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2023年度『ITALIAN WEEK 100』特別コース

2023年度「パスタ未来形IW100特別コース」についてシェフ山嵜正樹の解説をまとめました。
お料理ごとに
●料理名
●コンセプト
●ソムリエ山嵜の味わいポイント
●食材など補足説明
の順に並んでいます。

日本とイタリアの食文化の融合と革新、そして美しい地球の未来への想いを込めて。

2023年度《ITALIAN WEEK 100 特別コース》
Pane パン◆
大和橘の花から採取した酵母を使った、自家製イタリアパンを数種類お楽しみいただけます。
長時間熟成による小麦粉の優しく深い味わいがお料理を引き立てます。

Stuzzichino フィンガーフード◆
Benvenuto NARA ~ようこそ、奈良へ~
蘇蜜 ~かぎろひ~
アマゾンカカオニブを練り込んだグリッシーニと奈良漬
醤(ひしお)と大和大鉄砲豆腐のラビオリ 山椒のフレーバー

IW100フィンガーフード

IW100フィンガーフード

フィンガーフードは、奈良の古代の食文化をイタリア料理法で現代的によみがえらせ紹介します。
蘇蜜のかぎろひは、コースの幕開けを表すと共にSDGsなどに見られる世界共通の次なる平和的ステージの幕開けへの想いを表しました。

  • 蘇蜜:牛乳を焦がさないよう丁寧に煮詰めて作る蘇(そ)は優しい甘さとホロホロとした食感が特徴。竹炭を練り込み闇夜に浮かぶ三笠山の景色を表した。パプリカパウダーはかぎろひの空の色を表すと共に、爽やかな苦みを伴うフルーティさでミルクの甘みを引き立てる。全体を“御殿はちみつ”の純粋な甘さがまとめる口福感を味わえる。
蘇とは・・・古代の日本(飛鳥時代~平安時代)で作られていた乳製品の一種。
蘇蜜は薬として平安時代、藤原道長も食したとされる他、甘い美味なものの例えでもある。
竹炭を加えて作った蘇の表面にかぎろひ(厳冬の良く晴れた日の出前、東の空を彩る陽光)をパプリカで表現。
ハチミツは郡山城跡に設置した蜂の巣箱から2023年春に採取した無添加無調整の“御殿はちみつ”を使用
  • グリッシーニ:奈良市三条通の老舗 今西本店(江戸時代末期創業)の8年熟成胡瓜の純正奈良漬けと、カカオニブの発酵を経た熟成感をグリッシーニでつないだ。新たな味わいのハーモニーをイタリア食文化で表現した、国籍問わず誰もが頷く一品。
  • ラビオリ:醤油の搾りかすの粉末を練り込んだ生地で醤(ひしお)と奈良の在来大豆「大鉄砲」で作った大和大鉄砲豆腐を詰めたラビオリ。古代の食文化を現代に復活させた醤の香りと味をラビオリに閉じ込めた。山椒がエレガントに爽やかに、味蕾を覚醒させる。
醤(ひしお)とは・・・醤油や味噌のルーツと言われる。奈良時代の「穀醤(こくしょう / こくびしお)」を古文書や記録を読み解き奈良で再現された古代ひしお。

大鉄砲(おおでっぽう)とは・・・奈良に伝わる幻の大豆。地元農家さんが「お味噌にするとおいしい」と、先祖代々種を受け継ぎ自家採取されている在来種。もともとは、田んぼの畔(あぜ)で稲(米)と一緒につくられていたが、稲の品種改良で収穫期にズレが生じたことや栽培における苦労、高度経済成長に伴う農業変革(主に効率化や作り手の減少)などの理由で減少した。
昭和23年創業の大豆加工製造販売を行う有限会社三木食品工業(奈良市)の当代 近藤正洋氏が奈良県産大豆を探すうち2016年に出会った奈良の在来種である大鉄砲を、田原本町の鎌田ファーム(後述)と共に2017年復活させた。
現在、豆腐を初め醤油、味噌、きな粉、豆乳、ジェラートと様々な商品化に成功。
大豆の花言葉は『可能性は無限大』

 

Apribocca アミューズ◆
味間いものリゾット 大和茶のスープ ~茶粥 Chagayu~

味間いものリゾット 大和茶のスープ ~茶粥 Chagayu~

アミューズは、IW100のテーマである「パスタ未来形」へ向けての導入メニューです。
奈良の伝統的な朝食である茶粥。ここ奈良市小西町が発祥とされています。
リゾットを炊く際、米に大和茶ほうじ茶を含ませ、仕上げにパルミジャーノ・レジャーノをたっぷり加えた最もシンプルで基本的なリゾットの茶粥仕立てです。日本とイタリアの食文化の融合と革新を実現しました。
アミューズでは夜が明け新たな1日が始まったことを、コースの始まりに重ねて表現しています。

  • 磯城郡田原本町鎌田ファームの五分づきにした玄米と、奈良市田村青芳園茶舗の大和茶を使用。大和茶焙じ茶を含ませパルミジャーノ・レジャーノ(24ヶ月熟成)で仕上げたクラシックなリゾットに、大和茶焙じ茶の粉茶をまぶした味間いものコンフィを乗せる。仕上げに大和茶の煎茶のスープを静かに注ぐ。リゾットとミネストラ、奈良の茶粥を一皿に融合したChagayu。コクのあるしっかりとしたチーズをまとった米を大和茶がさらさらとほぐし清涼感を与える。
    焙じた大和茶が香ばしく、田原本町 西浦 正嗣さんの素晴らしくキメの細かい身質がしっとりと詰まった味間いもの食感と共にアクセントとなり、食後は大和茶がふわりと香り口中がさっぱりとする。

茶粥とは・・・奈良を代表する郷土食である。「大和の朝は茶粥ではじまる」と言われるように、奈良の茶粥は特に有名。寛永年間(1624~44)に井戸屋弥十郎という人が、奈良市高畑町(シェフ山嵜の自宅付近)の神職から習い、奈良市小西町(リストランテ ボルゴ・コニシの所在地であり店名)で茶粥屋を始めた。その後、1657年江戸で「奈良茶飯」として流行し日本の外食産業の始まりとなった。
その茶粥発祥の地で、令和のイタリアンレストランにてChagayuをお召し上がりいただく。

田村青芳園茶舗について・・・猿沢池から南へ200mのならまちに位置する老舗の大和茶専門店。昔上ツ道(かみつみち)と呼ばれた伊勢街道沿いにある。店頭でご主人が毎日焙じるほうじ茶の香りは格別。月ヶ瀬を中心に厳選した大和茶の品揃えが豊富だ。
ボルゴ・コニシで最後のお飲み物にお出しする、珍しい月ヶ瀬の抹茶「大和の和(なごみ)」は渋みがなくまろやかで海外の方にも好評だ。また、味のあるパッケージデザインはご主人の手描きを元にしており贈り物にも最適。近隣の昔ながらのお客様はもちろん、県外のファンも多い。
味間いもとは・・・大和伝統野菜で奈良県在来のサトイモ

◆Antipasto 前菜◆
ボスコ・ディ・ブロッコリー

ボスコ・ディ・ブロッコリー

第一前菜は、イタリア原産の代表的野菜の一つであるブロッコリーを主役にした一皿です。
華厳経に「世界は美しく飾られたみごとなものだ」また「美しい世界は実践によって実現される」という記述があります。
常日頃私は、食材の中でも特に野菜は美しくみごとなものだと思っており、その美しさを皿の上に置こうとして生まれた料理です。
山や森は水を蓄える大切な存在です。奈良の人々は山をご神体として敬い、水信仰と共に伝えてきました。
春日山原始林を模したブロッコリーは美しい花蕾に大地の水と、料理という人類の英知を蓄えています。

  • 五條市 益田農園のブロッコリーは、驚くほど花蕾が引き締まり旨みが詰まっている。しっかり茹で野菜の甘みを引き出して尚、花蕾にソースを蓄える力がある。イタリアの伝統料理バッカラ・マンテカートにブロッコリーのピュレを混ぜ、爽やかな水分と軽やかさを加える。その上に、ドライトマト、松の実、干しブドウなどから成るソースを花蕾に蓄えたブロッコリーを添えた。花蕾に溜まったソースが噛むほどに口中に溢れる。ブロッコリーの特徴を活かしバッカラ・マンテカートに華を添える一皿となった。
ブロッコリーについて・・・キャベツの一種がイタリアで品種改良され、花を食用とする現在の姿になった。和名はメハナヤサイ(芽花野菜)、ミドリハナヤサイ(緑花野菜)

五條市益田農園について・・・吉野連山や紀伊連峰の美しい山々に囲まれた奈良県五條市。この地は果樹・野菜の栽培に適した気温や湿度にも恵まれ、適度な寒暖差がある。自然に逆らわず、山間の傾斜をそのまま利用した広々とした農園で循環型農業に取り組んでいる。

 

◆Antipasto 前菜2◆
チンクエ・フォルマ

チンクエ・フォルマ

第二前菜は、5種のチーズそれぞれにイタリア料理法をひと手間加え組み合わせた前菜です。
5種の個性豊かなチーズが反発しあうことなく相互に引き立て合う様は、華厳の世界観である「ミクロからマクロ、マクロからミクロ」そのものを表します。
神山である御蓋山ミカサヤマ(春日山)の麓、東大寺のお膝元であり興福寺の元敷地内空中2階ボルゴ・コニシで日々過ごす、奈良で育った私という料理人からしか生じないチーズ料理です。
イタリアの代表的な5種のチーズを結集し湧き上がるミルクの泉を表した、平和を象徴する一皿です。

  • イタリア料理コンテスト『プレミオアッチ2019』において全国3位入賞の5種のチーズを使った前菜。イタリアチーズ熟成士ジョリート氏のチーズを使用。ゴルゴンゾーラと焦がしはちみつのパンナコッタの土台をドーナツ状にくり抜き、モッツァレラチーズを溶かしたスープを流し込む。パルミジャーノ・レジャーノ(24か月熟成)を薄くシート状に焼いて乗せ、アバーテ(山羊)とラルドのバットゥータ、マスカルポーネとアマレッティのバットゥータをそれぞれ丸めて乗せる。湧き上がるミルクの泉をイメージした盛付け。ナイフを入れ流れ出るモッツァレラのスープと共に、5種のチーズがさまざまな味わいを生み出す、なんとも楽しいチーズの前菜。

 

◆Primo Piatto 『パスタ未来形』◆
アクア・ディ・ポモドーロ

アクア・ディ・ポモドーロ

IW100「パスタ未来形」
未来へ残したいものとして真っ先に浮かんだ “水” 植物が蓄えた水でありイタリア食文化を象徴する野菜の一つ、“トマトの水“をテーマにしました。
奈良の水の歴史と水に対する人々の祈り。それは生きとし生けるもの全てにおける地球の未来への想いと重なります。
水に導かれるように自然に生まれたアクア・ディ・ポモドーロ。太古から現在、そして未来へ、地球と人類が存在する限り大きく変化することのない普遍性を、今を生きる私が料理という最も平和的な形で奈良から発信する、未来につながる豊かな自然の大切さを表現したパスタです。
より詳しい説明はこちら→https://borgokonishi.com/blog/?p=2540

  • 奈良市前田農園のトマトの力を借りて濾過された、大地の水の恵みを素直に表現した。トマトの旨みと水分を抽出したトマト水のみずみずしく体に染み込む感覚と、その一方で味わいに集中すると、トマトの旨みが凝縮した濃厚なソースが口中に広がる。大和橘のピールを削って仕上げることで、トマトの香りがより一層引き立つ。その香りと共に体に染み込むトマト水が、古代から現在、未来全てがある “今” を覚醒させる。
大和橘とは・・・古事記に“非時香果”(ときじくのかぐのこのみ)として記され、万葉集の多くの歌にも詠まれている。
山の辺の道や中ツ道を中心に栽培されており、「なら橘プロジェクト推進協議会」の長年の地道な活動により絶滅の危機を乗り越えようとしている。
ボルゴ・コニシが大和橘に出会ったのは2017年。今では無くてはならないとても大切な食材である。
中ツ道は、奈良盆地の中央より東を南北に平行する三本の縦貫道。東から上ツ道(かみつみち)、中ツ道(なかつみち)、下ツ道(しもつみち)。「大和三道」ともいう。
奈良市前田農園について・・・代々続くイチゴ農家から、3代目の当代がトマト専業農家へと舵をきった。
水田に向く盆地である奈良の土壌を、独自の研究と試行錯誤を重ねナスの接ぎ木によりトマトの好む枯れた土と錯覚させる方法を実現した。
工夫に工夫を重ねた可能な限り自然な農法、作業効率の向上、収穫の安定化、次世代への引継ぎ、更には近隣の耕作放棄地利用への提案と実施に向けての活動など積極的に行う農園。

 

◆Second Piatto メイン料理◆
ボリートミスト ~大和 YAMATO~

ボリートミスト~大和 YAMATO~

奈良の高原で育まれる食肉と野菜のソースで、奈良の山野を表現したボリートミストで締めくくります。
奈良盆地を囲むように広がる山々で育った鴨、豚、牛から、肉質に現れるそれぞれの山の標高、気温、湿度、水、土、植物などを想起させる、メインディッシュにふさわしいイタリア料理です。
海がない奈良県が未来の美しい水を守るためにできることは、美しい山を保つことです。

  • 御所市 倭鴨(やまとがも)、五條市 泉澤農園のばあく豚を使った自家製サルシッチャ、宇陀牧場 井上牛の奈良県産3種の肉をボリートミストに仕立てた。それぞれ個別に適正な温度で時間を変えて茹でた肉に、炭火で炙って仕上げることで、各肉の味わいに輪郭が現れる。茹でる際に取れたスープは吉野葛でとろみを加えた。添えるソースは、大和橘の葉のサルサヴェルデ、曽爾高原産 梅のモスタルダ、前田農園のトマトを使用したバニェットロッソ。奈良の各食肉の特徴と野菜のハーモニーが存分に楽しめる、イタリア料理の最大の特徴であるワクワク感が伝播するメイン料理。
倭鴨(やまとがも)とは・・・奈良県御所市の標高452mの葛城山麓で飼料・飼育環境・飼育日数にこだわって飼育された合鴨肉。脂質と赤身のバランスが絶妙で、芳醇な旨みが特徴。
ばあく豚とは・・・奈良県と大阪府の県境に位置する標高1125mの金剛山麓の麓にある、農業と畜産業を営む泉澤農園で飼育されている。母系の黒豚からきめ細かい肉質を得、霜を降らせるためデュロックという茶豚を交配した。餌は小麦、大麦、大豆、飼料用米を自家配合した飼料を使い、肥育期間は通常6ヶ月のところ、約7.5ヶ月かけて育てた豚。
宇陀牧場井上牛とは・・・標高400mの宇陀の地で、当代 井上源一氏により昭和43年牛一頭から創業。昼夜の温度差が大きい環境がもたらす、きめの細かい肉質が特徴。原材料から配合割合までこだわった飼料を与え、一頭一頭徹底した飼育管理と愛情を込めたケアのもと育てる。
曽爾高原とは・・・ススキの名所で、官民共同組織による村内で育った米や野菜のブランド化などを目指す農業と、木材加工による付加価値の創造を目指す林業の両分野を中心に、村内で展開する地域イノベーションによる創業を支援しながら、持続可能な農林業の実現を目指している地域。

 

◆Granita 口直しのシャーベット◆
桂のリーフティーのグラニータとヘーゼルナッツ ~クロッカンテ~

桂のリーフティーのグラニータとヘーゼルナッツ ~クロッカンテ~

桂の落ち葉から香るカラメル香を抽出して作るグラニータにヘーゼルナッツを削ることで、クロッカンテを表現しました。
和ハーブ協会会長も驚いた、医食同源や地中海食を思わせるプレドルチェです。

 

Dolce デザート◆
柿のアマレッティ 柿酢のジュレと吉野ニッケイを添えて

柿のアマレッティ 柿酢のジュレと吉野ニッケイを添えて

日本料理に於いて水菓子としての柿をドルチェとして成立させることが、日本そして奈良でイタリア料理を通じて食文化の更なる向上と普及へとつながる、との思いから考案しました。
奈良県は柿の栽培面積全国第3位、収穫量全国第2位であること、またイタリアでも親しまれているフルーツである柿のドルチェで皆さまを口福にします。

  • 奈良県産柿を使用。リコッタに、柿、アマレッティ、リンゴを混ぜ込み程よく熟した柿で包み、柿酢のジュレを添えた。柿酢のジュレの熟成感のある酸味と生リンゴのフレッシュな酸味が重層的に柿とリコッタの甘みを引き立て、アマレッティの香りが華やかに香る。吉野肉桂の葉をパウダーにして添えることで、より洗練されたドルチェに仕上がった。ジューシーでありながら繊細な甘さが特徴の奈良の柿に、イタリアの料理法を合わせることで柿特有の風味の輪郭が際立った。新たな味わいの発見がある一皿。

柿酢について・・・奈良県五條市に本社を構える石井物産の直営店「柿の専門 いしい」の柿酢を使用。石井物産は1965年梅とミョウガの加工会社として創業。その後、漬物の下請け会社として事業を拡大し、1981年干し柿以外の柿の加工品がほとんど無い時代に、「傷つき捨てられる柿をなんとかしたい」という想いから柿の加工を始めた。
現在、柿酢以外にも様々な干し柿や、柿ようかん、柿バターやケーキなど贈り物にもぴったりな豊富な品揃えで、JR・近鉄奈良駅周辺の直営店や土産物店にて購入可能。
特に野菜との相性が抜群でボルゴ・コニシでは多用している。

辰誠園について・・・標高約450mの高原に位置し、農薬と化学肥料を必要最低限に抑え、環境への負荷をできるだけ減らす農法に取り組んでいる果樹園。
吉野高原で太陽の光をいっぱい浴びた完熟の柿は、通常より糖度が高く濃色で食味が良い。昼と夜の寒暖差があることから県内では珍しい、さくらんぼの栽培も行っている。

 

◆Caffe e dolcini 小菓子 食後のお飲み物と共に◆
アマゾンカカオのモディカチョコレート 大和橘のフレーバー
希望の花 ストライプペポとアマゾンカカオバター

アマゾンカカオのモディカチョコレート 大和橘のフレーバー/希望の花 ストライプペポとアマゾンカカオバター

小菓子は、アマゾンカカオと奈良の新たな食材を組み合わせて未来への想いを託しました。
アステカ文明を起源とするシチリアのモディカチョコレートには大和橘を添え、日本とイタリアのこれからも変わらぬ友好関係を象徴します。
“希望の花“と名付けた菓子には、アマゾンカカオバターに現在奈良県が品種改良及び将来性を模索しているペポカボチャの種子 ”ストライプペポ“ を添えました。
僅かな可能性から生まれた植物から料理人が新たな一面を引き出し、光を当て、人々にその価値を広め共有し楽しんでいただく、未来が地球にとって素晴らしいものであるよう願いを込め、コースを締めくくります。

ストライプペポとは・・・2014年に品種登録された寒冷地向きのペポカボチャ(種子食専用のカボチャ品種)の一種。
製菓業界などに於ける国産の食用種子に対する要望から始まった。国の研究機関である農研機構北海道農業研究センターで開発が行われ、栽培し易く種に厚い殻がないため殻を剥がす必要がない、また種子収量が既存品種に比べ多い品種として開発された。
種子が優良である反面、果肉が大きいため栽培面積を要する上、食味が悪いことから種子だけでは採算が合わないと当初は栽培農家が増えず無駄な開発だったのでは、という声も聞かれるようになった。
そのストライプペポに2015年、奈良県農業研究開発センターが着目。当センターは、“オンリーワンの研究開発を目指し、奈良ブランド力の強化を図っていく” を指針としている。
奈良県桜井市の圃場では1株から3~6kgの果実が2~4個収穫でき、1個の果実からは50~110gの種が収穫できた。以来毎年栽培し、現在100g1,000円で商品化している。
北海道と奈良県では、次なる課題である果肉の有効利用について研究が続けられている。

 

2023年度 IW100『パスタ未来形』”アクア・ディ・ポモドーロ”について解説

2023年度 ITALIAN WEEK 100『パスタ未来形』についてご紹介いたします。

<山嵜正樹の考え>
料理を考案する際、私が最も大切にしていることは「また食べたいかどうか」
リストランテなのでケではなくハレではあるが、華美で稀少でごく一部の人が味わえるような料理がハレだと思う方もいらっしゃるでしょう。
私が提唱するのは、プロフェッショナルな料理人として知識と技術と時間をかけた家庭では味わえないお料理を家族と仲間と、近所で旅先で味わいリラックスして楽しむ、皆さまの日常のすぐ近くに寄り添う、何度でもどなたでも訪れることができるリストランテです。

その上で今回のIW100のテーマ『パスタ未来形』を考えたとき、未来へ残したいものとして真っ先に浮かんだ “水” 
地球上のあらゆる生命体の未来に欠かせない清らかな水をテーマにしました。

中でも人間が ”そのまま飲める水” は限られており、飲める水にするため植物や野菜の力を借りています。そのままでは飲めない水を、野菜に吸収してもらい、動物に植物を食べることで体に蓄えてもらい、調理してそれらの水をいただいています。

人は自然と共にあります。水は未来からの借り物です。水は地球の歴史を地層として記録していきます。
今夏、地質学の専門家たちにより、46億年の地球の歴史の上で人類の痕跡が残る時代を区分する、新たな地質年代「人新世」(じんしんせい、または、ひとしんせい)を設けることが国際学会に提案されました。
「人新世」は、現在の「完新世」に続く新しい地質年代の区分として2009年から検討されており、始まりは1950年ごろを採用するとされています。
この時期、世界の人口やプラスチック、コンクリートなどの人工物の生産量が爆発的に増えており、50年代に急増した核実験によるプルトニウムも世界中の地層や氷床に既に ”記録” されています。
”人類の痕跡が残る時代” が地球歴史上前代未聞の ”欲望と傲慢に満ちた恥ずかしい地層” として積もりつつあります。ちなみに1950年代までは人類の理性がぎりぎり働いていた時代で、その後タガが外れ現代に至るということです。

私はこのことを知り驚愕しました。
私たち一人一人にできることは僅かであっても、今どう過ごすか、例えば水をどう考えるかで未来が変わるといえるでしょう。誰も未来の水を汚したくはないと思います。

植物の力を借りて濾過された大地の水の恵みをいただくパスタが、“アクア・ディ・ポモドーロ” です。未来へ残したい美しい水への想いを表しました。

繰り返しになりますが、水はあらゆる生命の命を育みます。人は飲料としての水の他に、農作物へと形を変えることでも水を摂取しています。
中でもイタリアで長い年月をかけて食用として開発されたトマトは日本にも定着し、イタリア料理と共に広まりました。トマトから抽出したクリアな水に未来への想いを託しました。

トマトの水に華を添え未来へと誘うもう一つの植物 “大和橘”
古事記に“非時香果”(ときじくのかぐのこのみ)として記されている大和橘は、万葉集の多くの歌にも詠まれている日本固有の柑橘です。現代の奈良人により今、絶滅の危機を乗り越えようとしています。

可憐な大和橘の芳しい香りが、大地の未来を見据えた農業を行う奈良市前田農園のトマトと共に未来につながる豊かな自然の大切さを想起させてくれます。

『人は自然と共にある』

奈良に暮らし、日々イタリアの伝統と文化に思いを馳せる中で感じる、自然への敬意と感謝から素直に導き出した“アクア・ディ・ポモドーロ”
料理という最も平和的な形で、多くの皆様に奈良の自然の懐の深さをお届けできることを嬉しく思います。

ソムリエ協会機関紙『Sommelier』”石田 博のペアリング探訪記” に掲載されました

ソムリエ協会機関紙『Sommelier』(2022.11.NO189)のソムリエ協会副会長 石田博氏による連載 ”石田 博のペアリング探訪記 Series4” に掲載されました。

ソムリエ・エクセレンス 山嵜愛子の仕事における思想と流儀について取材をしていただくという、大変な幸運に恵まれました。石田副会長には、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

取材に向けての準備、自分の仕事の振り返り、そして取材当日、とても充実した楽しく貴重な時間でした。今でも鮮明に心に残っています。
掲載記事の最後、”取材を終えて” では大変励みになるお言葉をいただきましたので、僭越ながらご紹介させていただきます。

誰に師事したかではなく、どれだけ身につけたか、山嵜シェフが
二人の師匠から愚直に吸収したことを4皿の料理が見事に表
していた。一切の迷いがない料理は山嵜シェフの研鑽というフ
レームに正しく収まっている。取材の数日前に送られてきた資料には料理の詳細、ストーリー、ワインのテクニカル情報、ペアリングのアプローチが丁寧に記されていた。ソムリエ・エクセレンスの名に相応しい、まさに卓越した仕事だ。
「足を伸ばしても訪れるべきリストランテ」である。

このお言葉に恥じないよう、今後とも積み重ねを大切に日々精進してまいります。

第12回全国イタリア料理コンクールで優勝しました

2021年11月25日㈭東京で開催された在日イタリア商工会議所主催『第12回全国イタリア料理コンクール』にて優勝、及びJapan Olive Oil Prize賞(オリーブオイルの使い方が最も優れていたシェフに贈られる賞)をダブル受賞いたしました。

テーマは「お米料理」出品作品は『栗とラルドのリゾット 大和橘の香り』

コンクールの審査委員長であるアルマーニ/リストランテ銀座 エグゼクティブシェフ カルミネ・アマランテ氏から下記のコメントをいただきました。

”イタリア料理の大切なことは、自分の創造した料理を自分の独自の芸術作品として誇りを持ち、常にテーマやコンセプトにこだわって、自分自身の言葉で語ることができる正真正銘のイタリア料理を作ることだ。今回は、甲乙つけがたい若手のイタリアシェフたちの熱い戦いであった。いろいろな工夫を凝らしたものも多かったが、王道のリゾットのスタイルを独自のセンスで際立っていた山嵜シェフに栄冠を与えた”

審査委員長 アルマーニ/リストランテ銀座 エグゼクティブシェフ 
カルミネ・アマランテ氏と

日々試行錯誤し積み上げてきたことをイタリア人のトップシェフから評価いただいたことで、自信へとつながり指針となりました。心より感謝申し上げます。

優勝の副賞として、アルマーニ/リストランテ銀座で1週間の研修を受けることになりました。短い期間ですがアマランテシェフの料理哲学を通して、イタリア料理の本質を垣間見たいと思っています。

*研修期間中2022年3月1日㈫から10日㈭まで、臨時休業致します。

食品展示会『プレミオアッチ2019』の第二回イタリア料理コンテストで3位入賞いたしました

10月9日㈬に東京都立産業貿易センター台東館で行われました、(一社)日本イタリア料理協会およびイタリア大使館貿易促進部主催の食品展示会『プレミオアッチ2019』のイタリア料理コンテストの決勝戦に出場いたしました。

103名の応募の中から6名が決勝に進出し、 リストランテ ボルゴ・コニシ  オーナーシェフ山嵜正樹は、3位に選ばれました。

以下、山嵜正樹より感謝の言葉を述べさせていただきます。

”この度は、プレミオアッチ2019にて3位入賞をいただき、誠にありがとうございます。審査委員長のラ・ベットラ シェフ 落合務氏をはじめ、 イタリア大使館 貿易促進部 部長 アリスティデ・マルテッリーニ氏、 BU Cheese Bar シェフ シモーネ・ブージ氏、 ㈱クアトロヴィーニ代表取締役 永瀬 喜洋氏に自分の料理を評価いただき大変光栄に存じます。

今大会のテーマは『イタリア産チーズ』で、イタリアを感じられるかが最も大切な審査基準でした。私が日頃大切に考えている独創的でありながらイタリアの郷土料理をベースにしたどこか懐かしさを感じさせる一皿を5種のチーズで表現しました。

出展料理の前菜『Cinque Forma チンクエ・フォルマ』です。


湧きあがるミルクの泉をイメージしました。
5種のイタリアチーズを使用すること、またチーズの起源が古代まで遡ることから古代ラテン語でフォルマッジョの語源である“フォルマ”を用い、メニュー名は『チンクエ・フォルマ』としました。  
ミルクがさまざまな変化や熟成を経て多種多様なチーズが生まれ、更にチーズとして変化熟成を重ねていく不思議さと、イタリアチーズならではの他の素材と合わさってこそ本領を発揮する懐の深さを表現しました。
土台はゴルゴンゾーラと焦がしハチミツのパンナコッタで、その中央をくり抜きモッツァレラとミルクのソースを中に注ぎ、バジルの香りを付けたオイルをたらします。パルミジャーノレジャーノのクロッカンテで蓋をし、ヤギのミルクのチーズ マティネとラルドを叩いたバットゥート*と、マスカルポーネとアマレッティを混ぜたものの2種のチーズをのせました。  5種のチーズを同時に食しても不思議とそれぞれがお互いを引き立てたり、アクセントになったりしながら最後まで食べ飽きない楽しい料理になりました。

2022年よりイタリアの生ハムの輸入が停止されております。またマティネの輸入が困難になったため、アバーテまたはカステルマーニョと自家製リコッタクリームを混ぜたものにレシピを変更いたしました。

審査員の皆様からは、

”これだけの細かい作業を確実に正確に素早く行う技術力が素晴らしい。イタリア料理の未来は明るい”(落合氏)

”盛り付けの美しさは秀逸で、早速妻に画像を送信した”(マルテッリーニ氏)

”5種類ものチーズを使いつつ味のまとまりを感じるということは非常に技術の高さを感じる”(ブージ氏)

”スパークリングワインと合わせれば軽やかさが出せるし、中からモッツアレラのソースが溢れ出す演出は大変楽しい。確かに前菜として仕上がっている”(永瀬氏)

壇上での調理中は、リストランテ アルポンテ シェフ 原宏治 氏に 優しく気遣いながら 調理方法についてインタビューしていただき、緊張の中で大変心強く感じました。お礼申し上げます。

このような経験とコメントを頂けること自体を大変光栄に思います。今後の励みになります。まだまだ目指すところには遠く及ばず至らない点もございますが、皆様の温かいお言葉を胸に、今後も初心忘れずより一層精進してまいる所存です。今後ともリストランテ ボルゴ・コニシをどうぞよろしくお願い申し上げます。”

シェフェスタ2018 シェフズキッチン食材生産者一覧

いよいよ明日に迫りました、コムニコXボルゴ・コニシ共演”シェフズキッチン”inシェフェスタ2018!!

予想外の天候が続く中、多くの生産者さまにご協力いただき、色とりどりの食材が揃いました!!

この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

<メインプレート>
米       大西さん(曽爾村)
サフラン    笹岡さん(宇陀市)
パセリ     寺田農園(葛城市)
きのこ     岡本さん(吉野)、上湯川きのこ生産組合(十津川)
ローズマリー  山嵜正樹(奈良市)

<バーニャカウダ>
【曾爾テロワール】
かぼちゃ“ブラックのジョー”(井上善富さん)
シカク豆(井上善富さん)
ミニトマト“ぷちぷよ”(田合林業)
なす(河合 達さん)
パプリカ(田合広司さん)

【御杖村】
サラノバレタス(山浦農園)
ほおずき(北岡すみ子さん)

【ひらひら農園(生駒市)】
ラディッシュ
にんじん
熟成じゃがいも“ノーザンルビー”

【奈良県農業研究開発センター(桜井市)】
やまと甘なんばん

【コムニコ 堀田シェフのお義父さん】
にんにく

<ブディーノ・チョコラータ>
古代醤(ひしお) 奈良県醤油工業共同組合(天理市)
大和橘      なら橘プロジェクト推進協議会(大和郡山市)

明日、県庁前奈良公園にてお待ちしております。

シェフェスタin奈良 2018 ”シェフズキッチン”に出演いたします

ボルゴ・コニシは、今年10年目を迎える奈良の食の祭典『C’festa シェフェスタ』の奈良会場にて行われる“シェフズキッチン”に出演させていただくこととなりました。出演は、9月22日土曜日、生駒市のCOMMUNICOコムニコ オーナーシェフ堀田大樹氏との共演です。

奈良の食材盛り沢山でお届けします。

メインメニュー: ¥1,800

  • ヤマトポーク脛肉の煮込み 大和橘のグレモラータ風味
  • 曽爾の米と宇陀のサフラン 奈良のさまざまな茸のリゾット
  • 奈良県産薩摩芋とローズマリーのフォカッチャ

サイドメニュー:

  • 奈良県産野菜のバーニャカウダ ¥600
  • アマゾンカカオと古代醤のブディーノチョコラータ 大和橘のコンフィ ¥600

数に限りがございますので、お早めにお越しください!!奈良公園でお待ちしております。

シェフェスタin奈良は、奈良公園県庁前、登大路園地にて、9月15日(土)~24日(月・祝)10時から17時まで開催されます。
10周年である今年の日替わりシェフのお料理が楽しめる “シェフズキッチン” は、奈良のシェフのみが参加します。普通の屋台では味わえない、シェフたちが工夫を凝らした1日限定 “アウトドアメニュー” をお楽しみください。
その他、 “料理屋の屋台” や飲み物も充実、最後はマルシェでお買い物、奈良のうまいもん大集合の10日間!晴れますように!おなかすかせて、お越しください!!

コムニコXボルゴ・コニシは、10月22日です。宜しくお願いいたします。

大和橘を植樹しました

4月2日、山の辺の道に大和橘を2本植樹しました。向かいに渋谷向山古墳、背景に植えたての桜、菜の花と雪柳に囲まれた絶景です。

収穫用なので、からたちの木に接木してあり接いだ部分を地表に出しておくことがポイントです。画像の地面から太くでている白い枝がからたちで、そこから伸びるやや細いグリーンの枝が大和橘です。

天候にも恵まれ大変楽しいひとときでした。
城さん、仲尾さん、久保田さん、お忙しい中本当にありがとうございました。

ソムリエ・エクセレンス資格を取得いたしました

2010年ソムリエ試験に合格した時点で、5年後のソムリエ・エクセレンス受験を視野に入れて参りました。そして、この度ソムリエ・エクセレンス資格を取得いたしました。数年前より難易度が上り、今年はそれを更に超える難易度でしたが、なんとか合格することができました。ありがとうございました。

ソムリエとして常に心掛けていることは、知識と好みが偏ってはいけないということ。その一つのバロメーターとして、シニアソムリエの資格取得は私にとって必須だと思いました。今回、受験してみて筆記及び実技も含め、自分の足りないところや弱いところが露わになり、大変よい経験になりました。

世界のワイン事情は日々めまぐるしく変化しています。そして、我がシェフ山嵜の料理も。その変化を楽しみながら、料理に合うイタリアワインを提案していきたいと思っています。特にここ数年、情報が世界中を飛び回るようになってから、ワインの世界でも自由な発想から新しい試みのワインが次々と生まれている印象を受けます。それでも変わらないのは、生産者の想いと、その思いの詰まったワインをきちんと届けたいという私たち売り手の想いです。

ソムリエ・エクセレンス取得はゴールではありません。やっと本当にソムリエとしてのスタートを切った、という思いです。そして、これからも変わらず日々精進、皆さまにイタリア料理とイタリアワインの楽しい世界をお伝えできればと思います。

店名変更のお知らせ

この度「ベッカン・ピアット」は2014年4月より店名を

RISTORANTE Borgo KONISHI
リストランテ ボルゴ・コニシ

に変更いたします。

2007年創業時パスタ専門店からスタートし皆さまのお力添えに恵まれ、学びのあった7年を経た今、より一層のイタリア料理の探究と啓蒙を目的とし、新たにリストランテとしてスタートすることに致しました。

Borgoとは、イタリア中世時代に城壁の外に発達した郊外地区や通りを表します。現在も、特にトスカーナにBorgoと名のつく町や通りが数多くあり、各所に当時の繫栄した名残を残しながら人々が暮らし続ける魅力的な町として存在します。

ここ小西通り周辺は、奈良時代に平城京の外壁の外側にあり「外京」(げきょう)と呼ばれていました。その後、興福寺の少し西側にあることから小西町となり、近鉄奈良駅から興福寺に通じる通りとして、小西通りと名付けられました。

奈良に住み小西町で過ごしイタリアのBorgoとの共通点を感じ、店名をリストランテ ボルゴ・コニシと致しました。伝統的なイタリア料理を誠意をもって正しく理解し、ここ奈良で新たな息吹を吹き込み現代に受け継ぐ食の文化交流を通して、奈良とイタリア文化の素晴らしさを発信する所存です。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。