お知らせ (10件)

すべて (33件)

その他 (4件)

ボルゴ・コニシについて (5件)

メディア情報 (4件)

ワイン (2件)

大和橘について (2件)

奈良散策 (6件)

料理 (25件)

メディア情報

注目

<テレビ紹介>

2025年1月5日   『ワンディッシュ~「おいしい」の向こう側~』(ABC朝日放送テレビ)

2018年5月    『ならナビ』(NHK奈良放送局)
          毎週1回 計4回担当

2016年4月、10月 『古都コトクッキング』(NHK奈良放送局)
          毎週1回 計8回担当

2014年1月10日  『ぐるっと関西 おひるまえ』(NHK総合大阪)

         『ならナビ』(NHK奈良放送局)

   10月19日  『サキどり↑』(NHK総合)

   12月22日  『NHK WORLD NEWSLINE』(NHK国際放送局)

 

<雑誌、書籍>

2025年  『JTBのMOOK 大人の日帰り旅/関西』(JTBパブリッシング)
     『ココミル奈良』(JTBパブリッシング)

2023年  『月刊大和路 ならら 9月号』(なら文化交流機構)

2022年  『ミシュランガイド奈良2022 特別版』(日本ミシュランタイヤ)

     『Sommelier 11月刊』(日本ソムリエ協会)

2021年  『あまから手帖 5月号』(㈱クリエテ関西)

2020年  『あまから手帖 10月号』(㈱クリエテ関西)

2016年  『naranto 春夏号』(㈱エヌ・アイ・プランニング)

2015年  『奈良食べる通信 創刊号』(㈱エヌ・アイ・プランニング)

2015年  『naranto 春夏号』(㈱エヌ・アイ・プランニング)

2014年  『nala yome 12月号』(ベースクリエーション)

2013年  『讀賣新聞 8月8日』

     『讀賣新聞 9月25日』

     『産経新聞 9月25日』

     『毎日新聞 11月7日』

2012年  『県民だより奈良 8月号』

     『料理王国 3月号』(料理王国社)

2011年  『LOUIS VUITTON CITY GUIDE 2011 KYOTO / NARA』(LOUIS VUITTON)

     『週刊 奈良日日新聞 12月9日~12日』

     『料理王国 3月号』(料理王国社)

2010年  『芸妓 菊乃のかわいい奈良』(菊乃 著 実業之日本社)

     『料理王国 7月号』(料理王国社)

2009年  『毎日新聞 3月25日』

     『Nara Smile 4月号』(㈱祥起)

2008年  『美味しい奈良 弐』(㈱読売奈良ライフ)

     『ぱ~ぷる 4月号』(㈱エヌ・アイ・プランニング)

 

<WEB掲載>

2024年     『ミシュランガイド奈良2024』

2023年     『ミシュランガイド奈良2023』

2021年     『和 WA・TO・BI(和食の扉)』(㈱エヌ・アイ・プランニング)

2017年     『ミシュランガイド奈良2017』

        『わたしならTRIP 私旅プランVol.6』(JR東海ウェブサイト)

 

<企業タイアップ>

2014年  『いきいき通信 8月号』(味の素株式会社)
       ひもとうがらしのレシピ集監修

 

「JTBのMOOK 大人の日帰り旅」と「ココミル奈良」に掲載されました

今すぐサクッと出かけたくなるガイドブック、『JTBのMOOK 大人の日帰り旅/関西』、更に奈良にフォーカスしてより楽しめるガイドブック『ココミル奈良』にダブル掲載されました!ありがとうございます!

取材担当は、味噌は自家製、遂に木桶仕込みに挑戦中の食とカメラをこよなく愛するカメラマン小檜山(こひやま)さんと、ライター歴超絶長いプロ中のプロ、長谷川さんの名コンビです。
お二人による記事は、私たちが言いたいことを汲み取っていただき余すところなく伝えてくださっていて、大変感激いたしました。プロって本当にすごい!

本当にありがとうございました。

すっかりインターネット検索に頼っている昨今ですが、久しぶりにガイドブックを手にしてみますと、軽さ、見易さなど実用性の高さを思い出し、やはりいいものだなと嬉しくなりました。
また、奈良の知らないお店も多く掲載されており、いつの間にか自分の情報が古く狭まり偏っていることに気付かされました。

思い立ったが吉日、気軽にお出かけしたくなる情報満載です!

『JTBのMOOK 大人の日帰り旅』と『ココミル』シリーズの2冊があれば、日本中津々浦々楽しめること間違いなし!
眺めて楽しい、行くともっと楽しいガイドブックで日本を楽しもう♪

是非、書店で手にとってみてください。
奈良へもぜひぜひ、どしどしお越しください🦌

 

『JTBのMOOK 大人の日帰り旅』塩引鮭と奈良の食材

『JTBのMOOK 大人の日帰り旅』塩引鮭と奈良の食材

『JTBのMOOK 大人の日帰り旅』撮影風景2025.1

『JTBのMOOK 大人の日帰り旅』撮影風景2025.1

 

越後村上名産「塩引き鮭」がイタリア料理になりました

海のない奈良県ならではの、敢えて鮮魚を使わないイタリア魚介料理を通じて、日本のすてきな伝統食材のおいしさ再発見!第二弾。

前菜「塩引き鮭 サワークリーム添え 烏梅のアクセント」

奈良時代、全国各地から平城京へ送られてきた税としての「伝統保存食」に着目し生まれたパスタ料理「潮かつおとカリフラワーのリングイネ」に続く「塩引き鮭」のポテンシャルがすごい。
「塩引き鮭」は、新潟県村上市の名産です。

奈良ならではの香りとのハーモニーが、新たな塩引き鮭の魅力を引き出しました。

塩引き鮭 サワーホイップ 烏梅のアクセント

塩引き鮭 サワーホイップ 烏梅のアクセント

 

越後村上名産「塩引き鮭」のまるで生きているかのような姿と、鮮度と熟成の間の絶妙な味わいから、今も昔も変わらぬ風土と、人々の自然と鮭への敬意が感じられます。
できるだけありのままのおいしさを味わっていただくため、熟成した鮭のしっとりとした食感と滋味深い風味を大切にコンフィにしました。

烏梅のスモーキーな香りと甘酸っぱさ、サワーホイップをソースに添えて「塩引き鮭」の新たな魅力が全開、見目麗しく早春を感じさせる華やかな一皿です。

 

越後村上うおやの塩引鮭

 

村上市の鮭は、西暦645年にはすでに鮭料理が広く食されており、平安時代には鮭や腹子を都に献上していたと記録されているそうです。
当時すでに繊細な鮭を遠方まで届けることができる保存法が発達していたことには驚かされます。

その長い歴史の中で生まれた村上市に伝わる鮭の料理法は、なんと100種類以上にもなるといわれ内臓なども余すところなく使われます。
名産の一つ「塩引き鮭」は、村上地方特有の風土から生まれた先人の知恵の結晶です。

新潟県からお越しのお客様から「塩引き鮭」について直接お話を伺うこともできました。
「朝ごはんには割と出てきていました」
「まさか奈良で、しかもこんな形で塩引き鮭を味わえるとは!」
「母が常に常備してますが、そういえばどこで買っているんだろ?」
「新潟出身ですが村上は遠いので、聞いたことあったけど食べたことはありませんでした」
思ったより多くの新潟県出身の方が奈良にいらっしゃっていることを知り、感激です!

お近くのお客様からは、
「テレビで見て食べてみたくて、よっぽど取り寄せようかと思っていたので食べられて良かったです」というお声もいただきました!

日本の宝とイタリア料理のハーモニーを奈良イタリアンに変えて、口福、うれしい、たのしい食文化の調和をこれからも探っていきたいと思います。

 

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月ヶ瀬の烏梅について詳しくはこちら

越後村上うおや」公式HP

 

 

 

小菓子◆ミカドオコシ◆

心和む食後のコーヒータイムに欠かせない小菓子。

『宮中 季節のお料理』(宮内庁監修 扶桑社)に掲載されている、新年の御祝菓子として両陛下に出される真っ白な美しいおこしに魅了され生まれました。

「ミカドオコシ」

イタリア食材と日本の古来伝統菓子「おこし」の技法を融合させ、砂糖傳増尾商店「御門米飴」でまとめました。

日本の伝統とイタリアの見事な調和をもって、縁起物「おこし」の新たな魅力を起こしました。

 

ミカドオコシ

ミカドオコシ

 

「おこし」の製法は『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』(平安時代中期に作られた辞書)に残されており、平安時代に遣唐使が持ち帰った唐菓子の一つ「粔籹(きょじゅ)」が原型とされていますが、『日本書紀』の神武天皇の祝詞に「糒(ほしいい)」を蜜で固めたものが記されているそうです。

糒は、米を炊いたり蒸してから天日干しにして乾燥させたものです。
保存食として古墳時代には狩りや戦、農作業の際に持ち歩いていました。

 

カルナローリ米でつくった糒を揚げたもの

カルナローリ米でつくった糒を揚げたもの

 

「ミカドオコシ」はシルクロードへのオマージュでもあります。
古代シルクロードの時代は、西から東の果て日本へさまざまな文化が伝わり溶け込んでいきました。
そして現代、おこしの伝統を「オコシ」に変えて奈良から発信いたします。

カルナローリ米でつくった糒を揚げたもの、松の実、レーズン、シチリア ブロンテ産のピスタチオ、金ゴマをまとめるのは、
老舗の甘味食材専門店 砂糖傳増尾商店の「御門米飴」

 

砂糖傳増尾商店「御門米飴」

砂糖傳増尾商店「御門米飴」

 

米飴とは、米を麦芽で糖化した古来伝承されている自然の甘味料です。
さすが、糒との相性抜群です。
砂糖が普及するまでは、日本各地で広く利用されていました。

 

御門米飴

御門米飴

 

食材を引き立たせつつも深みのある米飴の甘みがイタリア食材と見事調和し、シチリアの豊かで多様な文化を感じさせるような「ミカドオコシ」
新しくもどこか懐かしい口福おこしになりました。

食事を終えて帰り道、今日の楽しかったことを語らいながら、ふと久しぶりに「おこし」が食べたくなりましたら幸いです。

 

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砂糖傳増尾商店の「御門米飴」について:
https://www.satouden.com/items/index.html

 

 

奈良茶飯をリゾットに「ほうじ茶と炒り大豆のリゾット~Chameshi~」

プッタネスカは最も好きなパスタ料理のひとつですが、奈良茶飯を食べたとき「奈良のプッタネスカだ!」と感激しました。
双方の味の構成に共通する概念を見出したのです。

言うまでもありませんが、奈良茶飯と現在の通称であるプッタネスカの語源との間に共通点はございません。
ちなみに1950年代までの旧称は「パスタ・アッラ・マリナーラ・コン・オリーヴェ・エ・カッペリ」です。

奈良茶飯のほうじ茶、炒り大豆、米だけという最小限のシンプルな食材から生まれるやさしく豊かで滋味深い味わいに、プッタネスカと共通するセンスを感じたのです。

その感動から、奈良の伝統的食文化をイタリア料理に昇華させたリゾット
「ほうじ茶と炒り大豆のリゾット~Chameshi~」は生まれました。

ほうじ茶と炒り大豆のリゾット~Chameshi~

 

イタリア料理のセンスの良さにはいつも驚かされ、新たな視点が広がります。
ごく少量のアンチョビ、ケッパー、オリーブ、トマトで作るシンプルなスパゲティ「プッタネスカ」がどうしてあれほど豊かな味わいになるのか。

20代、あるお店で食べたプッタネスカの味わいに驚愕しました。
それまでプッタネスカと思っていたものとは全く異なるものでした。
最小限の具材の絶妙な調和による、やさしく豊かなおいしさは奇跡としか思えませんでした。
イタリア料理の奥深さとセンスに感動したことを覚えています。

 

「イタリア料理の真髄を変えるような料理は絶対に作らない」
イタリア料理に携わって以来、一貫して変わらない私の料理の根幹です。

 

イタリア料理法を変えるためではなく、よりおいしくオリジナルなイタリア料理を作るためにさまざまな食材を試します。

私にとってオリジナルとは、見たこともない珍しいものという意味ではありません。
既にあるものから新たな魅力を見出し料理として具現化することです。
その中で、奈良や各地の伝統的な食材、日本の食文化に新たな価値を見出すようになりました。

「自然の中にすべての答えがある。
自然に導かれるままに和合から生まれた料理は、時代を超えすべての境界を越えて、心地よい調和を奏でる」
このことわりに叶う料理が、私のオリジナルなイタリア料理です。

 

老若男女国籍問わず提供した瞬間、お皿の上から瞬く間に消える
「ほうじ茶と炒り大豆のリゾット~Chameshi~」

理屈も知識も必要ない、多くの人がただ「おいしい」と笑顔になったときが最高に幸せです。
これからもそのような「奈良のイタリア料理」を作り出したいと思います。

 

<使用食材>
大豆(天理市) 南桧垣営農組合
焙じ茶(奈良市) 田村青芳園茶舗
米「ハツシモ」(奈良市)やまむら農園
木桶醸造醬油「木まじめ」(奈良市)イゲタ醬油
パルミジャーノ・レッジャーノ24ヶ月熟成(フィオレンツォ・ジョリート熟成)フロマージュ ドゥ ミテス

 

監修:山嵜正樹
文 :山嵜愛子

 

 

ABC朝日放送『ワンディッシュ~「おいしい」の向こう側~』で奈良が紹介されました

2025年1月の4週にわたり、ABC朝日放送テレビ『ワンディッシュ~「おいしい」の向こう側~』で奈良が紹介されました!
テーマは「寒玉キャベツ」

この番組はレストランで提供されるおいしい一皿ができるまでの過程を、4週間に渡りさかのぼって紹介する番組です。

1月5日に放送された1週目の「寒玉キャベツ」を使ったおいしい一皿は、当店自慢の前菜「ナポリ風キャベツの蒸し煮」!

ナポリ風キャベツの蒸し煮

ナポリ風キャベツの蒸し煮

メニューの詳細はこちらから。
https://borgokonishi.com/blog/?p=2769

このひとさらが生まれたルーツをたどる2週目は、おいしいを探し届ける販売店
「奈良のうまいものプラザ」堂土健一店長が登場されました!

奈良のうまいものプラザ

いつもお世話になっており、お客様にもおすすめしているお店です!

撮影当日テレビ局の方からいきなり「使っている奈良の調味料の画像を撮らせてください」と言われ食材ならまだしも”調味料”はそんなにないかも、、、と思いきや、並べてみたら結構ありました。

奈良県産調味料

料理に使用している奈良県産調味料

全てがうまいものプラザで販売されているわけではありませんが、このお店の品々からヒントを得て奈良の食材セレクトが広がりました。

3週目は、いよいよ「おいしい」の生産者、五條市益田農園 益田吉仁さんが出演されました。
益田農園の寒玉キャベツに出会わなければ、キャベツが主役の前菜は生まれませんでした。

2023年夏に益田農園を訪れた際、大海原を豪快に渡っていく船長のごとき益田さんの頼もしく太陽のような笑顔を見た瞬間に、大自然の中で野菜が安心して育つから生命力あふれて美味しいのか、と納得しました。

益田農園キャベツ畑

益田農園キャベツ畑

おいしさの秘密は?と伺うと「何も特別なことはしてないけど、おいしいならよかったです」と私たちより嬉しそう。
獣害についても「大切な家族がいるからお互い真剣勝負です」と深刻さが伝わる反面、同士のようにお話をされたことが印象的でした。

標高500mの広大な畑で厳しい自然を受け入れる覚悟をきめ、対等に正直にまっすぐ向き合う益田さんを自然も受け入れているような、まさに日本の原風景を見た思いがしました。

益田印落花生一本分収穫の図

益田印落花生一本分収穫の図

そして4週目、最後に辿り着いたのは、なんと和歌山県和歌山市のお米に関する総合メーカー「東洋ライス株式会社」

当店の寒玉キャベツの前菜「ナポリ風キャベツの蒸し煮」から、「米のとぎ汁」について考えることになるとは思ってもいませんでした。

米のとぎ汁は人口増加に伴い水質汚染の原因の一つになっていて、20世紀初頭にはすでに問題となり研究が始まっていたようです。
1967年に日本の人口は1億人を超えました。

東洋ライス株式会社は、1961年(昭和36年)精米後のお米に石が混ざらない精米機を開発、製作所設立の発表と共に日本初の近代精米工場としてスタートを切りました。
高度経済成長期突入、人口増加と大量生産、大量消費、外食産業、中でもレストランチェーンの発展が一気に起こった時代です。

その後、精米機の精度を高めていく内に気付いた、米のとぎ汁による環境汚染。
とぎ汁に含まれる粘性のある「肌ヌカ」の浄化が難しいことが原因です。

1991年、東洋ライスから洗わず炊ける「BG無洗米」が発表されました。白米の表面にある「肌ヌカ」の粘着性を逆に利用して糠で糠を取った無洗米です。

米のおいしい部分を残し糠だけで取るため、廃棄物は「糠」のみ。
その糠を「米の精」として商品化、肥料や飼料に用いています。

山の精 益田さんが畑の空気を感じながら時に「米の精」の力を借り、雪に凍る土の力が合わさって育つ五條の「寒玉キャベツ」
凍えそうな自分の身を守ることで糖度を蓄え、ぎゅっと締まった一枚一枚のキャベツの葉から、私たちは命をいただいているのだなと改めて思いました。

「ナポリ風キャベツの蒸し煮」はキャベツ自身の水分のみで蒸し味を凝縮していきます。野菜を捨てるところがない南イタリアの料理法で、1時間蒸され3分の1ほどの量になる頃にはその野菜の本質が現れます。

メイン料理の付け合わせだったキャベツの蒸し煮が、益田さんの寒玉キャベツで作った時、付け合わせのレベルではない、主役を張れると確信したあの感動を、これからも毎年皆さまに料理を通じてお伝えしたいと思います。

おいしいは人をつなげる!おいしいは明るい未来をつくる!

 

奈良のうまいものプラザ公式HP: https://narano-umaimonoplaza.com/
五條市益田農園公式HP: https://nagoyaka-masuda.jp/
東洋ライス公式HP: https://www.toyo-rice.jp/

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レストランで「おいしい!」と感じたその一皿から見える目の前のシェフは、氷山の一角。
そのお料理ができるまで沢山のプロフェッショナルの連携プレーが繰り広げられています。料理人はその思いを一皿に結集し、来店された全ての皆さまに間違いなく「おいしい」をお渡ししてやっと任務を終えます。

一皿の「おいしい」の向こう側を辿っていくと、4週間後思いもかけない「おいしい」の秘密に辿り着きます。
その着眼点!!あるようでなかったおもしろ料理番組です。

しばらくの間、TVer(ティーバー)でもご覧いただけます。
奈良発「ナポリ風キャベツの蒸し煮」の一皿ができるまで、そして、各地のおいしいの物語の数々!!是非ご覧ください!!

公式HP:ワンディッシュ~「おいしい」の向こう側~

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視聴者の皆さまに、味覚、香り、食感の「おいしい」とその向こう側を、視覚と聴覚で伝えるために腕を振るう若きクリエイターチームと、方々から集まった関係者の皆さま、素敵な作品に参加させていただき、ほんとうにありがとうございました。

番組を企画された放送作家の湯川真理子さんと、古都華に全力投球!イチゴ農家 田中農園代表 田中由美さんが放映ひと足お先に「ナポリ風キャベツの蒸し煮」を体験しにご来店くださいました。

番組を通して素敵なご縁をいただきました。ありがとうございました。
心より感謝申し上げます。

写真右から、湯川真理子さん、山嵜、田中由美さん

写真右から、湯川真理子さん、山嵜、田中由美さん

ワンディッシュ カメラ設置

ワンディッシュ カメラ設置

ワンディッシュ 番組関係者の皆さま

ワンディッシュ 番組関係者の皆さま

ワンディッシュ 調理撮影

ワンディッシュ 夜まで続く撮影

ワンディッシュ 夜まで続く撮影

ワンディッシュ 若きディレクター率いるクリエイターチーム

ワンディッシュ 若きディレクター率いるクリエイターチーム

前菜◆宇陀産黒毛和牛のモチェッタ 吉野ニッケイとロゼバルサミコの香り◆

モチェッタは、アルプス山脈の山中に位置するヴァッレ・ダオスタ州のサラミです。
羊飼いたちが仕留めたスタンベッコやカモシカの肉を赤ワイン、塩、ハーブでマリネして干した、大変保存性の高い山のサラミです。
スタンベッコはアイベックスとも呼ばれ、アニメ「ハイジ」に出てくる大きな角のヤギ科の動物です。
ちなみに人懐っこいそうです・・・

ボルゴ・コニシの自家製モチェッタは、宇陀産の黒毛和牛もも肉を使いました。
ももの中でもきめ細かく柔らかいが味わいのしっかりした赤身を、赤ワイン、ハーブ、スパイス、大和橘と共にマリネして作りました。

自家製モチェッタとロゼバルサミコ

自家製モチェッタとロゼバルサミコ

噛むとハーブやスパイスに赤ワインが赤い果実の香りを添え、複雑かつ芳醇な香りが口中に広がります。そして、浸透したほのかな塩味が熟成した旨みを引出し、お肉のしっとりとした舌触りがなんとも美味です。

ヴァッレ・ダオスタ州は、イタリア北西部アルプス山脈の山中に位置し、西はフランス、北はスイス、東南はピエモンテ州と接しています。
イタリアに5つある特別自治州のひとつで、イタリア語と共にフランス語が公用語です。

ヴァッレ・ダオスタ州は標高が高く雪に閉ざされた地域で、ブドウが育たない土地にはリンゴを植えてシードルを作っていることから、モチェッタにリンゴを添えてみると香り、味わい共に素晴らしい相性を見せました。
数滴添えた5年熟成のロゼバルサミコが、熟成したお肉とフレッシュなリンゴをそっとつなぎ絶妙なアクセントで全体を華やかにします。
更に日本のシナモン「吉野ニッケイ」で山の香りを添えました。

イタリアの山の保存食と奈良の森の恵みを融合させた、ボルゴ・コニシのアミューズ、是非ご賞味ください。

宇陀産黒毛和牛のモチェッタ 吉野ニッケイとロゼバルサミコの香り

宇陀産黒毛和牛のモチェッタ 吉野ニッケイとロゼバルサミコの香り

 

名付けて”平城宮跡木簡食材”「しおかつお」がパスタ料理になりました

海のない奈良県でも新鮮な魚介が簡単に入手できる現代、敢えて鮮魚を使わない、奈良ならではのイタリア魚介料理ができないかと思っていました。

奈良時代、全国各地から平城京へ送られてきた税としての食材や調理法が、平城宮跡から多数出土した木簡により少しずつ明らかになってきています。

それらの食材に魅力を感じ、名付けて「平城宮跡木簡食材」と呼ぶことにします。

最初に作った「大和まなの須須保利漬け」

お次は現代に続く「伝統保存食」に着目し生まれたパスタ料理「潮かつおとカリフラワーのリングイネ」です。

潮かつおとカリフラワーのリングイネ


潮かつおとカリフラワーのリングイネ

「地下の正倉院」ともいわれる平城宮跡から出土した木簡の中に、天平5年(733年)に「堅魚」(干したカツオ)を朝廷に送ったという記述が見られる木簡があります。これが最も古い「しおかつお」の文献です。当時のしおかつおは税として朝廷に納める品でした。

現在しおかつおは「潮かつお」として静岡県西伊豆田子地区の郷土食として残っています。現在その生産者はわずか3軒のみとなりました。
鰹節の原型ともいわれ最古の保存方法である「塩蔵」で作られています。

潮かつおと鰹色利

潮かつおと鰹色利

またの名を「正月魚」、縁起の良い食べ物としてお正月の三が日に神棚に供えられた後、家族皆に振舞われた風習があります。

そして年末年始に旬を迎える野菜がカリフラワーです。
イタリアのナポリ地方ではカリフラワーのサラダがクリスマスから年末年始に欠かせないお料理ということで、二者の融合からハーモニーが生まれました!

古式製法の「塩蔵」の熟成した旨みがそのままソースの味わいを作り、カリフラワーの優しい甘みが際立ちます。
「鰹色利 かつおいろり」を含ませたパン粉ととリングイネの絶妙な食感がソースの旨みと絡まれば、それは至福のとき。

南イタリアと日本の食文化の融合による「ハーモニー 調和」を体現した、年末年始の特別な一皿です。

 

 

2024年度『ITALIAN WEEK 100』ありがとうございました。

2回目の開催となりました、全国100のイタリア料理店による『ITALIAN WEEK 100 ”発酵の可能性”』

ご来店いただいた皆さま、投票してくださった皆さま、ありがとうございました。

再現した「須須保利漬け」と自作の木簡

再現した「須須保利漬け」と自作の木簡

参加店として取り組んだことで、発酵をより理解できました。
再現した奈良時代のぬか漬けの元祖「須須保利漬け」や木桶醸造調味料が、難なくイタリア料理と融合したことが思わぬ発見でした。

特に「木桶醸造醬油のリゾット」は国内外老若男女問わず好評で、皆さま無意識のうちにソースを残さずパンで拭っていただき、お住まいの地域やお気に入りの醤油蔵が木桶仕込み醤油を作っていないか確認されていました。
魅惑的な美味しさ、当店で次なる新たな木桶醸造醤油メニューも完成しています。

以下、オーナーシェフ 山嵜正樹よりお礼申し上げます。

 

発酵について深く学ぶ機会をいただきありがとうございました。

多くの発見があった中で、実際に醤油を自分で作ったことで見えてきたことがあります。

人類が大切にしてきた発酵文化は菌との共存共栄の歴史の積み重ねです。
目に見えない未知の菌のおかげで食べられないものが食べられる状態になった手探りの時代から、人の英知がそれを助けコントロールし共に栄える時代を経て現代、合理性を求めるあまりその素晴らしさを忘れかけていました。

各地の木桶醸造調味料とワークショップで作った自作の醤油からは、いきいきとした華やかな香りが立ち昇り、そこには大豆をこんなにも美味しく作ってくれて、今も元気に生きている菌の存在をまざまざと感じました。
この、ずっと昔からそこにあった最も身近な生命力みなぎる発酵を、イタリア料理から考えることで新たな視点を得ることができました。

人類の長い歴史文化や環境により培われた英知を基に、新たな生命力あふれる発酵を発見する楽しみや希望を見出し、実際にイタリア料理として完成できたことで、日本の発酵文化の更なる可能性を感じています。

 

リストランテ ボルゴ・コニシ
オーナーシェフ 山嵜正樹

 

ITALIAN WEEK 100関係者の皆さま、当店を支えてくださる全ての生産者と関連各社の皆さま、奈良県の農畜産品や食文化、発酵について教えていただいた各専門分野の皆さまに、この場を借りて心より感謝申し上げます。

☆☆☆SPECIAL THANKS☆☆☆

◆発酵についてお話を伺った方◆
刀祢米穀店(奈良小西さくら通り商店街)
LAMP BAR 金子道人さん(奈良小西さくら通り商店街)
Cauda(奈良市カフェ)
奈良先端科学技術大学院大学微生物インタラクション研究室 渡辺准教授

◆参考文献◆
「古代の食を再現する―みえてきた食事と生活習慣病」三舟 隆之、馬場 基 編集(吉川弘文館)
「古くて新しい 日本の伝統食品」陸田 幸枝 著(柴田書店)
「ビジネスエリートが知っている 教養としての発酵」村井 裕一郎 著(あさ出版)

◆参考サイト◆

農林水産省HP「日本の食文化に欠かせない”発酵”の世界」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2211/spe1_01.html#main_content

アマノフーズ【やさしい発酵図鑑vol.13】漬物の種類と違いを解説!https://www.amanofoods.jp/regular/mano/22724/

日本食糧新聞「全漬物協組連、PR事業の一環として古代の漬物「須須保理(利)」を再現」
https://news.nissyoku.co.jp/news/nss-7607-0049

漬物ポータルサイト「漬物の歴史」
https://www.tsukemono-japan.org/about_tsukemono/history/history.pdf

 

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毎日の小さな選択が未来を創造する
リストランテ ボルゴ・コニシは
心と体が豊かになる未来に向かって選択を続けます

2000年前から変わらない風景の前で山の辺の道沿いにある大和橘畑を見下ろして

2000年前から変わらない風景の前で山の辺の道沿いにある大和橘畑を見下ろして

【IW100/2024】セコンドピアット「宇陀牧場井上牛のタリアータ 大和のフレーバーを添えて」」

【IW100/2024 発酵の可能性】セコンドピアット「宇陀牧場井上牛のタリアータ 大和のフレーバーを添えて」について詳細を公開しました。

宇陀牧場井上牛のタリアータ 大和のフレーバーを添えて

宇陀牧場井上牛のタリアータ 大和のフレーバーを添えて

発酵の主役は
奈良時代の古代食「須須保利漬け」
更に3つのフレーバーが奈良のテロワールを象徴します。
熟成香が深みを与える「自家製 抜き粕漬け パルミジャーノ・レッジャーノ24ヶ月熟成」
炭火焼の香りと相乗しつつ鮮烈な果実がアクセントとなる「烏梅(うばい)」
爽やかな香り奈良のハーブ「大和トウキ」
平城宮跡出土木簡から読み解かれる古代の国際色豊かな食文化の再現から、発酵により時空を超えた奈良を感じていただけるタリアータになりました。
平城宮跡出土木簡には、奈良時代に平城京へ送られてきた日本全国各地の食材や食文化が記されています。
イタリア料理を通じたフードツーリズムをコンセプトに行われる「ITALIAN WEEK 100」で、各地方の「発酵の可能性」を是非体験してください!

お料理の詳細はnoteにて公開しております。
セコンドピアット「宇陀牧場井上牛のタリアータ 大和のフレーバーを添えて」

 

関連記事
【IW100/2024】奈良の「発酵の可能性」を考える
前菜「椎茸のフリット 奈良の森林の香り
プリモピアット「木桶醸造醬油のリゾット」

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11月の1ヶ月間全国100店のイタリア料理店で、100人のシェフが100通りの「発酵の可能性」を料理にして、皆さまのお越しをお待ちしております!

お近くのレストラン、また旅先のレストランを訪れてみてください。

日本各地の☆風土&フード☆を「イタリア料理の今」を通して、是非体験してください!!

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ITALIAN WEEK 100 公式HP
https://italianweek100.com/

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【IW100/2024】プリモピアット「木桶醸造醬油のリゾット」

【IW100/2024 発酵の可能性】プリモピアット「木桶醸造醬油のリゾット」について詳細を公開しました。

木桶醸造醤油のリゾット

木桶醸造醤油のリゾット

テーマは「馳走」と「伝統文化ネットワーク」です。
主役の発酵食品「木桶醸造調味料」は
香川県 ヤマロク醤油「鶴醤」(つるびしお)
奈良県 イゲタ醤油井上本店「木桶仕込み醤油 木まじめ」
愛知県 日東醸造「足助仕込三河しろたまり」
和歌山県 丸正酢醸造元「木桶こもかぶり仕込 那智黒米寿」
日本の伝統発酵調味料が軽やかに国境を越え「醤油はイタリア料理になり得ない」を根底から覆すリゾットです。
是非、体験してください!
※「木桶醸造醤油のリゾット」は、11/1~30までIW100の期間中、ランチ、ディナーとも全てのコース料理のプリモピアットとして提供いたします。

お料理の詳細はnoteにて公開しております。
プリモピアット「木桶醸造醬油のリゾット」

関連記
【IW100/2024】奈良の「発酵の可能性」を考える
前菜「椎茸のフリット 奈良の森林の香り」
セコンドピアット「宇陀牧場井上牛のタリアータ 大和のフレーバーを添えて」

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11月の1ヶ月間全国100店のイタリア料理店で、100人のシェフが100通りの「発酵の可能性」を料理にして、皆さまのお越しをお待ちしております!

お近くのレストラン、また旅先のレストランを訪れてみてください。

日本各地の☆風土&フード☆を「イタリア料理の今」を通して、是非体験してください!!

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【IW100/2024】前菜「椎茸のフリット 奈良の森林の香り」

【IW100/2024 発酵の可能性】前菜「椎茸のフリット 奈良の森林の香り」について詳細を公開しました。

椎茸のフリット 奈良の森林の香り

発酵の主役は
「大和大鉄砲大豆」のおからと豆乳(三木食品)
「葛乳酸菌」(吉野本葛天極堂)

それ以来、頭の片隅にずっとあった
「大和大鉄砲大豆のおからをなんとかしたい!」
「葛乳酸菌をどうにかしたい!」何度も挑戦しては挫折を繰り返してきました。

そして今回のIW100の難問「発酵の可能性」がこの長年の宿題を解いてくれたのです!!

三木食品 近藤さん、鎌田ファーム 鎌田さん、天極堂さん、大変長らくお待たせいたしました。

このような形で広く皆さまに知っていただく機会を与えていただいた、素晴らしい前代未聞のイベント「ITALIAN WEEK 100」ディレクター 池田さんに心より感謝申し上げます。

お料理の詳細はnoteにて公開しております。
前菜「椎茸のフリット 奈良の森林の香り」

関連記事
【IW100/2024】奈良の「発酵の可能性」を考える
プリモピアット「木桶醸造醬油のリゾット」
セコンドピアット「宇陀牧場井上牛のタリアータ 大和のフレーバーを添えて」

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11月の1ヶ月間全国100店のイタリア料理店で、100人のシェフが100通りの「発酵の可能性」を料理にして、皆さまのお越しをお待ちしております!

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2024年度 IW100『発酵の可能性』メニュー発表☆

2024年度 ITALIAN WEEK 100
2回目となる今年のテーマは「発酵の可能性」
開催は11/1~30の1ヶ月!!
全国100店のイタリア料理店で100人のシェフが考える「発酵の可能性」が特別メニューとして一斉に振舞われる夢の1ヶ月です♪

今年はどのお店にお出かけしますか?
イタリア料理を食べ歩き、体の内側からキレイになろう!

さて、シェフにとっては悩ましいテーマでした。
発酵はまだしも「可能性」が・・・。

いつも通り真正面からのスタイルで、向き合えば向き合うほど、先人の英知と微生物の神秘が織りなす太古からの自然の営みに思わず感謝する、素晴らしいテーマでした。
そして3品も出品するに至りました。奈良の発酵が凄すぎたのです。

再現した「須須保利漬け」と自作の木簡

再現した「須須保利漬け」と自作の木簡

<発酵の可能性に対するシェフ山嵜正樹の考え>

発酵とは何か。

奈良時代の食文化まで辿ってみると、日本の人々が大切にしてきたものが見えてきました。

奈良という長い歴史がある土地で伝承されてきた文化の内のひとつである発酵から「木」に辿り着きました。

日本の人々が敬い大切にしてきた山と木。
奈良の食材が発酵を介することで生まれたイタリア料理との親和性は「世界は海でつながっている」と考えられていた古代シルクロードがローマまでつながっていたことを、そして歴史を経た現代、再び世界がつながっていることを教えてくれます。

発酵は時代と共に発展し伝承されながら、自然と人との共生を司ってきました。
無限の可能性を秘めた古びることのない料理法です。

 

<発酵の可能性 メニューについての概要>

奈良の歴史や文化から「発酵の可能性」を表現するにあたり、原始的で科学的要素が介入し辛い「木」をイメージして自然の完全性を表した3品の料理を用意しました。

前菜「椎茸のフリット 奈良の森林の香り」

椎茸のフリット 奈良の森林の香り

奈良の山道を歩くという体験型フードツーリズムを、酒造りの発酵工程からヒントを得て、奈良特有酵母を使った発酵により表現しました。

山の水を蓄えた椎茸に、麴と吉野葛の酵母で乳酸発酵させた奈良在来大豆のおからを詰めてフリットにしました。
サクッとした食感と椎茸から溢れる山の香りは、落ち葉を踏みしめ山道を歩く感覚を想起させます。

プリモピアット「木桶醸造醤油のリゾット」

木桶醸造醤油のリゾット

木桶醸造醤油のリゾット

発酵により国境を越えたリゾットです。

吉野杉の木桶を使う古式醸造醤油により「醤油とイタリア料理の相性は良くない」という固定観念を完全に覆しました。
また、先人が森から得た英知の結晶、つまり吉野杉の植林から始まり木桶づくり、醸造までの「伝統文化ネットワーク」の大切さを表しました。

メイン料理「宇陀牧場井上牛のタリアータ

宇陀牧場井上牛のタリアータ 大和のフレーバーを添えて

宇陀牧場井上牛のタリアータ 大和のフレーバーを添えて

発酵により時空を超えたタリアータです。

平城宮跡から出土した木簡から読み解かれる古代の国際色豊かな食文化から再現した「須須保利漬」に、奈良漬け、大和トウキ、烏梅の3つのフレーバーを加えることでイタリア料理との親和性が生まれました。
太古の記憶を呼び覚ます、大和のフレーバーをまとった新感覚のタリアータです。

************

是非、お近くや旅先で体験してください♪♪♪
皆さまのご来店お待ちしております。

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ボルゴ・コニシ公開ページはこちら
https://italianweek100.com/ristorante-borgo-konishi/

発酵についてより詳しい内容はこちら
 
料理の詳細はこちら
 
 
 

烏梅、最後の生産者 月ヶ瀬梅古庵さんを訪ねました

紅工房前にて中西さんとシェフ山嵜

前回ご紹介した「奈良の香りと共に味わうタリアータ」に添える奈良のフレーバーの一つとして、当店では欠かせない存在となった「烏梅(うばい)」
烏梅は煤をまぶし燻製にした干し梅です。漢方として煎じて飲む他、紅染めの色素定着剤として使われています。
この素晴らしい伝統食を最後の1軒になっても作り続けている方が、奈良市月ヶ瀬にいます。
伝統製法を守り続ける月ヶ瀬梅古庵10代目中西謙介さんを訪ねました。

~(中略)~

訪問し烏梅から多くを学びました。

烏梅がなくなれば紅餅は不要となり、紅染めの技術を継承する染色家が途絶える、ウメスダレもクヌギも、消滅の連鎖が起こります。
一つの伝統が欠けると思ってもみない多くの技がこの世から消滅することを、昨今特に、奈良の歴史や文化、食文化を通してつくづく気付かされます。

職人さんたちの思いの連鎖でなんとか繋いでいる日本の伝統を、イタリア料理店として、日本人である私たちにできることは何か。

シェフ山嵜は、こう言います。

「料理人の私にできることは、素材の新たな一面をイタリア料理に融合させることで、その魅力を掘り起こし多くの皆さまに知り体験していただくことだと思います。

これまでの料理人生の中で、奈良に身を置き、奈良の土地の恵みを受け、イタリア料理の本質を模索してきました。

季節を大切にし日々様子が変わる食材に深く向き合う、自然と健康がつながっているマンマから生まれたイタリア料理は、日本の食文化に通ずるものがあると感じます。

しかし、恥ずかしながら私を含め、現代日本人は日本の郷土食を忘れ、気付かない内に失いつつあります。

日本はじまりの地、奈良。
国風文化が花開く以前、他国と交易のあった奈良時代の食文化は、特にイタリア料理との親和性が高いことに気づきました。

実際、様々なお料理として食べていただくと予想以上に、奈良や日本の方のほうが海外からのお客様以上に喜んでくださいます。
大変嬉しい瞬間です。

あたりまえだと思っていた日本の食材の新たな一面を見て味わい、見直すきっかけになったり、消えつつあって知らなかった伝統食を新しい、美味しいと感じていただけることを、自分の料理を通して目の当たりにすると、まだ間に合うと希望がもてます。

奈良各地の伝統食が辿ってきた歴史背景や、日本の固有財産としての魅力を、日本人である私が噛み砕き、伝統的なイタリア料理を基に新たな視点から表現することで、元来の日本らしい豊かな暮らしを提案できるのでは、と思っています。」

伝統食は、日本全国津々浦々にある日本固有の宝だと思います。
見直してみる時が来ているのだと感じます。

~note本文より~

烏梅と紅染

烏梅にご興味のある方は、
note「烏梅、最後の生産者 月ヶ瀬梅古庵さんを訪ねました」全文をご覧ください。
https://note.com/borgokonishi/n/n18eda70c4609

烏梅が月ヶ瀬に広まった歴史や、中西さんが最後の一軒になっても烏梅を作り続ける理由、そして烏梅の作り方やお買い物情報まで盛りだくさんの内容です。

烏梅を知り、購入したり体験したり、月ヶ瀬に行ってみたり、みなさまの楽しいくらしのひとつに加われば幸いです。

続編「月ヶ瀬梅林と梅畑と梅食品」もよろしければご覧ください。
https://note.com/borgokonishi/n/n9f423c0323a5

梅古庵から見下ろす名張川

梅古庵から見下ろす名張川

前菜◆今西本店純正奈良漬けのリゾット 大和茶のスープ茶粥仕立て ~Cyagayu~◆

「大和の朝は茶粥ではじまる」と言われるように奈良の伝統的な朝食、茶粥。
しかし実際に茶粥で育ったという方には、ほとんどお目にかかれない。
ご近所の80代の方々も経験がないという。
我が家の朝食に茶粥が登場したのも2020年からだ。

昨年誕生した、リゾットと茶粥を融合させた当店のシグニチャーメニューの一つ、”Chagayu”シリーズ。老若男女、海外からのお客様まで大変好評いただいている。
コースで提供するようになってから、幼少のころ茶粥を食べたという方にお目にかかれるようになり体験談を伺えることは大変嬉しいことだ。

中でも1200年以上続く東大寺修二会の練行衆の献立にのぼる茶粥と、ルーツが平城京にまでさかのぼる奈良漬けは、Chagayuの代表メニューといえる。

『今西本店純正奈良漬けのリゾット 大和茶のスープ茶粥仕立て ~Cyagayu~』についてシェフに話を聞いた。

今西本店純正奈良漬けのリゾット 大和茶のスープ茶粥仕立て~Chagayu~

今西本店純正奈良漬けのリゾット 大和茶のスープ茶粥仕立て~Chagayu~

<シェフ山嵜のCyagayuへの想い>
茶粥とリゾットを組み合わせたきっかけは、大和丸なすです。

毎年それぞれの食材の旬が巡ってくると、新たなメニューの可能性を探ります。
中でも10年以上お付き合いのある大和丸なすは大好きな奈良の農産物の一つです。2023年は3品、デザートまで誕生しました。そして大和丸なすは『旬を楽しむスタジオーネ コース』で奈良の食材にスポットを当てた季節限定のコース料理誕生のきっかけにもなりました。

特に『<炭火焼>大和丸なすのリゾット 大和茶のスープ茶粥仕立て』は、日本ならではの焼きナス、奈良ならではの大和茶の茶粥、イタリア料理のリゾットやミネストローネが渾然一体となった独創的なイタリア料理で、自分でも初めての発見に我ながら感激しました。

初めて参加した全国イタリア料理コンクール「米料理」の課題に王道のリゾットで出品し、イタリア人プロの料理人たちの審査の元優勝したことで得た自信と、老舗のお茶屋『田村青芳園茶舗』の店主自ら丁寧に焙じた香り高い大和茶と教えていただいた茶粥があったからこそ辿り着きました。

なぜか腑に落ちる味わいの不思議と、今までにない体験に嬉しくなり、奈良の茶粥について改めてさまざまな文献から学びました。

原型は東大寺修二会の練行衆のお夜食“げちゃ、ごぼう”にありました。
炭火で10時間煮出してまろやかにした番茶に米を入れ、炊けたら半量を味噌漉しのようなものですくっておひつに入れ蒸らします。これが“げちゃ”(あげちゃ)。残りはそのまま重湯になるまで炊いていきます。“ごぼう”(ごぼごぼ炊く音)です。

行を終えた練行衆が参籠宿所に戻ってくる時刻は深夜で日によって異なります。童子(練行衆の世話役)がお昼ごろから準備に取りかかり、練行衆の下堂時刻に合わせて炊き上げます。練行衆がそれぞれの体調に合わせてげちゃとごぼうの割合を調節できるように、また厳しい行に加え深夜就寝前であることから消化吸収への心配りが素晴らしい献立です。野菜の煮物やお漬物と共に食されます。

日本では805年に最澄と空海が茶の木の種を持ち帰り、奈良では806年に空海の高弟が宇陀市に種を蒔いたと伝承されています。
そして民間に広まるのは江戸時代、神職から奈良市小西町の井戸屋弥十郎に伝わり、旅人が1657年「奈良茶飯」として江戸で流行させ外食文化の始まりとなりました。

近代になり奈良の山間部の農家では「茶粥に始まり茶粥に終わる」というほど郷土食として定着します。毎日の茶粥に里芋やかき餅、さつまいも、奈良漬けなどお漬物を添え、特別な日にはお餅、と飽きないよう家族を喜ばせていました。マンマのパスタと同じです。このことから茶粥リゾットの組み合わせが広がりました。

やはり最も驚き感激したことは、当店の所在地である小西町が民間における茶粥発祥の地であり、外食文化のはじまりであることです。ボルゴ・コニシ(小西町)を名乗るリストランテとして天命を感じました。

現在、山間部には茶粥文化が残っていますがごくわずかです。
奈良の食文化を残すためにイタリア料理でできることは何かと考えたとき、茶粥という言葉を残すだけでもつなぐことができると考えました。
もはや古典に感じるものも工夫と洗練により伝承すれば、いずれ時が巡って歴史を遡る人が現れ復活し革新されて再び伝承されていく、そして伝統になると思います。

提供を始めてみると奈良出身の奥様が「そういえば幼少期に食べていた」と思い出されて、ご主人様が「初耳だ!」とお互いの、まだ知らないことがあったのかと思い出話に花が咲く、素敵な場面に遭遇しました。
また、社会人になられたばかりの若い女性が茶粥で育ち夕飯でも食べたいくらい大好きで、つい数年前まで日本全国の朝食は茶粥だと思っていた、と大変嬉しく頼もしいお話をしてくださいました。

こうしてリストランテ ボルゴ・コニシでは、大和丸なすをはじめ、大和伝統野菜の味間いも、宇陀金ごぼう、かき餅など奈良の季節を盛り込んだ定番の前菜となりました。
中でも茶粥の原型となった ”げちゃごぼう” は重要です。

毎年3月1日から14日まで東大寺二月堂で行われる修二会は、天平勝宝4年(752)に始まり、一度も途切れることなく令和6年(2024)の今年1273回目を迎えます。
この時期には料理人として世界平和への祈りを込めて、江戸時代末期創業の今西本店純正奈良漬けを添えてご用意いたします。

奈良で長く過ごしてきたからこそ生まれたリゾットと茶粥の共演『今西本店純正奈良漬けのリゾット 大和茶のスープ茶粥仕立て~Chagayu~』を是非ご賞味いただき、奈良の思い出に加えていただけますと幸いです。

今西本店純正奈良漬けのリゾット 大和茶のスープ茶粥仕立て~Chagayu~

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<参考文献>
『聞き書 奈良の食事(日本の食生活全集㉙)』農山漁村文化協会 出版
『茶粥・茶飯・奈良茶碗 全国に伝播した「奈良茶」の秘密』鹿谷 勲 著 淡交社

<参考サイト>
『東大寺ホームページ』修二会
『奈良県ホームページ』令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」
『奈良の食文化研究会』
出会い大和の味 平成17年3月(70号)
           出会い大和の味 平成22年10月(133号)

前菜◆ナポリ風キャベツの蒸し煮◆

待ってました!五條市 益田農園の寒玉キャベツの季節が到来しました。
葉がぎゅぎゅっと詰まった益田さんのキャベツ。とにかく大きい、重い!!
過酷な大自然と益田さんの共同作業による冬のごちそうに心より感謝申し上げます。

「自然からおいしくなーる、つまり霜が届くと作物は凍るものかと自ら糖分を蓄え、野菜らしさを発揮してきます」

この季節のキャベツは、サラダ向きの柔らかい春キャベツとは異なる寒玉キャベツで加熱調理に向きます。益田さんのおっしゃる通り、五條の高地で寒さに耐えたキャベツの甘みは火を通すと格別。

ボルゴ・コニシの冬の前菜『ナポリ風キャベツの蒸し煮』をご紹介いたします。

ナポリ風キャベツの蒸し煮

ナポリ風キャベツの蒸し煮

水を加えず野菜自身がもつ水分のみで蒸していきます。
野菜を敢えてくたくたになるまで火を入れることで隠れていたその野菜の魅力を引出す南イタリアの調理法です。歯ごたえを残して火入れする美味しさとは違った、野菜の真価が問われる料理法と言えるでしょう。

中でも益田さんの寒玉キャベツは、それを如実に表します。口中に広がるキャベツの香りと甘みは、時間をかけて成熟したことを物語っています。

奈良の牧歌的な風景が目の前に広がるよう。

大地の養分をたっぷり蓄えた益田さんのキャベツを鍋に入れ、香りづけ程度の少量のパンチェッタの皮とパルミジャーノレジャーノの皮を加えて1時間ほど蒸します。素材そのままの風味が逃げることなく凝縮されていきます。
冷ましてから、アクセントとして”森のバター”ともいわれるアボカドとごく少量のアンチョビを添えピスタチオを削りました。
益田さんのキャベツにを使ったこのお料理には、サルシッチャなどキャベツを上回る旨みは無用です。

寒さが和らぐような心温まる、冬ならではの大地の恵みです。

2023年10月の益田農園キャベツ畑

2023年10月の益田農園キャベツ畑

益田印落花生一本分収穫の図

益田印落花生収穫の図

ドルチェ◆パネトーネのチーズケーキ 自家製リコッタを添えて◆

新たな年の始まりを象徴するイタリア食文化を取り入れた、ボルゴ・コニシの定番ドルチェ『パネトーネのチーズケーキ 自家製リコッタを添えて』

パネトーネは年が明けると家庭では人気の朝食となり、レストランはドルチェとしてふるまうという食文化にならい生まれました。

パネトーネのチーズケーキ 自家製リコッタとジャグリー

パネトーネのチーズケーキ 自家製リコッタとジャグリー

パネトーネは、ロンバルディア州ミラノ発祥と言われているクリスマス銘菓。
大きなブリオッシュのようなパン菓子で、刻んだドライフルーツがたっぷり入っています。
特殊なパネトーネ種を用いて作られるため、時間をかけてしっとりと熟成していく長期発酵菓子パンです。

ドイツのシュトーレンのように12月初旬からクリスマスにかけて食べる風習がありますが、パン菓子ということもあり一人につき最低1個は当たり前、というくらいみんな大好きパネトーネ。

パネトーネが本来の味わいを越えて、さらに美味しくなるように考えました。
パネトーネとマスカルポーネを生地にして焼いたチーズケーキに、自家製リコッタクリームを挟みました。
仕上げに削ったインドの黒糖「ジャグリー」がフルーティに調和します。

毎年この季節が待ち遠しくなる、ボルゴ・コニシのオリジナル パネトーネドルチェです。

パネトーネのチーズケーキ 自家製リコッタとジャグリー

パネトーネのチーズケーキ 自家製リコッタとジャグリー

 

 

ドルチェ◆奈良のほうせき シキシキ・シュマーレン◆

ボルゴ・コニシの新たなドルチェ『奈良のほうせき シキシキ・シュマーレン』をご紹介します。

奈良のほうせき シキシキ・シュマーレン

奈良のほうせき シキシキ・シュマーレン

このインパクトのあるネーミング、ふざけているわけではない。紛れもない奈良の郷土食とイタリア食文化の融合を実現した、シェフ山嵜の真骨頂、いわば『奈良スローフードイタリアン』を表現したドルチェである。

『奈良スローフードイタリアン』とはシェフ山嵜の造語である。
奈良の郷土食を現代的イタリアンで表現することで楽しさやおいしさを伝え、奈良の歴史や文化に興味を持ってもらう架け橋となるイタリア料理の総称である。

スローフードは、1986年イタリアのカルロ・ペトリーニにより提唱された国際的社会運動で、ファストフードに対し唱えられた。その土地の伝統的な食文化や食材を見直す運動が現在160ヵ国以上で地道に続けられている。

シキシキ・シュマーレンは、古来小麦栽培が盛んな奈良の”ほうせき”「しきしき」とイタリアのトレンティーノ=アルトアディジェ自治州のカイザーシュマーレンを融合し、奈良の郷土食を現代的イタリアンドルチェで蘇らせた。
トレンティーノ=アルトアディジェ自治州は、第一次世界大戦までハプスブルク家領の一部であったオーストリア=ハンガリー帝国の統治下にあったため、現在も公用語は主にイタリア語とドイツ語である。

奈良の方言でおやつを表す「ほうせき」

奈良県桜井市は扇状地で、8世紀には朝廷が小麦や大麦の畑作を奨励したこともあり、昔から小麦の栽培が盛んで、水車で挽き料理やおやつに使用してきた。
万葉集には「麦」が登場し、三輪素麺は古来の名物である。
戦前には、小麦粉に水と砂糖を加え薄く焼いた「しきしき」というおやつがあった。
當麻の辺りでは最近まで提供していたお店があったようだ。

一方、オーストリアの有名なデザート「カイザーシュマーレン」は、北イタリアのトレンティーノ=アルトアディジェ自治州でも人気だ。オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世(19世紀後半から20世紀初頭のハプスブルク家のオーストリア皇帝)が好んだデザートという逸話から「皇帝(カイザー)が好んだ、引き裂いた(シュマーレン)パンケーキ」と呼ばれている。(なぜパンケーキが引き裂かれていたのかについては、皇后エリザベートの美貌に関わるのだが、ここでは割愛させていただく)

そして生まれた『奈良のほうせき シキシキ・シュマーレン』

小麦粉は奈良県産小麦ふくはるかを使用。中力粉であるため、薄力粉を使ったふわふわホットケーキでもなく、クレープのような薄いもちもちでもない、丁度中間の厚みで絶妙な食感に仕上がった。カイザーシュマーレンは強力粉を使用するためもっちりとした歯ごたえがある。
しきしきには黒糖が使われたことから、シェフお気に入りのインドの黒糖 ジャグリーで素朴ながら洗練された風味に仕上げ、レーズンを混ぜ込む伝統的なカイザーシュマーレンの要素を取り入れた。
オリーブオイルをベースに大和橘とヘーゼルナッツを加えたソースは、巻き込まれたパンケーキの間からキラキラと宝石のようにこぼれ落ちる。
シキシキ・シュマーレンにほんのり染み込ませたエスプレッソが香り、アクセントに忍ばせたザバイオーネソースが全体をまとめる。
大和橘の爽やかな酸味が良いアクセントとなる。

奈良で生まれたシキシキ・シュマーレンもカイザーのお気に召すことだろう。

 

参考文献:『聞き書 奈良の食事(日本の食生活全集㉙)』農山漁村文化協会 出版

 

 

 

2023年度『ITALIAN WEEK 100』ありがとうございました。

全国100のイタリア料理店による『ITALIAN WEEK 100 ”パスタの未来形”』

皆さんは、どんなパスタ未来形を体験しましたか?

城さんと大和橘の畑にて

城さんと大和橘の畑にて

参加店として取り組んだことで、リストランテとして今後の展望がより明確になった大変良い機会となりました。
ITALIAN WEEK 100関係者の皆さま、当店を支えてくださる全ての生産者と関連各社の皆さま、奈良県の農畜産品やフードツーリズム、食文化や水についての今と今後についてご教示くださった奈良県職員の皆さまに、この場を借りて心より感謝申し上げます。

以下、オーナーシェフ 山嵜正樹よりお礼申し上げます。

今年の初めITALIAN WEEK 100参加のお話をいただきました。奈良を全面に押し出し思う存分PRしてもよい機会をいただけると思い、即座に参加を決めました。

まず奈良県庁に問合せ、奈良県が考えるフードツーリズムやテリトーリオについて教えを請い学び、継続可能な未来を目指す生産者を探すことから始めました。

識者のお話しに加え、前田農園、益田農園、辰誠園を訪れ当主の方々より具体的なお話しを伺う機会を得ました。

そこからインスピレーションを受け、奈良に関する様々な発見と自分なりの発明を料理に変換し、お客様に追体験いただけるようなコース料理を考えました。

奈良在住のお客様からは「奈良に誇りをもてた」県外からのお客様には「奈良にまた来る理由ができた」などのお声をいただき、奈良の伝統と滋味深さを料理によりお伝えできたのではないかと嬉しく思います。

料理を通して未来を考えることは、歴史を振り返ることに始まり、何よりも未来を作る ”今” にフォーカスすることでした。
今、この瞬間の積み重ねからしか未来は生まれない、見て歩き “奈良を食べる” 体験をしたその瞬間から、心身ともに豊かになれるフードツーリズムを形にし提供する機会をいただいたことに、心より感謝申し上げます。

リストランテ ボルゴ・コニシ
オーナーシェフ 山嵜正樹

 

~感謝を込めて ITALIAN WEEK 100 特別コース 奈良の食材~

<フィンガーフード ~ようこそ奈良へ~>
御殿ハチミツ/大和郡山城 柳沢文庫
奈良漬け/奈良市 今西本店
大和大鉄砲豆腐/奈良市 三木食品
古代ひしお/奈良県醤油工業協同組合

<味間いものリゾット 大和茶のスープ ~茶粥 Chagayu~>
味間いも/磯城郡 『田原本町味間いも生産者の会』会長 西浦 正嗣 様
米(2022年産をもって販売終了)/磯城郡田原本町 株式会社鎌田ファーム
大和茶/奈良市 田村青芳園茶舗
*参考文献 『茶粥・茶飯・奈良茶碗 全国に伝播した「奈良茶」の秘密』
鹿谷 勲 著 淡交社

<ボスコ・ディ・ブロッコリー>
ブロッコリー/五條市 益田農園

<アクア・ディ・ポモドーロ>
トマト/奈良市 前田農園
大和橘/大和郡山市 なら橘プロジェクト

<ボリートミスト ~大和 YAMATO~>
倭鴨/御所市 鴨重
ばあく豚/五條市 ばあく(泉澤農園)
井上牛/宇陀市 宇陀牧場
梅/宇陀郡曽爾村 曽爾村農林業公社
吉野葛/奈良市 千代乃舎竹村

<桂のリーフティーのグラニータとヘーゼルナッツ ~クロッカンテ~>
桂の葉/奈良市小西町

<柿のアマレッティ 柿酢のジュレと吉野ニッケイを添えて>
柿/吉野郡下市町 辰誠園
柿酢/五條市 柿の専門
吉野ニッケイ/奈良市 結月

<小菓子>
ストライプペポの種/奈良県農業研究開発センター

<パン>
大和橘の花の酵母/奈良県産業振興総合センター

 

《 SPECIAL THANKS 》
イタリアンウィーク100 事務局 吉田 実和 様(株式会社veritaヴェリタ
ITALIAN WEEK 100 ディレクター 池田 匡克 様
アマゾンカカオ/長野県軽井沢 ラ・カーサ・ディ・テツオ オオタ
チーズ/京都市烏丸御池 フロマージュ ドゥ ミテス
オリーブオイル/神奈川県鎌倉市 オリーブオイル専門店ヒナタノ
奈良県豊かな食と農の振興課
奈良県産業政策課
なら食と農の魅力創造国際大学校
奈良のうまいものプラザ
飯田徹写真事務所

広報PR(五十音順): ETSUKO 柴 美木 多分日刊梅ぽすと Chiho

 

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毎日の小さな選択が未来を創造する
リストランテ ボルゴ・コニシは
心と体が豊かになる未来に向かって選択を続けます

2000年前から変わらない風景の前で山の辺の道沿いにある大和橘畑を見下ろして

2000年前から変わらない風景の前で山の辺の道沿いにある大和橘畑を見下ろして

吉野下市町 辰誠園と五條市 益田農園を訪ねました

ITALIAN WEEK 100 ”パスタの未来形” 『アクア・ディ・ポモドーロ』を主役とした特別コースでは、奈良の未来の水をテーマにするとともに、奈良とイタリアの食文化の融合を試みた。

レストランで各地地元の食材を使うということはもはや当たり前の昨今、日本風にアレンジするということでもなく、奈良で過ごす料理人 山嵜正樹を介して生まれたイタリア料理に表した感動を、奈良を食べる体験により皆さまと共有できればと願う。
100店のイタリア料理店が100人のシェフを介して、日本全国の11月の食材を一斉にお皿にのせる、つくづく画期的なイベントだと感動している。
この度は、参加させていただき心より感謝申し上げます。

肝となった前田農園さんのトマトから生まれた、ボルゴ・コニシの『パスタの未来形』アクア・ディ・ポモドーロ。前田さんのトマトとの出会いからイベント開催までの間、コース料理としての前後を支える11月の奈良の大地の水の恵みを象徴する、素晴らしい食材に恵まれた。

その中から9月に訪れた吉野下市町 辰誠園と五條市 益田農園をご紹介する。

奈良市から車で1時間半、まずは念願だった五條市役所横の”柿の専門 いしい”さんが運営するにぎわい棟にて柿尽くしランチ♪

カッキー

にぎわい棟

にぎわい棟

KAKIHAうどん 柿の葉寿司セット

KAKIHAうどん 柿の葉寿司セット

いしいさんの柿酢は、今やボルゴ・コニシの料理に無くてはならない存在。リコッタを作る時などにも使う。
今回のIW00特別コースでは最後を飾る、辰誠園さんの柿のドルチェにジュレにして添える。

柿尽くしランチで大満足の後、辰誠園さんへGO!五條市役所を出てあっという間に山道に入った。山は深く美しい。
しばらく行くと車がひっくり返るのではないかと思うような急勾配を上って直後、相当鋭角なカーブを下ると突然立派な門柱、辰誠園さんに到着した。ちなみにレンタカーだが、毎回カーナビの進化ぶりに驚かされる。

居間でお話を伺った。サラリーマンだった辰巳さんは、家業を継ぐことを決心した。現在、柿、梨、さくらんぼを生産されている。
その昔、奈良県でさくらんぼの生産者を増やそうという取り組みがあった初期から、唯一成功し生産を続けている生産者だ。いずれの果物も樹上完熟で生産量が限られることから直売のみ。長年のお客様へ毎年お届けするだけで精一杯。
辰誠園さんの果物を一口食べれば納得である。

伺う前に梨を送っていただいた。梨の個性である見た目と食感に表れたひと粒ひと粒の果肉が微細で、各粒の表皮(というかは、わかりません)が薄く均一に隅々まで綺麗に並んでいてそれぞれが美しい果汁をたっぷり蓄えている。間違いなく香りも味も梨だが、梨とは思えないシルキーな口当たり。エレガントな味わいと相まって気品さえ感じる。
最も好きな果物は梨である、と梨を見かけるたびに言い切るシェフ山嵜は絶句していた。

家業を継ぐなど頭になかったため、ほぼ一からの出発。まずは、ご近所付き合いから。そこには独特な古いしきたりに窮屈さを感じるかもしれないが、山深い過酷な自然の中で人々が共に生きるために積み重ねた、人間の英知を感じた。山で学んだことは街の生活にも活かせるが、街の生活しか知らなければ山では暮らせない、人々のつながりも同じなのかもしれない。

今年は暑く栽培にとても苦労したこと、そして年々難しくなっていること、それでも長年のお客様が待ってくださっているから頑張れる。お話を伺いながらいただいている梨とリンゴ(これまた凄い!!)に時々「う、旨っ!!!!」と思わず叫びそうになるのを抑えつつ、なんとか作り続けて欲しい!!!と願わずにはいられなかった。

今までなかった現象も。
アジアから日本の友人を介してやって来て突然門を叩く外国人御一行様。いくらでも払うからと言われても、無いものは無い。なんとか少しお出ししたら瞬く間に完食し、美味しかった!!!と大喜びで去った、なんてことも。SNSで見て美味しそうだったから、だそうだ。お目が高い!

さぁ、いよいよ畑へと思いきや「お見せするような畑はないのですよ」と照れたようにおっしゃって指さされたその先には、梨の木も柿の木も、元からそこにあったかのような形で山の斜面に生えていた。
山野草(雑草という言葉に抵抗を感じ困っていたところ、お客様に教えていただいた素晴らしい呼び名!)はそのままに畑内を歩き、観察し、感じ、見守り、樹上で完熟するまでサポートする。
ご本人もおっしゃる通り、今まで見た柿園とは全く違う景色だが、放っているように見えて放置どころか一日中畑の中で仕事をしていることがわかるような、木の周りの山野草さえ絵になる畑だった。
そのことは辰巳さんの作った果物が証明している。

ご子息は農学を修められ、また昆虫を専門とされており、現在奈良県の農産に携わるお仕事をされている。息子さんのアドバイスなども参考にしつつ、山野草と昆虫の正しい生態系による農法を取り入れている。

「今年の柿は難しいかも・・・暑すぎて現在(9月中旬)心配なくらい先行き不透明なんです」と11月の出荷どころか2023年の出荷ができるかどうか、ということだったが、11月中旬目一杯果汁を蓄えた富有柿が届いた!!

食べてみてまたもや絶句。樹上完熟のためお早目に、とのことだが日ごとにポテンシャルの高さを感じる。ゆっくりと確実に追熟していく。まだ熟す余地があったのかと驚いた。
入荷から2週間たった現在、ドルチェの柿のアマレッティに最も理想的な状態だ。

高品質なチーズやワインと同じように感じた。
生産者からバトンを渡された後、適切に環境を整えて見守るだけで最後まで迷わず熟成していく。
出荷までに強くたくましく育ち、自立できる安定した品質まで成長しているからだろうと思っている。
そこから伝わる生命力にただただ感謝するばかりだ。

辰誠園さんを知ったきっかけは息子さんとの出会いだったが、果樹園のご子息と知らず味覚の良さから「お好きな柿農園はありますか?」と伺った際、「うちの柿です。特に生産者の個性が現れる富有柿は日本一だと思います」と即答断言されたことを頼もしく思い出した。
今回、ITALIAN WEEK 100のコースで県内外のお客様に広くご紹介できたことを大変光栄に思う。見た目の美しさと気品溢れる柿の味わいに、大変ご好評をいただいた。
辰巳さん、本当にありがとうございました。

辰巳さんご夫妻と

辰巳さんご夫妻と

お次は車で十数分の五條市 益田農園さんへ。
途中、所要時間と場所がわからず訪問を断念していた、へいばらのレモングラス畑を偶然発見し大興奮!!どなたもいらっしゃらなかったので残念だった。
美味しいハーブティをいつもありがとうございます!!(畑に向かって愛を叫ぶ)

店頭で強烈に美味しい益田印ブロッコリーに出会ってから、キャベツ、玉ねぎ、トウモロコシ、大和トウキ、柿、と全益田印を制覇している追っかけファンとしては、この日を待ちに待っていた!!

出迎えてくださったのは益田農園のホームページと全く同じ、満面の笑みをたたえた益田さん。ただにこにこと普通にお話をされているのだが、なぜか周りの山から笑い声がこだまとなって聞こえてくるような気がして仕方がない。つい私も笑ってしまう。
奈良市に帰ってその後も、落花生、もものすけ(カブ)、あんぽ柿、と追っかけを続けているが、お会いしてからは益田印に触れるたび五條の山のてっぺんに大きく浮かぶ益田さんの笑顔が脳裏によみがえる。そんな景色は決して見ていないのだが。

益田さんのブロッコリーによってボスコ・ディ・ブロッコリーが遂に本当の意味で完成したこと、そのブロッコリーがいかに素晴らしいか、そして益田さんにどうしてもお会いしたいと思って来たことを伝えると、とても言いにくそうに「そんなに思って来てくれて申し訳ないんだけど・・・ブロッコリー植えたのは、全てキャベツのためで・・・ほんと遠くまで来てもらってすみません」(ニコニコ)

益田さんの発見はこうだ。
キャベツは重い、確かに益田さんのキャベツはとても重い、収穫の際は畝の間にトラックを入れたい、そうすればトラックの荷台にキャベツを載せながら収穫できる、しかしトラックのために1畝無駄にするのがもったいない、キャベツより収穫が早くできる野菜は?キャベツの一種で丁度いい野菜があった、それがブロッコリー!
「すみません。どうしてあんな美味しいブロッコリーができるんですか?と言われてもわからないです。普通のことしかやってないしな~、なんやろ?次からちゃんと考えてやってみます、ワッハッハ」(私達もワッハッハ)

私たちは訪ねる以前から、それが益田さんの凄いところだと思って伺ったので逆に恐縮した。益田さんが作るいずれの野菜からも、益田さんと大地と植物が対話し協力してできたのだと感じる。3者いずれも無理をしていない。味わいに濁りが一切ない。
益田さんは特別なことは何もしていない、と思っていらっしゃるが前述のように、作物と大地とずっと対話をして収穫まで共同制作をされているのだ。
土地ごと、作物ごとの細やかな独自の対処方が、各生産者ごとにあると感じるが、対処と工夫が無限に広がるため最低限のルール以外は決まった方法などない。言語化が困難になるのは当然だ。料理のレシピはあっても行間まで教えることは困難であるように。

野菜が私たちに味わいで伝えたように、畑はそのことを言語化していた。

益田農園キャベツ畑

益田農園キャベツ畑

広大な畑は美しく、畑を囲む森林からも生命力を感じる。そして山から笑い声が。幻聴?
柵で囲ってあるがイノシシや鹿が増えているそうだ。
「お互い生きるため本気です。できるだけ未然に防ぐけど、やむを得ない場合もある」駆除のため狩猟免許を取った。

山の上の方の日当たりの良い畑と、森林に囲まれた別の畑では、同時に植えたキャベツの生育状態が全く異なる。後者は随分小ぶりで生育が遅れているようだが、いざというときまでキャベツの好きにさせておく方針のようだ。その時の対処法はいくつか益田さんの頭の中にある。
畑とキャベツの力を最後まで信じて待つ。

大和トウキも素晴らしい。咲き始めた花の香りがそこかしこに漂っている。

益田農園 大和トウキ畑

益田農園 大和トウキ畑

益田さんと大和トウキ畑にて

益田さんと大和トウキ畑にて

県のプロジェクトに賛同して毎年育てているが、今のところ相変わらず中国産との価格競争に勝てず製薬企業も購入してくれないため収支が合わず、存続が難しいとのこと。
当店も、漢方用に根を育てるため葉を食用にするプロジェクトの当初に関わったが、独特な香りが難しいと感じている。
ただ、今までの中で増田農園の大和トウキが最も食味が良い。グーラッシュに添えると完成度が上がる。やっとイタリア料理に活かせて大変嬉しい。

落花生も元気いっぱいだ。

益田さん 落花生畑にて

益田さん 落花生畑にて

「まだ若いけど食べられるし、逆にこの(若い)状態で売ってないから一本持って帰ってみる?」と抜いてみたら思わず笑うくらいたわわに実がなっていた。

益田さんの落花生

益田さんの落花生

なんと大きい枝!と騒いでいたら「あれ?半分やな。これもう半分ね。1本分持って帰ってよ」
大きい!何?このサイズ!育ちすぎ!面白すぎ!

益田印落花生一本分収穫の図

益田印落花生一本分収穫の図

帰りに凍らせた柿を、すぐに食べるようにといただいた。まるで干し柿のような熟柿。糖度が高いため半凍りで、あの美味しさは一度食べたら忘れられない。
「また来てくださいね!」と見送ってくださった増田さんの笑顔と相まって、美味しいと言うために引き返しそうになった。

翌朝、枝から外し選別した落花生は、増田さんがおっしゃっていた通りまだ若く、爽やかな青さと僅かな渋みが印象的だった。その後、完熟し店頭に並んだ益田印の落花生を購入したことは言うまでもない。

奈良って、日本って本当に素晴らしいと改めて思う旅となりました。
辰巳さん、益田さん、お忙しい中お時間をいただきパワーをいただき、本当にありがとうございました。

益田農園のヤマトトウキの花

益田農園のヤマトトウキの花