ヤマトタチバナ日記 5

先日、お昼のオーダーストップ後にブンちゃんが、店のドアの前で「くぁー、ランチ、間に合わなかったか・・・」と、もう一歩も歩けないご様子。・・・あ、カナブンのブンちゃんです。

シェフが、食べ終えたスイカにブンちゃんを乗せたところ、しばらくじっとしていたが、スイカが常温になるのを見計らって、ものすごい勢いで食べ始めた!生きていたか、とほっとした。が、あなた、何時間食べてるの!!

夜の営業が始まっても止まらず、わしゃわしゃ食べ続けているので、テラスの客席から見えない場所に移動していただいた。できるだけ赤いところだけを食べていたので、糖分取りすぎて、もしくは、食べ過ぎて急死したらどうしようと心配になったが、満腹になり「ごちそうさま~♪」と言ったかどうかわからないが、跡形もなく消えていた。念のため、お皿の近くでひっくり返っていないか確認したが、無事、自分のすみかに帰ったのだろう。あの食べっぷり、立派だったな~。

同じ日の夕方、アゲハの幼虫、捕獲!!

その後私は、迷わずこの幼虫を・・・

 

・・・人間の身勝手な衝動を、反省した夜なのでした。

 

 

ヤマトタチバナ日記 4

さてその後、自根の大和橘は・・・元気です♪

 

7月6日 新芽がどんどん出てきた!柔らかいベビー棘も見られる。無事、根付いた。

7月15日 新芽もベビー棘も、ぐんと大きく成長。

おぉ、美しい珠よ、なんて放置してはいけません!これぞアゲハの卵。ここ数日、毎日数個は除去しているのだが、いつのまに・・・。

 

7月19日 青い実の橘の枝をいただいた。このように実をつける日が、楽しみである♪

 

 

ヤマトタチバナ日記 3

大和橘は、かつて絶滅危惧種に指定された。なぜだろう。

生育の北限は静岡県で、静岡県以西の太平洋側が栽培の適地である。現在、柑橘類の産地である場所は、ほぼ全て栽培適地といえる。

しかし、自生している場所は、かなり少なくなり、場所によっては天然記念物に指定されているほどである。

かぐわしい香りやかわいらしい形状に似合わず、するどい棘と、特有の苦味や酸味から、生のままでは食べにくいことや、甘い柑橘類の出現で忘れられたのかもしれない。

現在市場に出回っている生食用の甘い柑橘類は、全て中国から移入した温州みかんから改良されたものである。因みに、もう一つ日本固有の柑橘類がある。沖縄のシークワーサーである。

ところで、大和橘の皮を剝いてみた。

しかめっ面のおじさまも思わず「か・・・かわいい・・・」と乙女心が芽生えてしまう、このフォルム。大倉陶園のブルーローズが似合う、気品漂う大和撫子の風格である。

指に載せてみると、ますますかわいいのである。

かわいや、かわいや、食ってやるぞ、と、口に入れた途端、夢から醒めた!白魚のような華奢な手で、ピシャリとほっぺを叩かれたような、清らかで迷いがない、すっきりとした酸味である。その上、かすかに山椒を思わせる爽やかながらくっきりとした苦味となれば、いと手強し!!

ところで、イタリア人は、苦味が大好きである。カンパリやタルティーボを好むことからもよくわかる。レモンやオレンジを使ったお料理も沢山ある。これには、果実や野菜が“人為的に”甘くないということが重要である。

なんでも品種改良して、甘くした野菜や果物がよしとされる日本。品種改良された甘みと、自然に完熟した甘みは、全く別なのである。後者には、元にあった酸味や苦味がしっかりと味の奥にしみ込んでいて、それが味の厚みになり、複雑な味わいを生み出し、食欲をそそる旨みとなる。いくつもの味の層がバランスよく保たれ、長い余韻を生み出す。前者には、それがない。

おいしい苦味といえば、ピーマンがわかりやすい。子供の頃、いまひとつなじめなかった苦味も、大人になると入っているべきお料理には入っていて欲しい、名脇役である。

大和橘は、理想的な柑橘といえる。原種ならではの苦味と酸味は、料理の旨みを引き締める。昔の日本人は、きっと知っていたのだろう。そして、いつのまにか忘れてしまった。しかし、DNAに組み込まれたものは、時を経ても思い出せるのである。日本人の奥ゆかしさ、やさしさ、清楚さ、おだやかさ、そして、芯の強さ。誰もが持っているのである。大和橘の味わいと香りが思い出させてくれる。

このプロジェクトは、奈良だけのものではなく、誰でも参加できるし各地で同じような活動が始まっている。あちらこちらで、日本人のDNAが呼び覚まされている。

 

 

 

ヤマトタチバナ日記 2

橘畑、見たい!ということで、行ってまいりました。なら橘プロジェクト推進協議会会長  城さんに案内していただいて、まずは橘街道へ。

大和三道のひとつ、中ツ道は、平城京から明日香村の橘寺へと続く道で、この沿道に植樹し橘街道をつくろうという試みである。

みっしりと元気な葉をつけている。葉からは、爽やかないい香り。小さな実は、もう少し大きくなると同じミカン科の山椒のような味わいになるという。かじると既に山椒のような清涼感を感じ、山椒よりも穏やかな辛味が上品である。

 

次に、山の辺の道へ。

渋谷向山古墳を望む、2000年来変わらない景色の中、橘も元気に育っている。古墳と共に国が管理しているので、このすばらしい風景が保たれている。2000年前と同じ景色だなんて、奈良は本当に驚くことばかりである。

地表には、企業からもらう食品輸入用の麻袋を敷き詰めて、雑草を抑制している。畑が点在しており、少人数での作業は草抜きだけでも大変である。できるだけ除草剤、肥料は少なくし、原種を守るための工夫は欠かせない。

これらの大和橘は、栽培が目的であるので、他のみかんの木と同様、カラタチの台木に原種を接ぎ木している。棘が小さく少なくなり、通常実をつけるまで8年以上かかるところ、数年短縮できる。原種の持つ、特有の香り、酸味と苦味はしっかり保たれる。

先日、当店で鉢に植えた原種の自根は、皆さまにご覧いただきたく、城さんにお願いして購入したものである。山の辺の道の畑に1本自根で地植えしてあったが、樹齢は同じでも接ぎ木した木より随分小さく、立派な棘で覆われていた。収穫の際は、血まみれになる。

植樹には3月が最適ということで、来年3月に植樹させてもらうことに決めた。待ち遠しい♪

奈良在住の方だけでなく、誰でも植樹できるので、是非、橘街道や山の辺の道にあなたの大和橘を植えてみませんか?古代からの道が大和橘でつながって、橘の香りで満たされたらなんと幸せでしょう。

日本固有の唯一の柑橘類でありながら、絶滅危惧種である大和橘の香りと味わい。私たち日本人の心と体を癒す不思議な力を感じるのである。

城さん、お忙しい中、本当にありがとうございました。

 

*大和橘のオーナーにご興味のある方、詳しくは、なら橘プロジェクト推進協議会のホームページhttp://tachibanakaidou.jpをご覧ください。当店にチラシもございます。

 

 

 

ヤマトタチバナ日記 1

ご縁あって、ヤマトタチバナを植えた♪

かわいい・・・かわいすぎる・・・。

大和郡山市の「なら橘プロジェクト推進協議会」より、昨年末から今年の初めにかけて、大和郡山で収穫され、冷凍保存された橘の実と、現在花が散った後の葉っぱをお料理に使えないかとお持ちいただいた。

葉は、若葉はそのままで、しっかりした葉は少し乾燥させてお茶のように煮出すと、中国の白茶のようで、繊細ながらなんとも味わい深い。

果実は、さすがみかん科、甘さを伴う柑橘の香りに、ふわりと花の香りをまとったような魅惑的な香り。そして、すっきりとした清涼感のある苦味と酸味がすばらしい。

なんとも、うっとりする香りと味わいなのである。あるようで、どこにもなかった柑橘。

そして「植えませんか?」というお言葉に思わず「原種を自根で植えたいです!!」

・・・ソムリエ魂が出た。“原種”“自根”の希少性や大切さは、理解しているつもりである。大変さも。

四国で自生していた橘の種を郡山に持ち帰り、3年かかった貴重な橘の木を3本も購入させていただいた。・・・あ、しまった!責任重大!枯らしては、いけない。すごいプレッシャーを感じる・・・。しかし、元は自生し古事記や万葉集にも詠まれた橘の強さを、信じてる!!

画像のように、するどい棘がある、そして、葉の先の真ん中にくぼみがあるのが原種のヤマトタチバナの証である。植えるうちから、棘がじゃれてくる、じゃれてくる(=刺さる)、かわいいやつめ。

翌日には、早速、アゲハが。おぉ、わかるかい、このかぐわしさ!!葉っぱだけなのに、すごい嗅覚。羨ましいくらい。・・・なんて、感心してる場合じゃない!!「アゲハだけには、注意してください!」と教えていただいた。そっと卵を産んで生まれた途端、こんなよい香りの葉を食べるとは、なんという美食家。早速追い払ったら、少し経って、周りに植えてある興味がないであろうアカシアやフェイジョア、ローズマリーにとまってみたりなんかして、最後にはしっかり橘チェック。・・・自然のいきものってすばらしい。

魅惑の橘料理は、ぞくぞくオンメニューしている。お客様にも好評である。まず、その香りに驚かれる。

これから、木の成長と共に、幸せな気分になれる橘イタリアンを皆さまにお届けしたい!

そういえば昨年、大和当帰を見学するため訪れた、高取町のポニーの里で植えたばかりの橘を紹介してもらった。きっと元気に育っていることだろう。

すばらしい食材と、人々との出会いに、心から感謝する。

 

 

 

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