使ったイタリア料理!リゾットやアランチーニなど、得意なお米料理で挑戦してください! ”

事の始まりは昨年の2021年9月に突如届いた1枚のFAX。コンクール応募締め切りまで2週間だった。応募を決めたのは、審査員全員がイタリア人のシェフであるということ、これを機にリゾットにいよいよ向き合ってみよう、という2点だった。

その後、予期せぬ優勝とJapan Olive Oil Prize賞までいただき、副賞としてアルマーニ/リストランテ銀座にて1週間の料理研修の機会を得たことは、前回までのブログの通り。

予選出品作品は『Risotto al Lardo di Colonnata』

シェフが初めてリーゾ・パルマを食べたときの感動を、新たな表現で再現したいと思い考案した。米を主役にすべく少量でも味に深みが出る食材、ラルド・ディ・コロンナータ* を細かく刻んで仕上げのマンテカーレに使用した。バターは使わず、通常のリゾットでは考えられないごく少量使うチーズはピエモンテ州産ラスケーラ・ダルペッジョ。胡椒、大和橘のピール、香草オイルで仕上げた。北イタリアのリゾットではなく、米を野菜として捉え南イタリアの調理法を取り入れることで米の旨みをぐっと引き出した。

*ラルド・ディ・コロンナータ;トスカーナ州の集落コロンナータで生産されるラルド(豚の背脂の生ハム)で、この地域の特産である大理石で作った箱に入れて熟成されたもの

そして予選通過の知らせと共に、テーマの変更が伝えられた。
カルナローリ米をたっぷり使えるよう、通年食べられるようなレシピにしたのだが。

”秋を感じさせる”イタリア料理を!”

ラルドのリゾットはどうしても発表したかったので、加えられる秋の食材といえば栗だ。とはいえ、決勝戦当日は11月末で生の栗の入手が可能か微妙。
ひとまず指定のGallo社のカルナローリ米を手配した。予選のレシピは他社のカルナローリ米で作っていた。
”栗” と ”Gallo社” のカルナローリ米にこの後とんでもなく悩まされるとは、このとき予想もしなかった。それまでのリゾットを食べた経験と作った経験が圧倒的に少なかったからに他ならない。

Gallo社のカルナローリ米が届いてみると粒の大きさが全く違う。大粒で見るからに美味しそうで期待は高まるばかり。そして、予選通過のレシピでまずベースのリゾットを作り・・・・・

青ざめた。完全にレシピ崩壊!!再現すらままならない上、栗はどうする?調べるとやはり和栗のシーズンがほぼ終了している。

栗はイタリアの栗、シーズンぎりぎりの生の和栗、勝栗(干した栗の実から殻と渋皮を除去したもの)、焼き栗、あらゆる栗を取り寄せ片っ端から試した。
結果、イタリアの栗と生の和栗が必須とわかった。11月末ぎりぎり手配できる生の和栗が茨城県にあった。
大変美味しいのでここでご紹介させていただきます。
岩間の栗や 小田喜商店
この栗を知ることができただけでも大きな収穫だ。

さて、食材は揃ったものの肝心のレシピが崩壊したまま、最初の味がどうしても出せない。とにかく作っては食べ、作っては食べ、少しずつ調味料の分量や調理方法を変えながら微調整が続いた。ブレないレシピが完成したのは、なんと決勝戦2日前、奈良を発つ前日11月23日の朝!!

22日、ソムリエ・エクセレンス山嵜の採点は65点だった。数日前から賄いの時間だけでは足らず、朝一や夜の営業後も時間があればリゾットを作っては食べ、作っては食べ、翌朝には余ったリゾットをオムライスにし、また作る、食べる、作る、食べる。
なんせ、ソムリエ山嵜は「これじゃない」「ラルドの感じがもうちょっと、こう、なんていうか・・・」「香りはこうで、食感はこうで」と言うだけなのだ。ただ、かなり微妙な違いがわかる上、店とシェフ山嵜のためになるなら妥協しない。

22日の試食はその後75点から上がらず、もうこれ以上米は無理無理無理無理!!と限界を迎えた夜、おもむろに山嵜が沢山の蔵書から1冊の本を手に取った。
ある一節を読んだ直後に作ったリゾットを食べて、私たちは歓喜の声を挙げた!!
翌日そのレシピを数回繰り返し、ブレなかった。その次の日、決勝戦のため東京へ。そして優勝へと至った。

シェフ山嵜がこの料理を思いついた原点に戻るため開き、目が覚めた1冊は『世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ』(池田匡克著 河出書房新社)の160頁 ”Nord che vuole diventare Sud 南になりたい北” の一節だ。

ことばに助けられた。ことばの力の凄さを痛感した。
シェフ山嵜が料理を学ぶとき最も大切にする ”その料理人の思想を学ぶ” が活きた。

決勝戦のリゾットは『栗とラルドのリゾット 大和橘の香り』

野菜の旨みをシンプル且つ的確に引き出すナポリの調理法を米に応用した。にんにく、パセリの茎、チーズの皮、唐辛子で風味付けし香りや旨みをまとわせた米と栗を水で煮ることで、米本来の甘みや旨みを最大限に引き出した。仕上げに加えるラルド・ディ・コロンナータと栗のペーストが、マンテカーレによって優しいソースとなり米を引き立てる。削った大和橘と香草オイルが爽やかさや複雑味を演出し、かすかな唐辛子の辛味が全体の味を引き締める一皿。

今回の優勝によりソムリエ山嵜のテイスティング力にも自信がついたし、イタリア修行経験のないシェフ山嵜のイタリア料理の解釈が間違っていないという裏付けにもなった。
これからも活字と世界中のシェフ達の料理動画の行間から思想を読み取りながら、イタリア料理と文化を誠実に追及していく所存です。


第12回全国イタリア料理コンクールで優勝するまで③~アルマーニ/リストランテ銀座 実食レポート~

アルマーニ/リストランテ銀座での食事は言わずもがな、素晴らしかった。
見た目の楽しさ美しさのみならず、主となる素材が明確で他の全ての素材が皿の上で的確な役割を果たし一皿の味わいを演出している。いずれのお料理も隅々までエレガントで美しい味わい。

そして、特筆すべきは香り。厨房から客席のある大広間まで距離があり、私たちの席はその中で最も厨房から離れていたが、どのお料理も香りが素晴らしい。持論だが、香りのよい料理にまずいものなし。

遊びゴコロ満載かつ味わい深い『アミューズ』のワンダーランドに始まり、


『ホタテ貝 ほうれん草とブッラータ 黒トリュフのソース』の口福すぎるハーモニー、


『カンデラ ジェノヴェーゼ』の高次元な表現力、


『甘鯛 プランクトンとショウガソース』の味のグローバリゼーション、


『牛ほほ肉 燻製ジャガイモエスプーマとキノコのバリエーション』では、的確な燻製の意義と美味しさを初めて体験した。


これまで私にとって燻製とは、妙な香りをつけてどういうこと?と永らく疑問だったし、人生早々から食べることをほとんど避けてきた。この一皿をいただいて、これが燻製ということ?素晴らしい、と腑に落ちた。燻製という調理法による調味料的役割があることを知った。

そして、スペシャリテ『サフランのリゾット』!!

高品質なサフランは香辛料として馴染みのある香りではなく、花そのものを想起させる。リゾットを口に含んだ時の重層的な香りと味わいに心底驚いた。忘れられない一皿となった。こんなリゾットは初めてだ。

実は、サフランのリゾットが一番の目当てだったので組み込まれたコースを予約したつもりだったが、テーブル上のメニューに書かれていない。どうやら間違って予約したらしいと気付き、がっくし。東京に来るなど次はいつになることやら、コースを乱して大変申し訳ないが単品で追加するしかないかと悩んでいたら、「シェフからです」とサフランのリゾットを出してくださったのだ。大変恐縮です。

五感を潤す料理に欠かせないのがワインだ。ソムリエ・エクセレンスなのでお酒に強いと勘違いされるのだが、弱し。年齢を重ねるごとに例にもれず「良いものを少しだけ」となっている。今回のように旅先でなければ多少無理もできるのだが・・・。

料理の中盤から後半にかけて、グラスワインの白を1杯お任せでお願いした。イタリア人であろう男性ソムリエがいらっしゃる。いよいよ、イタリア人ソムリエの推奨するイタリアワインとのアッビナメントが体験できる♪と期待はマックス。これが私の今後のワインセレクトの指標となるのだ!!

注がれたワインは、なんと!!南仏ローヌのマルサンヌ!!イタリアワインではない!!!

さて、このセレクトに込められたメッセージやいかん。これこそソムリエにお任せする醍醐味なのだ。
ワインは香りが穏やかで味わいもまろやか、少しとろりとした食感があり特に際立った特徴はないが落ち着きのある味わいで、安心して杯が進んでしまう。つまりこのタイプは、大変料理に合うことが多い。

料理と合わせてみると、なるほど!
アマランテシェフの明確なテーマをもつ香りと素材の協演が表現された料理に、なんと紳士的な名脇役!ちなみに、ソムリエの方が紳士そのもの。
特にメイン料理『牛ほほ肉 燻製ジャガイモエスプーマとキノコのバリエーション』とのハーモニーは素晴らしく、各演奏家が個性を存分に発揮するのをいとも簡単にまとめ上げる名指揮者のよう。そしてその存在感と包容力は絶大で、ワインが有るのと無いのとでは大違いだ。
そもそも敢えて南仏ローヌの、しかもマルサンヌというこの一本を選ぶことは非常に難易度が高い。

このワインに代わるイタリアワインは何だろう。
香り味わいとも穏やかながら存在感があり紳士的エスコートでメインの肉料理にも寄り添える・・・・トスカーナ州ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノが浮かんだ。そして、マルサンヌとの違いは香りの強度だと思った。穏やかに思えるヴェルナッチャの香りさえも強い、もっと香りを抑えたかったのではないか。

あ~、最高、楽しかった!
ちなみに答え合わせなど無粋なことはしない。沢山飲めない私に選んでくださった1杯のワインは間違いなくお料理に合っていたし、私には到底思いつかないセレクトだった。
栽培から醸造を経てボトルに詰められたワインが、一人のソムリエの目に留まりベストな状態で注がれた、それを世界トップイタリア料理シェフの料理と共にいただける。これ以上の幸せがあろうか!!

プレドルチェ『シトラス オリーブオイルのグラニテ』の料理の余韻に寄り添う可憐な優しさにうっとり。

そしてドルチェは、完全球体の『ティラミス』

もう、どうなってるの?
軽やかな食感ながら、しっかり満足感のある味わいで理想的な締めくくりだった。
レストランにパティシェチームが常駐する贅沢の極みだ。自家製のパンや最後のお茶菓子など隅々まで妥協のないアルマーニワールドを体感できた。

食後アマランテシェフがテーブルまで来て下さり、リゾットの感動を直接お伝えできて嬉しかった。帰りにはお忙しい中、全員でお見送りいただき本当にありがとうございました。

エレベーターを降りるとチョコレートのお持ち帰り『アルマーニ/ドルチ』
もう買わないわけがない。
シンプルなデザインながら、奥深く、どこにでも有るようでどこにも無い個性のある味わいは、一貫してオーセンティックを追求するブランドイメージそのものだった。

関西では、なんとこのパティシェチームを率いる秋山シェフによるカフェメニューを味わうことができる。心斎橋パルコ2Fのエンポリオアルマーニカフェだ。特に季節ごとのパフェがおすすめ!!!強くおすすめする!!!
秋山シェフの脳内どうなってんの?????というくらい、とてつもなく複雑な素材の組み合わせの上、その全ての素材が明確に役割を果たす神業・・・アマランテシェフが全幅の信頼を寄せるのも頷ける。

お料理は2022年3月時点のメニューで、今更やっと走り書きメモを元に書いているが、つい先日のことのように思い出せる。
素晴らしいときと感動をありがとうございました。





『 第9回サクラアワード2022 』の受賞ワインが発表されました 

先日、第9回目を迎えるサクラアワード2022審査会に行ってまいりました。
昨年はコロナ禍のため参加を見合わせましたが、本年は大阪会場の審査会に参加させていただきました。

本日、2022年4月28日2022年度全受賞ワインが発表されました。
*ダブルゴールド ; 286アイテム
 内、より優れたダイヤモンドトロフィー ; 60アイテム
*ゴールド ; 1,425アイテム
*シルバー ; 614アイテム
総計2,325アイテムが受賞の栄誉に輝きました。
特別賞には、8つの「特別賞」と9つの「和食・アジア料理に合うワイン賞」があり、ゴールド以上の受賞ワインの中からそれぞれ10アイテムずつ選ばれました。
さらに、それぞれ最高得点のワインには「グランプリ」の称号が与えられました。
各賞の特徴 ; http://www.sakuraaward.com/jp/outline_award.html

サクラアワードって何?という方は、公式ホームページ、または当ブログの最後にまとめましたのでご覧ください。
サクラアワード公式HP ; http://www.sakuraaward.com/jp/sakuraaward.html

受賞ワイン一覧とワインリストの味方 ; http://www.sakuraaward.com/jp/result/2022.html
受賞ワイン検索 ; http://www.sakuraaward.com/jp/award/search/

ワインリストを見てみましょう。
うわぉ・・・字だらけ、無理・・・と拒絶反応が起きそうですが大丈夫です。
好きな国や興味のある国、えぇー、こんな国、あんな国まで!!と眺めてみましょう。
そして地域ごとに興味の向くまま好みのまま、ワインのタイプや品種、受賞とヴィンテージなど眺めているうちに、あ、これ欲しいかも♪とときめいたらインターネット検索してみましょう。
アルファベット読めぬ・・・無理、無理・・・とシェフ山嵜なんて蕁麻疹。でも大丈夫。生産者名やワイン名をコピー、ペーストして検索しましょう。

そもそも、そんな無駄な努力は放棄しましょう。小難しいことはプロにお任せ♪ショッピングのついでに通りすがりのワインショップで、偶然の出会いを楽しむのがお勧めです。ワインショップなどでは、受賞ワインに上記のようなマークが添付され店頭に並びます。見かけたら是非お試しを。
そして、とても気に入ったワインに出会ったら同じ生産者や地域、品種、はたまた輸入会社まで気の向くまま試してみてください。自分の好みが見えてきます。

私が今回審査を担当させていただいたワインの多くは、タンニンがしっかりとした品種のアンオークド赤ワインでした。これまで樽熟成が当たり前だったような品種です。

アンオークドは樽ではなくステンレスやコンクリートタンクで熟成されているワインを指し、通常白ワインや若木から作る赤ワインなどに用いられる熟成方法です。繊細な果実味が樽の影響を受けすぎ、フレンチオーク由来のバニラ香やアメリカンオーク由来のココナッツ香が風味の全面に出て、ブドウ品種本来の風味の個性が失われることを避けるために用いられる熟成方法です。

赤ワインの場合、若い木のブドウから得られるデリケートな果汁でも元来タンニンが豊富な品種は、軽く樽熟成することでタンニンの角が取れてまろやかになる効果もあります。そのような品種をアンオークドにすると、果実味に対しタンニンが若々しく強すぎてバランスを崩すので、やはり樽熟成が主流でした。

逆に、高樹齢の木からとれるブドウの場合もアンオークドの可能性があります。

一般的に寿命50年といわれているブドウ樹は、植樹後7年から20年は元気いっぱい、収量が増えていきます。収量が落ち始める20~30年を目途にブドウ樹を引き抜き、植え替える生産者もいます。前述の ”若い木” はこうして生まれます。

一方、高品質なワインを作るためには、なりすぎた房を間引き1本の木になる実の量をコントロールし、残ったブドウに木の栄養を集中させ凝縮した果実を作ります。樹齢20年から35年頃まで、自然になる実の量が減り始める代わりにブドウの量と質のバランスが良くなっていきます。樽熟成に耐えられる凝縮した果実が収穫できるようになります。

寿命50年と言われつつも大切に管理された木は100年以上生きます。高樹齢に明確な規定はなく、明記するかしないかは生産者の哲学によります。
なる実は少なく小粒で、房に空間がありますが日光が十分に当たり腐敗しにくく、栄養が集中します。その果汁からはなんとも複雑で滋味深いワインが作られます。若い木のブドウの繊細さとは全く違う繊細さ、このデリケートで複雑な風味を最大限に活かすため、余計な樽香がつかないようアンオークドにします。

審査したアンオークド赤ワインは、いずれも甲乙つけがたい高いレベルでした。エレガントで爽やかな香りと綺麗な果実味、タンニンは細かくまろやか、ヴィンテージが若くても荒々しいタンニンに口中が覆われることもありませんでした。それをベースに生き生きとした果実味や爽やかさを活かしたものから、緻密な複雑さや長い余韻が表現されているものまで多彩。
後者に関しては悩むことなく、満場一致ゴールドでわかり易いのですが、それでも時折、皆手を止めて「んんんんん~~~~、どうしたものでしょう」と嬉し悩まし審査会でした。

アンオークドのついでに樽香について少し。

樽香が大好きだったロバート・パーカーのパーカーポイントが猛威を振るっていた1990年代後半をピークに、パーカーポイント高得点を狙った過度ともいえる樽醸造樽熟成が一気に増加しました。しかし栽培技術も向上する中、また世界中の食のライト化から、もっと自然な味わいを求め樽至上主義を見直す生産者やワイン評論家が少しずつ増え始めました。

ロバート・パーカーは、小さな無名の生産者が作るワイン(いわゆるガレージワイン)も「良いワインに間違いない、私が保証します!(=私は樽香が大好きなのだ。好きなものは好き!)」とはばかることなく高得点を与えることで、世界中の大小さまざまな生産者に勇気と希望を与えました。そして高得点を目指して多くの生産者がチャレンジし、樽を使いこなせるようになることで、ワインの品質を一気に押し上げたと言えるでしょう。パーカー自身は現役を徐々に退き2019年完全な退社と引退を表明しました。

そして今、世界中のワイン生産者が高度な知識と技術を駆使し自らのワインに改めて向き合うことで、もっと自由に羽ばたき始めています。

樽香が好きだった人も、樽香って何?という人も、ワインの新たなステージは世界各国多種多様に広がりつつあります。固定概念を取り払い自由に楽しみましょう!うんちくも何も必要ありません!安かろう悪かろう、無名だし怪しかろうは忘却の彼方へ、ぽいっ♪

サクラアワードは「日本の家庭料理に合うワインを探す」「ワインの消費拡大」「ワイン業界で働く女性の活躍を促す」を目標としています。ご家庭で、プレゼントに、ワインを扱ったことがないが興味があるという飲食店や酒屋さんなど、ワイン選びの指標の一つとしてお役立ていただけると思います。

各国から、我こそは!と思いが込められたワインが集まり、不思議とそれは瓶に詰められた液体から私たちにしっかり伝わります。
審査会場は、実行委員の方の事前の途方もない準備や、朝早くから会場やワインの準備、審査中も万全のサポートをしてくださる男性ソムリエチームの皆様のお蔭で、ストレスなく審査に集中できる環境が作られております。今年も体調万全、集中力も最後まで途切れることなく全員が自分の採点に納得し、ベストを尽くした審査会を終えることができました。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

サクラアワードとは
サクラアワードは、2014年に誕生したアジア最大の国際ワインコンペティションです。ワイン業界で活躍する女性のみがブラインドにて審査を行います。世界でも類を見ない画期的なワインコンペティションで、年々国際的な知名度、注目度が高まっています。

審査員は、ソムリエ、ワイン醸造家、ワインスクール講師、ワインジャーナリスト、ワインインポーター、流通、ワイン販売員です。
1グループは5名で、さまざまな業種の方で構成されています。2022年は、1フライト10~14アイテムを4フライト(東京会場は5フライト)ブラインドでテイスティングし採点しました。1名が採点するワインは、1日5~60本です。

審査会が行われるまでには、次の6つのカテゴリー別にワインのエントリーが行われます。
1.スティルワイン赤
2.スティルワイン白
3.スティルワインロゼ
4.スパークリングワイン(白・ロゼ・赤)
 およびセミ・スパークリングワイン(白・ロゼ・赤)
5.フォーティファイドワイン
6.甘口ワイン

エントリーされたワインは更に、品種や製造方法の他、炭酸ガス圧、残糖など、100近くのカテゴリーに基づいて分類されます。
こうしてあらかじめ分類されたワインを審査します。審査員に与えられる情報は、ワインのカテゴリー、ブドウ品種、ヴィンテージ、アルコール度数で、数種類については残糖が表記されていました。審査時間は、1アイテムのワインにつき約3分。前のワインと比較するのではなく、それぞれのワインに100点満点で採点していきます。1アイテムごとに各グループのリーダーが集計を行い、各自の採点に大きく差が出た場合、グループ内で話し合いが行われます。

東京会場と大阪会場で審査されたワインは直ちに集計され、得点に従い各賞が決まります。
各賞の特徴についてはこちらをご覧ください。
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第12回全国イタリア料理コンクールで優勝しました①~アルマーニ/リストランテ銀座での研修を終えて~

3月1日から一週間、第12回全国イタリア料理コンクール優勝の副賞として、アルマーニ/リストランテ銀座にて研修を受けた。お忙しい中、アマランテシェフを始めスタッフの皆様には大変多くのことを教わった。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

カルミネ・アマランテ シェフと。

イタリア語はできなくて大丈夫と言われていたが、実に料理人の半数がイタリア人で日本人もイタリア語や英語が堪能、厨房内はイタリア語と英語が飛び交っていた。日本語も怪しい上に他言語がまるで苦手な山嵜のために、指導担当の方が全体的なお世話をしてくださった。

成田さん、1週間お世話になりました。

さてその後、研修で見聞きしたことを片っ端から実践し、新たなメニューが続々と誕生している。たった一週間の研修で?と思われるかもしれないが、シェフ山嵜のスポンジのような吸収力は尋常でない。

これは2009年末から2016年4月まで自店の定休日を利用して、東大寺の前にあった『リストランテ イ・ルンガ』(現在、東京二子玉川に移転)にスタジエ(研修)として厨房に通わせていただいた経験があったからこそだ。永い間、本当に沢山のことを教わった。
リストランテとして成長し15年お店が存続できていることも全て、スタジエとして温かく迎え入れてくださったリストランテ イ・ルンガの堀江シェフ及び当時のスタッフの皆様のおかげだ。
ここで改めて、リストランテ イ・ルンガのシェフ堀江純一郎氏に心から感謝申し上げます。その節は大変お世話になりました。
ちなみに余談だが当コンクール本選寸前に、奈良に仕事で来られていた堀江シェフに偶然お会いし嬉しいやら心強いやらで舞い上がり、ここぞとばかりに質問攻めしたようだ。この場をお借りして心よりお詫び申し上げます。

本題に戻る。
意外と熱い男、シェフ山嵜のスポンジ力に気付いたのは、リストランテ イ・ルンガでのスタジエ1日目を終えた翌日だ。賄いのパスタがそれまでとは全く違う味になった。賄いはただの食事ではなく、新たなメニュー開発につながる大切な試作だ。
私は当時、山嵜のパスタは十分美味しいと思っていた。だからこそ独立したのであるが、たった1日でこんなに違うのか?と驚いていると「こんなんじゃない!こんなんじゃないねん!!!!凄いねんって。なんでできないんや!!(ドドド怒怒怒ドドド)」そして、来週まで待てない、もう一回聞いてくると息巻いているではないか。
それから翌週月曜日までの1週間、何度も同じパスタに挑戦しスタジエ2日目を迎えた。その翌日も、その翌週の火曜日も、みるみるうちにパスタが美味しくなっていった。休み返上で大丈夫だろうかと思いながらも、もっと美味しくなるのかしら、どこまで美味しくなるのでしょう、と半ば楽しみに見送っていたがまさか6年半も通うとは!前半3年間は毎週月曜日、その後3年半は月1,2回通い続けた。お店をやりながらなので体は大変だっただろうが、その時の経験は何物にも代え難い。

そんな前例から、今回のアルマーニ/リストランテ銀座での1週間は、短いながらも大いなる収穫があると想像できたし、その通りだった。また逆に1週間しかないので、研修1か月前から質問を溜め、万が一の賄いの練習や公開されている予約用のコースメニューから調理法を予測し想像を巡らせたり、できる限り準備をした。
更には、根幹にあるジョルジオアルマーニのコレクションやブランド誕生からの経緯、インテリアデザイン、そしてリストランテにまで至るアルマーニワールドの一貫したコンセプトから、真の美と心地よさの飽くなき探究心を感じた上で臨んだ。

奈良に戻って最初の賄いの味が、またもグレードアップしたことは言うまでもない。
燻製したり、七輪を持ち出して炭火を使い始めた。私は、燻香は味わいに効果的どころか邪魔だと思っていたが、程よく絶妙な燻製は素晴らしい調味料になると始めて知った。自家製のリコッタをアッフミカータ(燻製)してポモドーロに添えたパスタをランチで提供したところ、大変好評である。

パンも変わった。アルマーニ/リストランテ銀座は、パンも全て自家製で一度に300個作る。あのレストランの規模でランチもディナーも営業、その上カフェやバーメニューも用意し、パン数種も全て自家製でそれを約10名でこなす。驚異的なチームワークだ。料理だけでなくパンやドルチェ、小菓子の作業も体験させていただいた。特に自店でパンを焼く効率が格段に上がった。

秋山シェフ率いるドルチェチームと。女性も大活躍!!

とにかくアルマーニ/リストランテ銀座のスタッフの極限まで絶対に気を抜かない、その集中力と美意識の高さに驚いていた。そして全ての料理が皿に盛られる前に必ずアマランテシェフの味見により調整される。同じメニューでも毎日毎回必ずだ。数テーブル分づつ作った場合も毎回だ。
山嵜のように一人で料理するなら味見は当たり前だが、アルマーニ/リストランテ銀座のような大きなお店では通常、レシピが決まれば時折抜き打ちで味見したり、調理しているところを見ておぼつかないと感じれば確認するくらいだろう。毎回皿に盛る前に総料理長自ら必ず味をみるということは聞いたことがない。アマランテシェフが味付けの微調整を指示し、手直しされてから皿に盛られる。アマランテシェフの高い美意識と責任感がチームの士気を高め保っている。

料理チームと。

神経張り詰めた厨房も、全員で大きく高い目標に向かい精一杯仕事をした後は、皆さまなんと清々しい笑顔。精鋭揃いって、すごい。
こうして最終日に意を決して皆様に撮影をお願いしたのだが、もたついている間に帰ってしまった方がお一人。実直で仕事に真摯に向き合う姿が印象的だった、女性料理人ラファさん。本当にありがとうございました。

研修最終日、お題が出された。アマランテシェフと右腕であるブルーノシェフにパスタを作ること。

ブルーノシェフと。

手打ちパスタ ”アリオーネのピーチ” を作った。多言語当たり前のグローバル料理人チームを率いる、世界トップレベルのイタリア人シェフに、1週間で信頼を得ることは到底不可能だが、心を込めた料理を作ることは15年、いや、修行中含めて26年間、毎日毎皿ベストを尽くすことを怠ったことはない。そして、いつものように今一番美味しいと思えるパスタを作るだけだ。

お二人から「クラシックで美味しかった。ありがとう。」とお言葉をいただき、ほっと胸をなでおろした。

さてお待ちかね、研修後のアルマーニ/リストランテ銀座にて、一週間見て聞いて教わったことの集大成を体験すべく、答え合わせの食事♪
よっ、待ってました♪ わたくしも上京♪ ご相伴にあずかります。

つづく・・・・・・・・

インタビュー、文:山嵜愛子